【9405】朝日放送グループホールディングス (東証一部) OP
現在値 697円/100株 PER11.4 PBR0.44 3月配当優待 9月配当優待
西日本最大手民放でテレ朝系列。住宅展示事業大手。ゴルフ場も。
配当は3月末9月末の合計18円のため、配当利回りは2.58%となります。
朝日放送は株主優待を実施しており、3月末・9月末の単元保有の株主に500円分のクオ
カードを年2回進呈しておりますので、配当優待利回は約4.01%となります。
業績を確認をしていきます。
■2016年3月期 売上高 810億円 経常利益 44億円 EPS 58.1円
■2017年3月期 売上高 823億円 経常利益 52億円 EPS 83.6円
■2018年3月期 売上高 809億円 経常利益 45億円 EPS 65.9円
■2019年3月期 売上高 819億円 経常利益 46億円 EPS 91.5円
■2020年3月期 売上高 835億円 経常利益 40億円 EPS 61.1円 ce
□2019年6月1Q 売上高 193億円 経常利益 7.7億円 EPS 11.9円(8/2)
□2019年9月2Q 売上高 400億円 経常利益 11億円 EPS 35.5円 四e
2019年3月期の売上高は前期比1.2%増の819億円、経常利益は同1.2%増の45億円となり、
3Q時の増額修正後の水準にサヤ寄せする形で、対期初予算では上振れ着地しました。
主力の放送事業において、ローカル分野については「おはよう朝日です」等の情報番組が
底堅く推移したほか、ネットワーク分野の「ポツンと一軒家」が好調に推移しました。その
一方、スポット分野については、クライアントのネット広告シフトの影響が色濃く出て低調
だったほか、視聴率が全日帯で業界4位にまで転落した影響を受けて続落となりました。
放送外のセグメントについては、利益貢献の高いハウジング事業において、西宮・酒蔵
通りの開業もあり、会場数自体は減少しているものの、前期並みの業績を確保しました。
2020年3月期の予算については、売上高が前期比1.8%増の835億円、経常利益は12.9%
減の40億円を予想しています。放送事業については、実績期の視聴率が全日帯その他
で他局にシェアを奪われたものの、足許ではやや持ち直してきており、好採算のスポット
収入の回復が見込まれるほか、ヒット番組である「ポツンと一軒家」が、今期から通年で
寄与します。但し、一部業務をグループ会社へ移管することにより外注費の増加が見込
まれるため、実力ベースでは横ばい想定ではあるものの、予算上は増収減益となります。
一方、ハウジング事業については、拠点の閉鎖はあるものの、好採算会場の延長効果
が寄与し、概ね実績期並みの数字を予想しています。
当社は中期的な計画として2021年3月期に売上高890億円、経常利益60億円(直近実績
42.5億円)を目指しています。既述のとおり、主力の放送事業における全日帯視聴率が、
在阪キー局では読売テレビに次ぐ2位から、毎日放送や関西テレビにも抜かれて4位に
転落していましたが、直近半年では毎日放送を抜き返して、関西テレビと並ぶ同率2位に
まで持ち直してきました。また、従来型のテレビのスポット広告依存からの脱却が徐々に
進んでおり、催物・配信事業(バーチャル高校野球・TVer)や、番組制作・制作技術関連
会社収入のウエイトが増えており、放送関連事業の収入はやや減少基調にあるものの、
事業の体制としては、かつてより筋肉質になっている印象を受けます。
また、アニメ・ライツ・海外の成長3事業については、アニメの「ABC animation」が想定
を上回るペースで成長しているものの、「ABC RIGHTS」、「ABC International」がIP
の絶対量不足で経費先行となっていましたが、5月10日には「秘密結社 鷹の爪」などの
有力IPを保有するDLE(3686)の第三者割当増資を引き受け、27億円(@126円)を投じて
保有株の過半(51.97%)を取得し、連結子会社に収めています。DLEは昨年不適切会計
処理で東証より特設注意市場銘柄に指定され、課徴金の納付命令も受け叩き売られて
いましたが、創業者の椎木氏からの“身売り”を受け入れた格好となります。ただ、その
DLE凋落の元凶となった「東京ガールズコレクション」の運営権を既に手放してしまって
おり、当社が直近でイベント運営企画会社のマッシュと資本業務提携を済ませたことを
考えると勿体ない部分が残るディールですが、有力IPが限られる当社にとっては、それ
でも一定の意義があるものと考えており、今後のマネタイズに期待したいと思います。
最後に株主還元ですが、今期は10円減配となる年18円配当を予想しています。これは
今期の減益予算に合わせて、配当性向基準である30%を機械的に適用したものですが、
開示済の1Qが好調に推移している点や、期中~期末にかけて増配してくる傾向がある
ことなどから、10円丸々減配することはないと思われます。当社は基本的に現金じゃぶ
じゃぶ、保有有価証券もじゃぶじゃぶの超絶好財務企業であるため、これ以上自己資本
を積み上げる意義は薄く、中計で掲げるROE値改善のためにも、いち早い増配(復元配)
の開示が望まれます。
*参考記事① 2019-02-10 710円 OP
業績上振れで期中増配だが、視聴率は苦戦続く・朝日放送グループHD(9405)。
*参考記事② 2017-09-14 855円 NT
AbemaTV向け開始も、業績も株主還元も頭打ち状態・朝日放送(9405)。
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