グローバル“たばこ株”並みの高還元銘柄へ、日本たばこ産業(2914)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2914】日本たばこ産業(東証1部)  ---

現在値 2,892円/100株 PER13.1 PBR1.88 6月配当優待 12月配当優待

たばこが事業の中核。M&Aで海外たばこ事業を拡大中。
配当は6月・12月の年2回・合計150円のため、配当利回りは約5.19%となります。

JTは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末に単元株を保有する株主に対して、

1,000円分の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.87%となってお

ります。なお、2単元まではこの利回りが維持されます。

業績を確認していきます。    
■2014年12月期売上高 21,539億円 営業利益 4,997億円 EPS 199円変

■2015年12月期売上高 22,528億円 営業利益 5,652億円 EPS 270円 

■2016年12月期売上高 21,432億円 営業利益 5,932億円 EPS 235円

■2017年12月期売上高 21,396億円 営業利益 5,611億円 EPS 219円

■2018年12月期売上高 22,220億円 営業利益 5,610億円 EPS 219円 ce

■2018年12月期売上高 22,212億円 営業利益 6,086億円 EPS 237円 Qcos
□2018年6月中 売上高 11,000億円 営業利益 3,030億円 EPS 125円 四e

2017年12月期の売上高は前期比微減の21,396億円、営業利益は同5.4%減の5,610億円

と減収減益となり、直近の会社修正予想及びコンセンサス予想を下回って着地しました。

国内事業は趨勢減や、自社および他社の加熱式たばこ(以下、RRP)の拡大により、葉巻

の販売数量が12.5%減と大きく減少しました。葉巻主要ブランドではNAS・メビウスが健闘

したものの、目下売出中であるRRP「Ploom TECH」が4Qからの追い込みが実らず、目標

販売数量7億本のところ、4~5億本程度に留まった模様です。また、海外事業については

新興国が底堅く推移したほか、フィリピン・インドネシアでの買収寄与もあり、英ポンド安

やトルコリラ安の影響を飲み込んで、為替考慮・非考慮の両方で増益を果たしています。

 

進行期である2018年12月期通期予算については、売上高が3.8%増の22,220億円、営業

利益は変わらずの5,610億円を予想しています。国内事業の予算前提に関しては、葉巻

販売数量を対前年16%減少、「Ploom TECH」に関しては同約8倍の40億本の販売を予想

しており、足許で5%以下に留まっているとみられるRRPの国内シェアを10%強まで引き上

げる計画です。また、海外事業については、英国やロシアが持ち直しつつあり、主力の

LDやウィンストンのシェアが上昇しつつあるほか、値上げ効果や、買収相次ぐ新興国で

の上乗分があるため、為替考慮・非考慮でも2桁の営業増益を見込んでいます。基本的

には、為替考慮でなお好調な海外を、国内の数量激減が食い潰す格好となります。

 

注力中の「Ploom TECH」は既述のとおり苦戦が続いていますが、本邦RRP市場でシェア

の9割強を握り、圧倒的に先行する「iQOS(PM)」のシェアが、足許では落ち込んでいる

ことが、4月19日の同社1Q決算で明らかになっています。日本では既に「glo(BAT)」が、

昨年10月から全国拡販を進めていますが、当社も3月から主要都府県に販売を拡大し

たほか、4月からはコンビニでキットとカプセルの取り扱いを開始しているため、今後は

「iQOS」からのシェア奪取に弾みがつくことが期待されますが、当社は「Ploom TECH」

の販売状況については月次開示しておらず、まずは1Q決算待ち、となります。

 

一方、当社をはじめとする“たばこ株”で論点となるのが株主還元策ですが、2015年に

配当性向を40→50%に引き上げており、昨今の株価下落も相俟って配当利回りは5%強

の水準に上昇しました。グローバルでは“たばこ株”は旧来から高還元の筆頭ですが、

当社は海外同業と比べ還元意欲に劣るために見送られる傾向にあったものの、PMや

BAT、MO並みの利回り水準になってきたことや、まだ配当性向の上積み余地が残る点

や自社株買いの実行により、なお増配余地が残る点は高ポイントです(※注:3月には

この増配基調を受け、ムーディーズの発行体格付“Aa3”は、安定的→ネガティブへ)

 

当社は足許3月にロシアで7%のシェアを握るDT(ドンスコイ)など3社を1,900億円で買収

することを発表しており、3Qの途中から業績に寄与します。これでロシアでのシェアは

33%→40%程にまで上昇しますが、既に1.9兆円程度に迫る巨額のれん代はさらに積み

増される見通しとなりました。減損リスクは依然残るものの、グローバルでの業容拡大

と株主還元の強化を評価し、現株価水準では強気で臨みたいと考えています。

 

*参考記事① 2017-10-16  3,714円 ---

満を持して「Ploom TECH」の拡販へ、JT(2914)。

 

*参考記事② 2014-12-21  3,410円 --

来期は配当性向50%観測もロシア危機が直撃、JT(2914)のレビュー。

 

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