中部電力傘下入りはサプライズ大きい、日本エスコン(8892)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン (東証1部) ---

現在値 720円/100株 PER7.01 PBR2.04 6月株主優待 12月配当

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月末一括の26円の配当で、配当利回りは3.61%となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主

に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利

回りは約3.75%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制

度も導入しており、その場合の同利回りは4.02%となります(※いずれも10単元保有時)。

業績を確認していきます。
■2014年12月期 売上高 188億円、経常利益 20億円 EPS 34.6円
■2015年12月期 売上高 277億円、経常利益 31億円 EPS 44.7円
■2016年12月期 売上高 343億円、経常利益 35億円 EPS 58.7円
■2017年12月期 売上高 447億円、経常利益 59億円 EPS 81.7円 

■2018年12月期 売上高 550億円、経常利益 102億円 EPS 102.6円 ce修正
□2018年6月2Q 売上高 246億円、経常利益 31億円 EPS 31.5円 

□2018年9月3Q 売上高 360億円、経常利益 59億円 EPS 58.9円(11/9)

2018年6月期中間期の売上高は前年同期比倍増の246億円、経常利益は同69.2%増の

31.7億円となり、期初予想を上回って着地しました。主力の分譲事業において計上予定

だった南千里(107戸)、川崎(79戸)、豊田(52戸)が完売となり、分譲事業の上期末時点に

おける進捗率は63.4%に達し、稀にみる好進捗となりました。また、不動産販売に関して

は利益率の高い開発型の2ホテル(金沢・南船場)を売却したほか、若松町や千駄ヶ谷で

も1件十億円超の収益物件を売却したため、全社業績を利益面で大きく押し上げました。


なお、好調な業績進捗を鑑み、2018年12月期通期の予算については、売上高が前期比

23.0%増の550億円(従予:557億円)、経常利益は同70.3%増の102億円(従予:87億円)へと

それぞれ修正しています。今期の分譲事業はの引渡戸数は585戸を予定していますが、

既述のとおり上期で大半を引き渡しているほか、契約率も上期末時点で既に88.2%まで

達しているため鉄板の状況です。上期より小振りとなるものの、岡本(18戸)や自由が丘

(23戸)、船橋習志野(50戸)が引渡し計上されてくる見通しです。ホテル販売についても、

千代田区隼町・鶴野町・淡路町など残り6案件の売却を予定しております。このうち既に

淡路町2棟と北久宝寺町はシンガポールの投資会社に102億円で売却することが確定

しているほか、そのほかの3物件も全て契約済となっているため、増額後の通期予算に

ついてはほぼ確実に走破圏であり、今期も2桁の増収増益を達成する公算です。


今期は2019年12月期を最終年度とする新3年中計の2年目となっており、来期に売上高

343→600億円(CAGR20%)、経常利益は35→72億円(CAGR26%)を目指していますが

表記のとおり今期の時点で利益予算は超過達成となる見込みです。主力の分譲事業で

は年間500~600戸の供給体制を目指していますが、2019年度・2020年度で各期800戸

分の用地手当が済んでいる状況です。現状は私募REITとなっているエスコンジャパン

リート投資法人についても既に110億円規模に育ち、大株主でもある日成ビルド工業と

ともに“公募成り”を目指すとともに、更なる物件拠出の準備を進めています。当該REIT

の組入物件は商業施設の底地中心となる見込みで、日本商業開発の私募REITである

地主プライベートリート投資法人の公募版のような位置付けの商品になるとみられます。

 

そして本年9月7日付で、かの中部電力(9502)が当社大株主より32%強の株式を@1,100円

で23百万株譲受し、総額264億円を投じて当社を持分法適用会社に収めました。当社と

しては手薄な中部エリアを開拓出来るほか、中電傘下に入ることにより圧倒的な信用力

向上につながるため、大型受注がしやすくなるとともに、調達金利の低下も期待されます。

中電傘下入りによるシナジーはまだ本中計には織り込まれておらず、その効果が本格的

発現するのは早くて来期とみられるため、基本的には次期中計に期待する形となります。

 

なお、株主還元に関しては中計も謳われている「減配しない」累進的配当政策において、

配当性向25%を目標としているため、今期については当初2円増配となる年間20円配当を

予想していましたが、期中での増額修正にともない26円まで配当予想を増額しています。

26円で概ね配当性向25%超水準のため、今期はこれ以上の増配はないとみられるものの、

次期中計では配当性向自体を引き上げる可能性もあるので、期待したいと思います。

 

*参考記事① 2018-04-22 932円 ---

野心的中計は上振れペース、成長モメンタムは強烈・日本エスコン(8892)。

 

*参考記事② 2017-10-11 520円 ---

REITの上場如何が業績飛躍の鍵、日本エスコン(8892)。

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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