REIT上場で成長モメンタムは維持される公算、日本エスコン(8892)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン (東証1部) ---

現在値 775円/100株 PER6.79 PBR1.94 6月株主優待 12月配当

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の35円の配当で、配当利回りは4.52%となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主

に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利

回りは約4.64%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制

度も導入しており、その場合の同利回りは4.90%となります(※いずれも10単元保有時)。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 277億円、経常利益 31億円 EPS 44.7円
■2016年12月期 売上高 343億円、経常利益 35億円 EPS 58.7円
■2017年12月期 売上高 447億円、経常利益 59億円 EPS 81.7円 

■2018年12月期 売上高 543億円、経常利益 104億円 EPS 105.9円 

■2019年12月期 売上高 748億円、経常利益 112億円 EPS 115.1円 ce
□2019年6月2Q 売上高 305億円、経常利益 56億円 EPS 55.6円 ce

2018年12月期の売上高は前期比21.5%増の543億円、経常利益は同75.3%増の104億円

となり、売上高は期初予想をやや下回ったものの、利益は期中の増額予想水準を上回っ

て着地しました。主力の分譲事業において、南千里(107戸)、川崎(80戸)、豊田(52戸)な

どが完売となり期中の契約も順調に進捗したものの、最終的には期初計画の引渡戸数

である585戸を下回る539戸の引渡しとなったため、販売調整をしたものとみられます。

また、不動産販売に関しても利益率の高い開発型のホテル(金沢・南船場・淡路町2棟)

などを売却したほか、若松町や千駄ヶ谷でも1件十億円超の収益物件を売却したため、

全社業績を特に利益面において大きく押し上げました。


進行期である2019年12月期の予算については、売上高が37.7%増となる748億円、経常

利益は6.7%増の112億円を予想しています。主力の分譲事業については持ち越しとなっ

た完成在庫を含め、実績期を200戸以上も上回る759戸もの引き渡しを計画しています。

また、不動産販売については、本年2月に上場した傘下REITである「エスコンジャパン

リート投資法人(※後述)」への物件供給を既に実行しており、具体的な物件としては、

北名古屋商業(46億円)、あすみが丘商業(32億円)、おゆみ野商業(27億円)などが売却

されているため、期初の予算に織り込み済みではあるものの、1Q決算に譲渡益22億円

が計上される見通しとなっているため、今期もまずは順調なスタートと言えそうです。


今期は新3年中計の最終年度となっており、計画当初は売上高343→600億円(CAGR20

%)、経常利益は35→72億円(CAGR26%)を目指していましたが、実績期において1年前倒

しで達成してしまったことから、中計についても今期予算と同水準となる売上高748億円、

経常利益112億円まで引き上げています。主力の分譲事業については年間500~600戸

の供給体制を目指していますが、翌2020年度まで仕入れが済んでいる状況です。また、

昨年9月に中部電力(9502)が当社大株主より当社株式の32%強を取得し、同社の持分法

適用会社となったため、これまで手薄だった中部エリアでの用地仕入が期待できるほか、

販売においても圧倒的な信頼度を得られたため、当面は順調な販売が見込まれます。

 

また、本年2月には私募REITだったエスコンジャパンリート投資法人が念願の“公募成り”

を果たしました。これまで当該REITは、日成ビルド工業(スペースバリューHD)との協業で

進めてきたものの、スポンサークレジットがいま一つのため、ずっと足踏み状態が続いて

いたものの、中部電力傘下入りにより一気に上場まで漕ぎつけることに成功しました。

組入物件は商業施設の底地が中心となる見込みで、日本商業開発の私募REITである

地主プライベートリート投資法人の公募版のような立ち位置の商品になるとみられます。

REITの上場時の公募価格は@101,000円であり、初値は@97,200円と公募割れしてしま

ったものの、足許の株価は公募価格を回復しているため、早ければ年内のPOも視野に

入るような状況であり、当社としては物件供給のチャンスが継続する格好となります。

 

なお、株主還元に関しては中計も謳われている「減配しない」累進的配当政策において、

配当性向30%を目処としているため、今期については3円増配となる年35円配当を予想

しています。25%の自己資本比率を鑑みると、ここまで還元しなくても良いと思いますが、

中部電力傘下入りによる資金調達力の強化(金利低下)や、REIT上場による資金回転の

良化などが期待出来るため、大きく吐き出してしまっているものとみられます。

 

*参考記事① 2018-11-14  720円 ---

中部電力傘下入りはサプライズ大きい、日本エスコン(8892)。

 

*参考記事② 2018-04-22 932円 ---

野心的中計は上振れペース、成長モメンタムは強烈・日本エスコン(8892)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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