現在値 771円/100株 PER14.2 PBR0.37 3月配当優待 9月配当
旧財閥系の倉庫準大手。外資系の取扱多い。関西の中央倉庫と提携。
配当は3月9月の年間14円配で、配当利回りは1.82%となります。
安田倉庫は株主優待を導入しており、3月末の単元以上株主に対して、
お米券を2枚進呈しておりますので、配当優待利回りは2.95%となります。
業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 352億円、経常利益 25.4億円 EPS 51.6円
■2015年3月期 売上高 384億円、経常利益 25.6億円 EPS 53.9円
■2016年3月期 売上高 387億円、経常利益 24.4億円 EPS 46.0円
■2017年3月期 売上高 406億円、経常利益 30.9億円 EPS 68.8円
■2018年3月期 売上高 427億円、経常利益 25.5億円 EPS 57.6円 ce
□2017年9月中 売上高 206億円、経常利益 9.5億円 EPS 21.4円 ce
2017年3月期の売上高は前期比5.1%増の406億円、経常利益は同26.6%
増の30.9億円となり、横ばい予想だった期初予算を大きく上回りました。
主力の物流事業に関しては新規取引先や既存顧客の取扱拡大にくわえ
前期末に取得した吉川市のメディカル物流拠点がフルに寄与しました。
不動産事業については、再開発案件(建替)にともなう賃料収入の減少に
ともない減収となったものの、工事受注により多少その穴を埋めました。
進行期である2018年3月期の予算に関しては、売上高が5%増の427億円
経常利益は22.6%減の24億円と反落を予想しています。主力の物流事業
については、単価の高いメディカル・IT機器分野を中心に堅調な展開が
予想されるものの、6月竣工予定の九州営業所(5千坪)と不動産事業に
おける12月竣工予定の横浜西口鶴屋町再開発(ホテル・商業)の開業費
や租税負担の増加により、経常利益は前期並みの水準に逆戻りします。
今期は2019年3月期を最終年度とする3年中計の中間年度であり、翌期
に売上高480億円(CAGR7.5%)、経常利益32億円(CAGR9.5%)を目指して
おります。今期予算が従来どおり保守的な印象があるものの、既に直近
期で31億円近い経常益を実現していることを踏まえると、利益面に関して
は達成が視野に入るものと思われます。一方トップラインに関してはやや
遅れている印象であり、既述の九州・横浜鶴屋町以外の海外物件や、高
木工業物流に続くMAなどの案件がないと、達成は難しいと思われます。
業績面に関してはそういったところで、実際さほど見るべきところはない
のですが、資産状況に関しては相変わらずの「含み」を抱えており、賃貸
用不動産だけで170億円の含み益を有しているほか、約3,000万株弱を保
有するヒューリック株(時価は300億円)を含めた保有有価証券は実に400
億円にのぼります。有利子負債が250億円ありますが、このヒューリック
株だけで相殺出来るような状況ですので、実現利益とする場合は税金
を考慮する必要があるものの、時価220億円のNAVとしては強烈です。
ここで触れなくてはならないのは、同じく大量のヒューリック株を保有する
芙蓉系の帝国繊維が、大株主のスパークスAMから売却のプレッシャー
がかかっていることであり、もし帝国繊維がこの圧力に屈して、保有する
ヒューリック株の取扱等に関して何らかのコーポレートアクションを採って
くる場合は、少なからず当社へのハレーションが発生すると思われます。
当社株の再評価に当たっては、本件が目下最大のカタリストですので、
その動向を注視していきたいと考えております。
*参考記事① 2014-12-15 1,036円 ---
ベイエリア不動産と有価証券に含み益、安田倉庫(9324)のレビュー。
*参考記事② 2014-07-09 1,059円 ---
実はヒューリックの大株主、安田倉庫(9324)の投資判断。
![]() |
新品価格
|
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。