【3478】森トラスト・ホテルリート投資法人/ヒルトン小田原取得でついに5物件に。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3478】森トラスト・ホテルリート投資法人(東証REIT) OP

現在値 152,600円/1株  PER22.8  P/NAV1.10  2月分配 8月分配

ホテル特化型、スポンサーは森トラストと森トラストホテル&リゾーツ。
予想分配金は年2回の合計6,629円配で、分配金利回リ(実績+予想)は約4.34%です。

業績を確認していきます。

■2018年2月期_第4期 営業収益 23.0億円、経常利益 15.3億円 DPU 3,066円

■2018年8月期_第5期 営業収益 24.0億円、経常利益 16.2億円 DPU 3,255円

■2019年2月期_第6期 営業収益 23.2億円、経常利益 15.4億円 DPU 3,089円

■2019年8月期_第7期 営業収益 23.9億円、経常利益 16.1億円 DPU 3,219円(10/23) 

■2020年2月期_第8期 営業収益 25.5億円、経常利益 17.0億円 DPU 3,410円 ce

2019年8月期_第7期の予算は、比較可能な前年同期である2018年8月期_第5期との比較において、営業収益は10百万円減の23.9億円、経常利益は10百万円減の16.1億円となり、期初予想よりは上振れたものの、前年同期には届きませんでした。なお分配金については、予想の3,160円から59円上振れて3,219円で着地しています。減収となった主要因は、前年同期に大変好調だった旗艦物件のシャングリ・ラ(感応度:RevPAR1,000円≒DPU18円)の一服によるところが大きく、直営のコートヤード・マリオット(CY)2物件がGWのレジャーの取込が比較的堅調だったものの、穴を埋めきれませんでした。なおCY新大阪についても、大阪周辺のホテル需給の悪化を受けてRevPARが下がっているものの、前年同期比では何とか微増収を確保しています。

 

進行中の2020年2月期_第8期の予算については、比較可能な前年同期である第7期との比較で、営業収益は237百万円増の25.5億円、経常利益は同160百万円増の17.0億円を予想しており、分配金も3,090円から3,410円へ同320円の増額、単純な前期比較となる第8期との比較でも191円の増額となります。業績変動が大きくなる主要因はヒルトン小田原の取得(※後述)ですが、旗艦物件であるシャングリ・ラは4ヵ月前、CY2物件は同3ヶ月前の宿泊実績をベースに歩合賃料を算出するため、実績+オンハンドで粗々の数字は見えており、好調反動のシャングリ・ラが減収となる一方、CY東京はADR成長・CY新大阪は天災影響明けにより増収を確保する見通しです。利益面については、小田原取得にともなう減価償却費増とレバ取得にともなう金利負担が影響しています。

 

当法人は昨年9月に初めての物件取得となるヒルトン小田原リゾート&スパを65億円、鑑定NOI6.2%で取得しています。当該物件はADR3~4万円の“アッパーアップスケール”ホテルであり、シャングリ・ラとCYの間くらいの価格帯のため、当法人のクライテリアとしては分散が効いた格好となるほか、隣地でヒルトン・グランドバケーションズ(HGV)が新たなタイムシェアリゾートの建設を予定しているため、将来的にそのHGV客による施設利用料を収受出来ることがアップサイド余地となります。ネックとなるのは築年数が20年超経過していることによる修繕費の増加や、大幅リニューアルした近隣の大磯プリンスホテルとの競合激化であり、ホテル基準利益の95%という完全歩合賃料設定も相俟って、鑑定理論値のNOI6.2%が維持出来るかどうかはかなり微妙かと思われます。

 

なお財務状況については、上限LTVを60%まで許容していますが、このヒルトン小田原をレバレッジで取得したことにより、足許のLTVは50%を超える水準まで切り上がっているものと考えられます。そのため、LTV30%台をキープする好財務の星野(3287)は言うに及ばず、40%台で並んでいるJHR(8985)や、いちごホテル(3463)、大江戸温泉(3472)といった他ホテルREITよりも断然レバレッジがかかっているため、今回の取得でやっとポートが5物件になったような物件集中状況も鑑みると、依然として構造的なリスクが高いREITであることには変わりありません。

 

それでもこのヒルトン小田原取得によるDPUの向上により、IPOの際の森トラスト売出価格である@143,000円水準を大きく超えてきていることから、初めてのPOが意識される状況であることは間違いなく、スポンサーである森トラスト側に大量に溜まっているパイプライン物件の組み入れ期待が高まっています。特に現時点におけるインプライド・キャップレートは3.5%程に過ぎないため、かなりCAPレートを潜って取得することも出来る状況であることから、クオリティの高いラグジュアリーホテルの組み入れに改めて期待したいと思います。

 

*参考記事① 2019-06-25  138,900円 NT

手詰感強いが、AM会社統合で動きも。森トラスト・ホテルリート投資法人(3478)。

 

*参考記事② 2018-05-23 145,900円 NT

いよいよ外部成長が要求される局面へ、森トラスト・ホテルリート投資法人(3478)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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