【3167】TOKAIホールディングス/全セグメント順調で、通期は上振れ濃厚か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3167】TOKAIホールディングス(東証1部) NT


現在値 1,067円/100株 PER16.9 PBR2.20 3月配当優待9月配当優待

東海地盤。LPガスのザ・トーカイとCATV等のビック東海が統合。
配当は3月末・9月末の合計28円配のため、配当利回りは2.62%となります。

TOKAIホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の年2回、単元株を保有する株主に対して、500円分のQUOカードや"水セット"など選べる優待を進呈しております。なお、クオカードを選択した場合における配当優待利回りをは約3.56%となります。

業績を確認をしていきます。

■2016年3月期 売上高 1,809億円、営業利益 82.4億円 EPS 30.0円 
■2017年3月期 売上高 1,786億円、営業利益 127億円 EPS 64.5円 

■2018年3月期 売上高 1,860億円、営業利益 109億円 EPS 51.1円   

■2019年3月期 売上高 1,916億円、営業利益 130億円 EPS 59.3円

■2020年3月期 売上高 2,008億円、営業利益 141億円 EPS 62.8円 ce   
□2019年9月2Q 売上高 930億円、営業利益 55.0億円 EPS 26.6円(10/31)


2019年9月中間の売上高は前年同期比4.7%増の930億円、営業利益は同58.3%増の55.0億円となり、大幅な増益を確保したほか、期初予算に対しても大きく上振れました。主力のLPガス事業については、前年の高気温やLPガスの仕入価格上昇影響が消えるとともに、期初の想定よりも気温が低く推移した影響で需要が伸長した結果、前年のセグメント赤字から一転して反転増となりました。また、CATV事業についても、通信・サービスとのセット割引等の奏功により会員数が増加したほか、通信・サービス事業の方についても、このクロスセルの進展とMVNOの採算改善で大幅増となりました。また、勢いは一服しつつあるものの、アクア事業でも順調に新規会員を積み上げた結果、結果的に全てのセグメントで増収増益を果たしており、絶好調の折り返しとなりました。


なお2020年3月期の通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比4.8%増の2,008億円、営業利益は8.5%増の141億円を見込んでいます。主力のLPガス事業については、引き続き商圏拡大による契約獲得を図る方針であり、下期からは2019年4月に買収した下仁田町ガス事業や、同年8月に20.7%の持分を取得した伊勢崎ガスがフルに寄与します。LPガス同様、CATV事業や通信・サービス事業、アクア事業についてもクロスセルの一層の進展による契約数増が見込まれるほか、特に通信分野において法人のシステム受託開発などが好調に推移していることから、LPガス事業の外部環境好転なども相俟って、全セグメントで強含んでいる状況であり、据え置いている通期予算はさすがにコンサバであるため上振れ濃厚と考えらます。


今期は4年中計の3年度目となっており、最終年度の2021年3月期に売上高3,339億(CAGR17%)、営業利益225億円(CAGR15%)を目標としています。達成へのドライバーとして、MAやアライアンス投資に1,000億円もの巨費を投じる計画であり、基本戦略としてはMA等による展開エリアの拡大と、CATV・ガス石油・情報通信等の既存会員に他商品も売るクロスセルの比率を現在の7%から20%へ引き上げることが基本的な戦略となります。

 

特にMAによる外部成長に注力しており、2018年3月期にCATV事業で2社を買収したほか、既述のとおり下仁田町からガス事業(年商1.4億円)を事業譲受したほか、新たに秋田県のにかほ市のガス事業を本年4月から譲受・事業開始する見込みです。にかほ市も地盤の東海エリア以外の“飛び地(種地)”展開となるものの、比較的顧客信頼度が高いとされるガス事業は他商材の高いクロスセル比率が期待出来るため、今後の横展開への期待が高まります。またLPガスに留まらず、昨年10月には東京電力EPと折半出資の合弁会社を設立し、東海3県における都市ガス事業を本格展開する方針であり、中電に対抗しつつも都市ガス事業も拡大したい東電の看板を借りて、都市ガス事業を飛躍的に拡大させて、クロスセルの種となる会員数を一段と増やしていく目論見と考えられます。

 

本中計開始から2年半でこうしたMAやアライアンスを10件もこなしたことは大変評価でき、これだけで会員数約30万人、売上高66億円、営業利益5億円を新たに積み上げたものの、中計の数値目標に対しては依然かなりの過大感があることは否めず、大幅な未達公算が高いと考えられます(※なお未達公算であっても、株価的にはこうした積極策による成長を一定程度織り込んでバリュエーションされている印象です)

 

財務面については、2015年に発行した100億円のMSCBが全転換されているため、自己資本比率は38.4%水準をキープしており、一頃と比べると財務は劇的に良化しています。ただ当社の場合MAによる外部成長を成長の柱として公言しているため、足許の今期業績は絶好調であるものの、こと株主還元については年28円配(配当性向44.5%)を据え置く可能性の方が高いとみられます。

 

*参考記事① 2019-08-21 997円 OP

中計未達公算も、高い外部成長志向は健在・TOKAIホールディングス(3167)。

 

*参考記事② 2019-02-16 902円 OP

業容拡大着実だが、意欲的な中計は過大感が強い・TOKAIホールディングス(3167)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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