コンテンツ事業拡大が、ジリ貧脱出の鍵・朝日放送(9405)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9405】朝日放送 (東証一部) --

現在値 855円/100株 PER13.3 PBR0.62 3月配当優待9月配当優待

西日本最大手民放でテレ朝系列。住宅展示事業大手。ゴルフ場も。


配当は3月末9月末の合計20円のため、配当利回りは2.34%となります。

朝日放送は株主優待を実施しており、単元保有の株主に500円分のクオ

カードを年2回進呈しておりますので、配当優待利回は3.50%となります。

業績を確認をしていきます。
■2014年3月期 売上高 814億円 経常利益 60億円 EPS 79.7円
■2015年3月期 売上高 806億円 経常利益 48億円 EPS 54.0円
■2016年3月期 売上高 810億円 経常利益 44億円 EPS 58.1円 
■2017年3月期 売上高 823億円 経常利益 52億円 EPS 83.6円 

■2018年3月期 売上高 805億円 経常利益 43億円 EPS 63.6円 ce

□2017年6月1Q 売上高 193億円 経常利益 8.1億円 EPS 11.6円(8/2)
□2017年9月中 売上高 391億円 経常利益 11億円 EPS 17.1円 ce

2017年3月期の売上高は前期比1.5%増の823億円、経常利益は同19.4%増

の52.66億円となり、期初計画を上回りました。主力の放送事業において、

タイム広告が伸び悩んだものの、近畿圏の景況改善によるスポット広告が

好調だったことで、収益を押し上げました。一方、本来のドル箱事業である

ハウジング事業は、大名古屋ビルヂングを2フロア借りた「HDC名古屋」の

通期稼働効果があったものの、事業費用が増加して減益となりました。

進行期である2018年3月期通期の予算に関しては、売上高が2.2%減の805

億円、経常利益は18.3%減の43億円と一転して減収減益を見込んでいます

放送事業において大型のイベントが剥落することや、当社製作番組が減

少することが原因であり、他にも前の期に好調だったスポット広告の反落

を見込んでいるとみられます。TV局は業種的には装置産業の一種である

ため、小幅な減収であっても減益幅が大きくなります。なお、ハウジング事

業とゴルフ事業に関しては概ね前年並みの数字を置いています。


当社は創立70周年となる、2022年3月期に売上高1,000億円、営業利益80

億円(直近実績34.8億円)を目指していますが、直近5期のアクチュアル値

で売上高790~820億円、営業利益40~57億円の幅で右往左往しており、

今期の予算もこのレンジの下限に近いため、この定量目標は画餅的です。


それでも、次世代ドメインである、コンテンツ事業の「ABC FRONTIER社」が

管轄する成長3事業に関しては順調に伸びている気配があり、アニメ事業

では、出資映画である"聲の形"が興行23億円のヒットとなりました。また、

今期についても国際事業ではベトナム向けの日本紹介番組の制作・販売

を予定しているほか、版権事業では「ぱちんこ 必殺仕事人Ⅴ(京楽)」の販

売開始も予定しているため、各セグとも収益が取れるようになっています。

 

事実、この成長3事業の実績期における売上高は9.1億円と、会社側の計

画を超過しており、4年後の目標売上高の17億円は十分射程に入ります。

成長3事業の全社への寄与は限定的であるものの、既存の放送事業は

確実に斜陽化していくので、事業ドメインを広げる意味で非常に重要です。

最後に株主還元ですが、今期は6円減配の20円配当を予想しています。

何度も触れていますが、当社はほぼ無借金でありながら、170億円の現金

及びその同量の有価証券を抱えており、じゃぶじゃぶ状態となっています

しかしながら、当社大株主の朝日新聞社は中之島のフェスティバルタワー

ウエストの稼働開始(満床とされる)もあり、潤沢な不動産収入で全くお金

に困っておらず、当社も必要以上の高配当を吐き出そうとしないと思われ、

公表配当性向30%下限に牛歩増配していくのが関の山かと思われます。

 

*参考記事① 2015-12-06 855円 --

スポット広告好調も、今期もまた配当据置き予想・朝日放送(9405)。

*参考記事② 2015-12-06 855円 --
フジを真似てスタートアップVC事業を開始、朝日放送(9405)。

 

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