年54円配に増配だが、もう一段の還元強化に期待・宝印刷(7921)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7921】宝印刷(東証1部) NT 

現在値 1,707円/100株 PER14.6 PBR1.22 5月配当優待 11月配当

上場企業のディスクロージャー事業大手。上場準備から継続開示まで。
配当金は5月末・11月月の年2回計54円のため、配当利回りは3.16%となります。

宝印刷は株主優待制度を導入しており、5月末に100株以上を保有する株主に対して、

1,500円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.04%となり

ます。なお、3年超継続して保有する場合は、長期特典により2,000円相当のカタログ

ギフトにグレードアップしますので、その場合の利回りは約4.33%となります。

業績を確認していきます。
■2016年5月期 売上高 146億円、営業利益 15.7億円 EPS 97.0円 

■2017年5月期 売上高 151億円、営業利益 14.7億円 EPS 96.8円 
■2018年5月期 売上高 157億円、営業利益 15.3億円 EPS 99.3円 

■2019年5月期 売上高 182億円、営業利益 17.8億円 EPS 110.6円 

■2020年5月期 売上高 191億円、営業利益 19.0億円 EPS 116.3円 ce

□2019年8月1Q売上高 64.6億円、営業利益 13.2億円 EPS 82.7円(9/30)
□2019年11月2Q売上高 103億円、営業利益 13.6億円 EPS 82.3円 ce

2019年5月期の売上高は前期比15.6%増の182億円、営業利益は同16.0%増の17.8億円と

なり、期初予想を上回って2桁幅の増収増益を果たしました。当社は証券会社同様に株式

市場の感応度が高い銘柄ですが、日経平均は19,000円~24,000円と大きなレンジ内での

ボラタイルな推移となり、事業環境としては不安定な一年でしたが、金商法関連が大型銘

柄のファイナンスにともなう目論見書の受注で2桁のセグメント増益となったほか、会社法

関連についても英文翻訳需要が伸長しました。またIR関連についても、統合報告書ニーズ

の拡大により増収を確保したため、結果的には全セグメントで増収を果たしました。


進行期である2020年5月期の予算については、売上高が4.6%増の191億円、営業利益は

6.7%増の19.0億円を見込んでいます。有価証券報告書の納期が集中する6月を跨ぐ1Qが

一番の繁忙期となりますが、9月末時点で開示がなされており、売上高は1年前の同時期

比9.2%の増、営業利益は同1.8%の増で推移しています。今期は会社法関連において英文

開示の拡大により、翻訳需要の増加が引き続き見込まれるほか、実績期において連結化

したイーツー社、十印社(※後述)の通年寄与が見込まれます。同業であるプロネクサスと

のIPO獲得競争は激化しているものの、全セグメントで概ね底堅い業績が期待されるため、

今期の予算は十分達成可能圏にあると考えています。


今期は3年中計の最終年度の位置付けであり、定量目標として売上高191億円(CAGR8%)、

営業利益19億円(CAGR11%)を置いており、今期予算もそれに則した数値になっています。

ただ初年度・2年度目ともにマイルストンの業績目標を超過達成しているような状況であり、

前回の3年中計も無事に達成出来ている点も踏まえると、今回中計も手堅く達成される公

算が高そうです。上期の株式市場の地合もまずまずの水準であることから、ここから半年

で大崩れがあったとしても、既に最繁忙期を終えていることから、通期の業績的には持ち

堪える可能性が高く、IPO案件に限らず同業のプロネクサスに押されがちではあるものの、

プロ市場の「J-Adviser」やコンサルといった独自性のある業務での補完が期待されます。

 

また、足許ではWebサイトサービスを手掛ける子会社のイーツーを連結化したほか、創業

55年を誇る老舗翻訳会社で多言語ローカライズを得意とする十印を買収して完全子会社

化しており、オーガニック成長以外のMA等による“飛び道具”を用いた成長を志向してい

るようです。国内市場がほぼ飽和しつつある中で、そういった外部成長戦略が今後の興

味の中心となりますが、詳細は来期からの次期中計で明らかになってくるとみられます。

 

財務面については、ほぼ無借金状態を継続しており、70億円ものネットキャッシュがダブ

ついているため、手頃なMAであれば資金調達せずとも手元の現金で十分手当出来ます。

株主還元については、旧村上ファンドの一派であるストラテジックキャピタルから仕掛けら

れた際に増配した年50円の配当水準を維持してきましたが、ついに今期は4円増配して、

年54配を予想しています。ただこれでも、配当性向はメドとする50%に満たない46.4%程で

あるため、再増配期待は強く、中計達成ともに「56円+α円」を期待したいと思います。

 

*参考記事① 2018-10-25  1,840円 NT

日経の来期4円増配報道否定も、還元強化は規定路線か・宝印刷(7921)。

 

*参考記事② 2018-03-15 1,851円 NT

新中計やや過大で、興味の矛先は株主還元の再強化・宝印刷(7921)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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