REIT株価堅調で、早くも来期予算に熱視線・日本エスコン(8892)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン (東証1部)  OP

現在値 932円/100株 PER8.18  PBR2.09 6月株主優待 12月配当

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の35円の配当で、配当利回りは3.76%となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約3.86%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約4.18%となります(※いずれも10単元保有時)。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 277億円、経常利益 31億円 EPS 44.7円
■2016年12月期 売上高 343億円、経常利益 35億円 EPS 58.7円
■2017年12月期 売上高 447億円、経常利益 59億円 EPS 81.7円 

■2018年12月期 売上高 543億円、経常利益 104億円 EPS 105.9円 

■2019年12月期 売上高 748億円、経常利益 112億円 EPS 115.1円 ce
□2019年6月2Q 売上高 302億円、経常利益 61億円 EPS 62.7円 

□2019年9月3Q 売上高 459億円、経常利益 77億円 EPS 76.7円(10/29)

2019年6月中間期の売上高は前年同期比22.7%増の302億円、経常利益は同95.0%増の61億円と
なり、売上高は予算水準に留まったものの、利益は超過達成となりました。主力の分譲事業において、姫路(30戸)、高槻天神(28戸)、江ノ島(17戸)を引き渡したほか、本年2月に上場した傘下REITである「エスコンジャパンリート投資法人(※後述)」への物件供給を既に実行しており、北名古屋商業(46億円)、あすみが丘商業(32億円)、おゆみ野商業(27億円)などを売却し、当該供給のみで22億円の売却益を実現しています。この他にも、好採算の開発型のホテルを2棟(南船場Ⅰ65億円、長堀駅前21億円)を売却しているため、今上期については分譲以外の不動産販売で数字の殆どを作った格好となります。


なお2019年12月期の通期予算については期初予想を据え置いており、売上高が前期比37.7%増となる748億円、経常利益は同6.7%増の112億円を予想しています。主力の分譲事業については前期を200戸以上ゝ回る759戸の引き渡しを計画していますが、8月末の時点で653戸が契約済となっていることから、概ね計画線とみられます。また、不動産販売事業については、上期におけるREITへの物件供給とその他ホテル販売で今期の数字は粗方出来上がっており、下期引渡し予定の下高井戸、三番町等の一棟売物件も既に契約済となっている状況です。そのため、今期の予算は既に達成可能圏にあるものとみられ、場合によっては増額着地が視野に入る状況です。


今期は3ヵ年中計の最終年度となっており、当初計画では売上高343→600億円(CAGR20%)、経常利益は35→72億円(CAGR26%)を目指していましたが、前期に1年前倒しで数値目標を達成してしまったことから、中計目標額は今期予算なりの数値にロールしています。中計の具体的な取り組みについては、ストック資産の積み上げによる賃貸収入の増加やREITへの継続的な物件供給などが挙げられていますが、REIT上場による賃貸資産の減少はあるものの、概ね順調な進捗が確認出来ます。また、主力の分譲事業において年500~600戸の供給体制確立を中計目標としていますが、既に再来期(2021年12月期)までの素地の仕込みが完了しています。

 

本年2月にはエスコンジャパンリート投資法人の“公募成り”を果たしており、今上期に商業施設の底地を中心に137億円分の物件を拠出しています。REITの上場時の公募価格は@101,000円であり、初値は@97,200円と公募割れしてしまったものの、足許の株価は公募価格を回復しているどころか、@120,000円を挟んだ水準で株価推移しているため、早くも初回POが視野に入る状況です。既に販売用不動産の在庫をたんまり積み上げている当社としては、物件供給のチャンスが来期以降も継続する格好となるため、早くも新中計への期待感が高まります。また、財務面についても、昨年9月の中部電力(9502)傘下入りにともない企業クレジットが一段と良化し、調達金利が一気に20bp.落ちて0.9%まで削減出来ていることから、内部成長も一段と進捗しています。

 

なお、株主還元に関しては中計にも謳われている「減配しない」累進的配当政策において、配当性向30%を目処としているため、今期は3円増配の年35円配当を予想しています。棚卸資産の販売が進み、調達金利が低下しても、仕入を積極化しているため財務がなかなか良化していない実情もあるため、今期上振れして着地で再増配させたとしても、せいぜい年38円止まりかと考えています。

 

*参考記事① 2019-04-17 775円 OP

REIT上場で成長モメンタムは維持される公算、日本エスコン(8892)。

 

*参考記事② 2018-11-14  720円 OP

中部電力傘下入りはサプライズ大きい、日本エスコン(8892)。

 

 

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