野心的中計は上振れペース、成長モメンタムは強烈・日本エスコン(8892)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン (東証1部) ---

現在値 932円/100株 PER10.56 PBR2.96 6月優待 12月配当

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は12月一括の20円の配当で、配当利回りは2.15%となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、1,000株以上を1年以上保有
する6末の

株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当金と合計した

配当優待利回りは約2.25%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円と

なる長期優遇制度も導入しています。

業績を確認していきます。
■2014年12月期 売上高 188億円、経常利益 20億円 EPS 34.6円
■2015年12月期 売上高 277億円、経常利益 31億円 EPS 44.7円
■2016年12月期 売上高 343億円、経常利益 35億円 EPS 58.7円
■2017年12月期 売上高 447億円、経常利益 59億円 EPS 81.7円 

■2018年12月期 売上高 557億円、経常利益 87億円 EPS 88.2円 ce
□2018年6月中間 売上高 244億円、経常利益 24億円 EPS 24.2円 ce

2017年12月期の売上高は前期比30.2%増の447億円、経常利益は
同67.5%増の59.8

億円となり、期初予想を大きく上回って着地しました。主力の分譲事業において、計上

予定の高槻1(95戸)・高槻2(80戸)・桜上水(42戸)が完売となったほか、京都伏見(83

戸)も殆ど引渡を完了しました。また、不動産販売に関しては利益率の高い開発型の

5ホテル(茅場町・馬喰町・札幌・金沢・平野町)を売却したほか、傘下の私募REITの

資完了により吹田市の2商業施設と、倉敷・西成の2底地を譲渡したことが利益を

大きく押し上げました。分譲事業の予定引渡戸数が未達成となっていますが、これは

販売事業で数字を作りすぎたため、あえて在庫を持ち越した可能性が高そうです。


進行期の2018年12月期の通期予算は、売上高が24.5%増の557億円、経常利益は

45.3%増の87億円と売上高段階から2割を超える伸びが継続する見込みです。分譲

事業は585戸の引渡を予定していますが、2月中旬時点の契約/引渡率は既に94.3

%とほぼ終了しており、伏見(24戸*)や南千里(214戸)、川崎(79戸)が計上されてくる

見通しです。ホテル販売についても、千代田区隼町・鶴野町・長堀など7案件の売却

を予定しております。全般的に売上高は上期偏重、利益は下期偏重となる見通しと

なっていますが、これは分譲物件の引渡しが3月頃に集中する一方、ホテルを中心と

する不動産販売が下期に集中することが原因と推察されます。


今期は2019年12月期を最終年度とする新3年中計の2年目となっており、来期には

売上高343→600億円(CAGR20%)、経常利益は35.7→72億円(CAGR26%)を目指

していましたが、表記のとおり今期の予算で目標は前倒達成見込みとなっています。

主力の分譲事業では年間500~600戸の供給体制を目指していますが、2019年度
まで用地手当が済んでおり、既に2020年度の仕込を実施しているほか、私募REIT
であるエスコンジャパンリート投資法人も110億円規模に育ち、昨年11月には当社
大株主でもある日成ビルド工業(1916)とのLPSに全ての投資口を譲渡しています。
日成ビルドは現時点では運用会社には出資していませんが、恐らくスポンサー会社
かサポート会社として参画してくるものと見込まれ、補完的役割が期待されます。

 

株主還元に関しては本中計で謳われている「減配しない」累進的配当政策において、

配当性向25%を目標としているため、実績期も期初15円の据置予想から、3円増配

となる18円配を実施しています。今期については、期初時点から2円増配なる20

円を予想していますが、配当性向は22.7%計算のため、増配含みと推察されます。

 

また、当社の資本政策・還元政策において非常に特徴的なのは、期末頃に着地が

見えてきた状況で適当に自社株買いを実行して、総還元性向30%程度を目指して

くる点にあります。足元でも昨年12月~1月にかけて、発行済株式数の1%程度の

4.5億円を買いきっております。特筆すべきは、買付単価が@700円弱と当時と

ては高値圏であっても平気で“満玉”を買ってくることであり、会社側からは現状

の株価位置の妥当性や、PO懸念の後退を感じさせるメッセージ性が非常に強い

自社株買いとなっています。自己資本比率はなお25%を切る水準であり、お世辞

にも良い財務とは言えない状況ですが、様々なメドが立ったことは感じられます。

 

*参考記事① 2017-10-11 520円 ---

REITの上場如何が業績飛躍の鍵、日本エスコン(8892)。


*参考記事② 2017-03-26 416円 ---

向こう3年間も年率2割超の高成長へ、日本エスコン(8892)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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