AbemaTV向け開始も、業績も株主還元も頭打ち状態・朝日放送(9405)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9405】朝日放送 (東証一部) --

現在値 924円/100株 PER14.5 PBR0.66 3月配当優待9月配当優待

西日本最大手民放でテレ朝系列。住宅展示事業大手。ゴルフ場も。


配当は3月末9月末の合計20円のため、配当利回りは2.16%となります。

朝日放送は株主優待を実施しており、単元保有の株主に500円分のクオ

カードを年2回進呈しておりますので、配当優待利回は3.24%となります。

業績を確認をしていきます。
■2014年3月期 売上高 814億円 経常利益 60億円 EPS 79.7円
■2015年3月期 売上高 806億円 経常利益 48億円 EPS 54.0円
■2016年3月期 売上高 810億円 経常利益 44億円 EPS 58.1円 
■2017年3月期 売上高 823億円 経常利益 52億円 EPS 83.6円 

■2018年3月期 売上高 805億円 経常利益 43億円 EPS 63.6円 ce
□2017年9月中 売上高 389億円 経常利益 10億円 EPS 15.0円(11/10)

2017年9月中間期の売上高は前期比4.8%減の389億円、経常利益は同19.0

%減の10.2億円となり、期初計画を下回りました。主力の放送事業において、

ローカル分野については情報番組が底堅く推移したものの、全国ネット分野

に関しては有力番組である「土曜ワイド劇場」の終了や、番組単価の下落も

あり、タイム収入がおしなべて低調に推移しました。また、ハウジング事業に

関しては、川崎の新展示場の寄与により増収を確保したものの、開業費用

の増加もあり、当該セグメントも減益での着地となりました。

2018年3月期通期の予算については据え置いており、売上高は前期比2.2%

減の805億円、経常利益は18.3%減の43億円と減収減益を予想しています。

放送事業については、全国ネット番組数の減少が通期で影響するものの、

「必殺仕事人」の下期投入や、同番組に出演する東山紀之氏を起用した朝

の新情報番組のスタートにより、テコ入れされる見通しです。また、構成比

は低いもののゴルフ事業が好調に推移しているため、多少の数字の寄与

あるとみられるものの、全社トータルでは業績未達の公算が高そうです。


当社は長期的な計画として2022年3月期に売上高1,000億円、営業利益80

億円(直近期実績49.7億円)を目指していますが、主力の放送事業における

全日視聴率が、在阪キー局では読売テレビに次ぐ2位から、毎日放送にも

抜かれて3位へ転落している状況を鑑みると、厳しい状況です。在京キー

が推進する個人視聴率や録画視聴率も加味した新指標(※TV局側に都合

良い指標になると思われる)の採用により、スポット広告料収入にプラス

となる可能性もあるものの、現時点ではその寄与をアテに出来ません。


そんな中、アニメ・ライツ・海外の成長3事業で新しい食い扶持を探索する

「ABC FRONTIER社」に関しては、想定を上回るペースで成長している模様

であり、アニメでは「プリキュア」や深夜アニメの二次利用版権収入、ライツ

ではパチンコ版権収入等が伸長しています。また、テレビ朝日がサイバー

エージェント(4751)と提携してAbemaTVを展開している関係もあり、当社も

CA社と「ハケンのキャバ嬢・彩華」というドラマを共同で制作し、そこそこの

ヒットを収めています。ただAbemaTVは文句なしの成長分野であるものの、

言うまでもなく競合しますので、今後は棲み分けが課題となってきます。

最後に株主還元ですが、今期は6円減配の20円配当を予想しています。

当社は現金じゃぶじゃぶの超好財務企業ですが、配当性向基準は依然30

%に留まっています。停滞気味の業績を鑑みるに、もうこの水準を引き上げ

るよりほかないのですが、当社も親会社の朝日新聞も“レガシーメディア”

という自覚があると思われ、(退職給付や雇用のために)余計な吐き出しを

しない可能性も十分にあり、株主還元はそろそろ頭打ちかもしれません。

 

*参考記事① 2017-09-14 855円

コンテンツ事業拡大が、ジリ貧脱出の鍵・朝日放送(9405)。

 

*参考記事② 2015-12-06 855円 --

スポット広告好調も、今期もまた配当据置き予想・朝日放送(9405)。

 

 

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