羽田枠は11.5便増加で決着、高水準の株主還元続く・日本航空(9201)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_6406.jpg

【9201】日本航空 (東証一部)  BY

 

現在値 3,313円/100株 PER10.1 PBR1.00 3月配当優待 9月配当優待*

国内線・国際線ともに2位。公的資金投入とリストラで更正法終結。
配当は3月末・9月末の合計110円のため、配当利回りは3.32%となります。

日本航空は株主優待制度を導入しており、3月末の単元株保有株主に対して、国内便が

半額になる株主割引券を進呈しておりますので、1枚5,000円換算した場合の優待利回り

は約4.83%となります。(※2単元保有の場合には、9月にも追加で1枚発行されます。)
 

業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 13,366億円 営業利益 2,091億円 EPS 481円
■2017年3月期 売上高 12,889億円 営業利益 1,703億円 EPS 456円

■2018年3月期 売上高 13,832億円 営業利益 1,745億円 EPS 383円 

■2019年3月期 売上高 14,872億円 営業利益 1,761億円 EPS 432円

■2020年3月期 売上高 15,630億円 営業利益 1,700億円 EPS 326円 ce

★2020年3月期 売上高 15,435億円 営業利益 1,699億円 EPS 329円 COSe

□2019年6月1Q 売上高  3,557億円 営業利益  210億円 EPS 34.2円(7/31)
□2019年9月2Q 売上高  8,200億円 営業利益  935億円 EPS 181円 四e

 

2019年3月期の売上高は前期比7.5%増の14,872億円、営業利益は同0.9%増の1,761億円

となり、期初の減益予想から一転して増益着地となったほか、コンセンサス水準も超過し、

堅調な内容となりました。国際線旅客数については、旺盛な旅客需要を背景に新路線の

開設や増便を順調にこなし、過去最高を更新したほか、油価上昇に伴いサーチャージ収入

が増加しました。また、国内線についても、西日本豪雨や北海道地震などによる押し下げ

要因があったものの、個人旅客を中心とした需要が底堅く推移し、国際線同様に旅客数は

過去最高を更新しました。利益面については、油価上昇による費用増以外では、整備費・

人件費がそれぞれ約100億円増加したほか、国内線チェックインシステムのアマデウス移

行(第2フェーズ)に90億円を要したものの、トップライン増加で飲み込んだ格好となります。


進行期である2020年3月期予算に関しては、売上高が5.1%増の15,630億円、営業利益

は3.5%減の1,700億円と減益を予想していますが、これは後述する中計に沿った数値です。

予算前提については、国際線でASK+2.5%/RPK+4.3%、国内線でASK+2.6%/RPK+1.3%と

調な伸びを予想しており、堅調な旅客需要とシステム刷新によるレベニューマネジメン

トの高度化による単価増が見込まれるほか、下期にかけて国際線の増便効果が発現して

いく見通しとなっています。利益については、油価上昇(SGK83.9→90.0$)により、241

円の費用増をみているほか、これまで営業外計上していたエンジン部品の償却方法を

変更し、営業費用として認識することにより100億円が費用増となるため、期初の予算は

減益想定ながら、本来の実力ベースでは増益となるべきはずの内容となっています。


当社は俗に言う「8.10ペーパー」による羽田発着枠不利配分の回避を意識して、中計に

おける数値設定は保守的に行われる傾向があるものの、本年2月には昨年の同時期に

一度ロールした中計を再度またロールしています。最終年度の2021年3月期に売上高

16,000億円、営業利益1,800億という定量目標は据え置いているもののの、上述の通り

部品の償却方法の変更で営業利益100億円が押し下がるので、実体としては多少増額

した格好となります。

 

本中計期間中の懸念点としては、今2020年3月期まではタイトな需給に支えられて堅調

な業績が予想されるものの、翌2021年3月期は羽田空港の国際線発着枠が拡大され、

日系航空会社だけでも25便分(全50便)が配分され、需給が緩む見通しとなっています。

昨日国交省より発表されたスロット配分によれば、当社枠は11.5便増(※競合のANAは

13.5便増)となっていますが、この配分それ自体は当社の意向に沿うものとされており、

俗に“質のJAL、量のANA”と言われる経営方針の違いに由るものと推察されますが、

それよりも羽田国際便の激増による需給悪化の懸念の方が大きいと考えられます。


そんなわけで、業績的には翌期にかけて不透明感が残る状況ですが、当社株における

主な投資論点は株主還元にあると考えておりまず。これまで当社は、株主資本配当率

(DOE)3%と配当性向30%の還元基準を定めていましたが、今期から欠損金の繰越控除

制度適用終了と通常税率採用によりEPSが削られてしまうため、これをカバーするべく、

株主資本配当率(DOE)3%超、配当性向35%、総還元性向35~50%の新基準の採用を

決定しています。今期は200億円(2%)の自社株購入枠を足許でほぼ消化しているほか、

年間配当も110円を予定しているため、総還元性向は概ね50%強に達する見通しであり、

税負担通常化後も高水準の株主還元が期待される状況と言えます。

 

*参考記事① 2018-09-05  4,058円 OP

油価上昇が気掛かりも、修正中計の株主還元強化は評価・日本航空(9201)。

 

*参考記事② 2017-07-24  3,633円 OP

念願の配当性向引き上げも、中計の意欲は低い・日本航空(9201)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

新品価格
¥2,200から

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村