念願の配当性向引き上げも、中計の意欲は低い・日本航空(9201)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9201】日本航空 (東証一部) --

 

現在値 3,633円/100株 PER12.8 PBR1.32 3月配当優待 9月配当優待*

国内線・国際線ともに2位。公的資金投入とリストラで更正法終結。
配当は3末・9末の合計90円のため、配当利回りは2.48%となります。

日本航空は株主優待制度を導入しておりまして、3月末現在の単元株を
保有する株主に対して、国内便が半額になる株主割引券を進呈しており
ますので、1枚4,000円換算した場合の優待利回りは約3.57%となります。
(※2単元保有の場合には、9月にも優待券が追加で1枚発行されます。)

 

業績を確認をしていきます。
■2014年3月期 売上高 13,093億円 営業利益 1,667億円 EPS 458円
■2015年3月期 売上高 13,447億円 営業利益 1,796億円 EPS 411円
■2016年3月期 売上高 13,366億円 営業利益 2,091億円 EPS 481円
■2017年3月期 売上高 12,889億円 営業利益 1,703億円 EPS 456円

■2018年3月期 売上高 13,339億円 営業利益 1,420億円 EPS 282円 ce
□2017年9月中 売上高  6,650億円 営業利益  750億円 EPS 152円 四e

 

2017年3月期の売上高は前年同期比3.6%減の12,889億円、営業利益は同

18.6%減の1,703億円となり、ほぼコンセンサス予想線で着地となりました。

熊本地震発生による国内線の低迷に加え、ドバイ原油の想定が期初36$

(中間で42.9$に修正)だったところ、OPECの減産合意等もあり、通年では

45.6$まで上昇し、コストが圧迫されました。また売上高段階でも円高によ

る為替影響と国内線・国際線の競争激化により単価減に見舞われました。

進行期の2017年3月期の予算に関しては、売上高が3.9%増の13,390億円、

営業利益は16.6%減の1,420億円と2期連続の大幅減益を予想しています。

国際線は4月のHND-NYC便の開設等により増収(ASK+2.7%、RPK+3.3%)を

見込んでいるほか、国内線も伊丹発着便へのE190型機導入による路線

拡充やWiFi無料CPによる増収(ASK+1.4%、RPK+1.3%)を計画しています。

期待外れだったのは、今秋に導入予定の航空券予約の新システム費用に

140億円、エンジン整備費増加による100億円など、市況外の諸々の費用

発生を見込んでいるため、コンセンサス予想比で400億円弱も営業利益が

削られてしまい、今期も連続増益を見込むANAとの比較で嫌気されました。


更にネガティブだったのは、今回新たに公表された新4年中計で、「営業

利益率10%を維持(※直近5年は14%)」という意欲のない定量目標が示され、

4年で国際線ASKを23%伸ばす計画(※20年の羽田発着枠追加で達成可能)

であるものの、そのわりに利益が全然ついてこない計画となっています。

 

マテリアルに記載はないものの、会社側のコメントとしては2021年3月期の

売上高を15,000億円・営業利益を1,800億円を目安としている模様であり、

コンセンサスだった営業利益2,000億円の奪回も手が届きません。「8.10」

ペーパーの存在により、20年の羽田発着枠で不利配分を食らわない様に

わざとコンサバな中計を出した可能性もありますが、定かではありません。

ただ会社側もこの今期予算と中計はさすがにマズいと考えたのか、緩衝

材として、配当性向25→30%への引き上げと、中間配の実施を表明してい

ますが、肝心の配当額が減益前提のため94→90円に減配となってしまっ

ています。これに加えてあと3年で税優遇期間が終了することで、EPSは

削られてしまうため、本来であれば最低配当額の設定が望まれるところ

でしたが、それもなかったため、株主還元策に関しても失望感があります。

 

・・・ということで、当面は自力での業績良化くらいしかアップサイド要因が

ないものの、会社側としてもここまで中計が失望されたのは想定外だった

という観測もあるようですので、前期の様にそこそこの規模の自社株買い

を繰り出してくる可能性くらいはあるかもしれません。

 

*参考記事① 2016-11-24  ---

通期減額も、300億円の自社株買いで対応・日本航空(9201)。

 

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