中計過大だが、増資のリスク後退は高評価・タマホーム(1419)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1419】タマホーム(東証一部) OP

現在値 1,765円/100株 PER12.2 PBR2.97  5月配当株主優待 11月配当優待

注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月・11月の年2回合計60円のため、配当利回りは約3.40%となります。

タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主

に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.96 %となります。

また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が

倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約4.53%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年5月期 売上高 1,383億円、営業利益 18.0億円 EPS▲14.8円 
■2017年5月期 売上高 1,570億円、営業利益 39.0億円 EPS 30.0円  

■2018年5月期 売上高 1,679億円、営業利益 46.5億円 EPS 68.1円  

■2019年5月期 売上高 1,868億円、営業利益 73.6億円 EPS 130.8円  

■2020年5月期 売上高 2,000億円、営業利益 77.0億円 EPS 143.0円 ce 

□2019年8月1Q 売上高 452円、営業利益 21.1億円 EPS 45.2円(10/10)
□2019年11月2Q売上高 870億円、営業利益 15.0億円 EPS 33.8円 四e

2019年5月期の売上高は前期比11.3%増の1,868億円、営業利益は同58.3%増の73.6億

となり、期初予想を上回って着地しました。主力の注文住宅事業において、地域限定販

(という体裁)で投入した棟単価約1,700万円の低価格ライン商品による実質値下げ効果

が継続し、住宅全体の引渡棟数は7,913棟→8,444棟へ続伸しました。リフォーム事業に

ついても天災復元需要が発生したほか、保証延長工事に係る受注が堅調に推移したほか、

不動産事業についても、前期から期ズレしたオフィス区分販売事業が寄与したことにくわえ、

博多でホテル用地として仕入れた300坪超の素地を転売に切替え、実に33億円の売却益

を営業益に計上したため、本件売却が全社の業績を大きく吹き上がらせた格好となります。


進行期である2020年5月期の予算については、売上高は7.0%増の2,000億円、営業利益

4.5%増の77億円と続伸を見込んでいます。住宅事業における期初の受注残高は、前年同

時期比22.4%増の1,269億円とかなりの高水準を確保しているほか、足許の受注状況につい

ても、開示されている9月までの4ヵ月累計の受注実績は104%で仕上がっているため、順調

な業績推移が予想されます。また不動産事業についても、7月末に羽田のホテルを売却し

ており、本件に係る売却益は非開示となっているものの、開示済の1Q決算から推定するに

十数億円水準の売却益が発生したものとみられるため、今後予想される区分所有オフィス

案件の売却が控えていることも踏まえると、今期の予算は十分に達成可能と考えられます。

 

今期は「タマステップ2021」という3年中計の中間年度となっており、売上高1,679→2,400

円(CAGR12%)、営業利益46.5→120億円(CAGR37%)という、相当野心的な定量目標値

を掲げています。基本戦略としては、当社の地盤である九州・西日本から、棟単価1,000万

円~1,500万円前後の低価格な“半企画型注文住宅”を武器に、手薄な東日本へ進出する

計画となっています。実際のところ、戦略商品である地域限定商品は想定よりも高い1,700

万円前後で飛ぶように売れているほか、全国の店舗数は既に245店を数えるまでに成長し

ているため、マス広告による効果もかなり高くなっており、好循環に入っている印象です。

 

但し、いくら注文住宅事業だけが好調でも、表記の中計数値を作ることは到底困難であり、

不動産事業における相続対策商品の区分所有オフィス販売が大きく進展することが前提と

なります。区分所有オフィスは既に都心5区で開始しており、10~20億円の物件を仕入れ、

リノベ再販により10~20%の営業利益を抜くという好採算事業ですが、ボルテックスをはじ

めとするガリバーがいるほか、新規参入が非常に多いので、会社側目論見通りに仕入れ

が出来るかは不透明です(※実際に期末時点の在庫もビル3棟分しか存在しない模様。)

そのため、今回中計で掲げる業績目標については、達成が難しいものと判断しています。


当社は13年の東証上場時に調達した約70億円を眠らせていましたが、業績の回復基調が

鮮明になるにつれて、急ピッチで株主還元へ資金を回しており、【10→15→30→53→60円

(予】と、増配基調を鮮明にしています。また足許の株価は公開価格である@980円を大きく

上回って推移しているため、20%程度の自己資本比率と今後の区分所有オフィスの仕入れ

を鑑みるとファイナンスリスクが高まっていましたが、7月に9億円を上限とする自社株買い

を決定したため、その辺のリスクが後退した点については素直に好材料かと思います。

 

*参考記事① 2018-10-16 1,105円 OP

低価格品受注堅調で、今期も気配絶好&大増配だが・・・タマホーム(1419)。

 

*参考記事② 2017-09-30  738円 OP

V字回復と高配当施策転換で公募奪回なるか、タマホーム(1419)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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