低価格品受注堅調で、今期も気配絶好&大増配だが・・・タマホーム(1416)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1419】タマホーム(東証一部) ---

現在値 1,105円/100株 PER13.8 PBR2.45 5月配当株主優待 11月配当優待

注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月・11月の年2回合計45円のため、配当利回りは約4.07%となります。

タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主

に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.97%となります。

また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が

倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約5.88%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年5月期 売上高 1,495億円、営業利益 22.8億円 EPS▲21.3円
■2016年5月期 売上高 1,383億円、営業利益 18.0億円 EPS▲14.8円 
■2017年5月期 売上高 1,570億円、営業利益 39.0億円 EPS 30.0円  

■2018年5月期 売上高 1,679億円、営業利益 46.5億円 EPS 68.1円  

■2019年5月期 売上高 1,828億円、営業利益 53.0億円 EPS 79.8円 ce 

□2018年8月1Q 売上高 300億円、営業利益▲17.5億円 EPS▲35.3円(10/12)
□2018年11月中売上高 782億円、営業利益 3.0億円 EPS 0.0円 四e

2018年5月期の売上高は前期比7.0%増の1,679億円、営業利益は同19.3%増の46.5億円と

なり、期初予想を上回って着地しました。主力の注文住宅事業において、地域限定販売

(という体裁)で棟単価1,000万円前後の低価格ラインを投入したことによる値下げ効果で

販売棟数が大きく増加したほか、建売分譲事業についても、10区画未満の規模の優良

宅地の仕入に絞ったことが奏功し、こちらも販売棟数が増加しました。その一方、不動産

事業については、マンション分譲が西新井PJや、二子玉川PJが順調に推移したものの、

オフィス区分販売事業で期ズレが発生したため、対予算ではショートとなった模様です。


進行期である2019年5月期の売上高は8.9%増の1,828億円、営業利益は13.9%増の53.0億

円と2桁の続伸を見込んでいます。注文住宅事業における期初の受注残高は前年同時期

比11.4%増の1,036億円を確保しているものの、通期の引渡し戸数は実績期よりも4%増の

約8,700戸を見込んでいるため、(単価の問題はあるものの)会社側はやや保守的な見立て

と推察されます。また、足許の受注状況についても力強く推移しており、台風や地震などの

マイナス与件があったものの、開示されている9月までの4ヵ月累計での金額ベースの受注

実績は114%で仕上がっているほか、これ以外でも10月末に福岡のホテル用地売却により

経常利益ベースで12億円超がオンされる見通しとなっているため、上期のみならず通期で

も上振れ濃厚な絶好の気配で業績進捗しています。


実績期は前中計「タマステップ2018」の最終年度であり、途中で減額ローリングしたものの

修正後の営業利益目標の40億円はきっちりクリアし、上場前後の営業利益水準である45~

50億円水準を復元させ、まずまずの着地となりました。また、今期からは「タマステップ2021」

という新3年中計を公表しており、売上高1,679→2,400億円(CAGR12%)、営業利益46.5→120

億円(CAGR37%)という超野心的な定量目標数値に置き換えています。基本的には、地盤の

九州・西日本エリアから、棟単価1,000~1,500万円前後の低価格な“半企画型注文住宅”を

武器に、手薄な東日本へ進出する計画であり、向こう3年で全国シェアトップを目指します。

 

本業の注文住宅・建売以外の伸び代としては、かねてから羽田と大阪で手掛けているホテル

事業の拡大と、カンボジアやハワイに進出している海外事業をさらにインドやミャンマーへと

広げる計画です。また、当面の利益ドライバーになると目されているのが、相続対策商品で

ある区分所有オフィスの販売であり、既に都心5区で開始しています。10~20億円の物件を

仕入れて、リノベ後に再販することで15~20%の営業利益を抜くという好採算事業ですが

この業界にはボルテックスというガリバーがいるほか、新規参入も多いので、会社の目論見

通りに中小築古ビルの仕入れが進むかどうかはまだ疑問符が付く状況です。


当社は13年の東証上場時に調達した約70億円を眠らせていましたが、業績の回復基調が

鮮明になるにつれて、急ピッチで株主還元へ資金を回しており、【10→15→30→45円(予】

と、今期はなんと15円もの大増配となる45円配当を予想しています。足許の株価もついに

公開価格である@980円を回復しており、事実上のV字回復となっているため、文句はつけ

ずらいのですが、自己資本比率は依然17%程度に留まっており、今後区分所有オフィスを

本格展開しようとすると体力も求められるため、足許で大増配が公表されている状況では

あるものの、財務を良化させるインセンティブが存することには留意すべきかと思います。

 

*参考記事① 2017-09-30  738円 ---

V字回復と高配当施策転換で公募奪回なるか、タマホーム(1416)。


*参考記事② 2016-10-16  552円 ---

減益基調からの大幅増配は自信の裏返しか、タマホーム(1419)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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