業績上振れで期中増配だが、視聴率は苦戦続く・朝日放送グループHD(9405)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9405】朝日放送グループホールディングス (東証一部) ---

現在値 710円/100株 PER10.7 PBR0.45 3月配当優待 9月配当優待

西日本最大手民放でテレ朝系列。住宅展示事業大手。ゴルフ場も。

配当は3月末9月末の合計20円のため、配当利回りは3.52%となります。

 

朝日放送は株主優待を実施しており、3月末・9月末の単元保有の株主に500円分の

クオカードを年2回進呈しておりますので、配当優待利回は4.92%となります。

業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 806億円 経常利益 48億円 EPS 54.0円
■2016年3月期 売上高 810億円 経常利益 44億円 EPS 58.1円 
■2017年3月期 売上高 823億円 経常利益 52億円 EPS 83.6円 

■2018年3月期 売上高 809億円 経常利益 45億円 EPS 65.9円 

■2019年3月期 売上高 820億円 経常利益 43億円 EPS 85.6円 ce修正
□2018年9月2Q 売上高 392億円 経常利益 12億円 EPS 36.9円

□2018年12月3Q 売上高 610億円 経常利益 32億円 EPS 70.8円(2/8)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比0.9%増の389億円、経常利益は同17.0%増の12

億円となり、売上高は見込みを多少下回ったものの、利益は大きく上振れて着地しました。

主力の放送事業において、ローカル分野については「おはよう朝日です」などの情報番組

が依然底堅く推移したものの、スポット・タイム分野については、クライアントのネット広告

シフトの影響が色濃く出て低調に推移し、セグメントとしてはアニメや通販の下支えにより

黒字を確保したものの、朝日放送テレビ単体では赤字になっています。一方、ハウジング

事業については、西宮・酒蔵通りの開業もあり、増収増益基調を堅持しています。

2019年3月期通期の予算については、足許3Q時点で増額しており、売上高は前期比1.2%

増の820億円(従予:810億円)、経常利益は5.3%減の43億円(従予:30億円)にそれぞれ修正

しています。放送事業については、依然として全般低調に推移しており、プライム(19-23時

)を除く全時間帯で他社にシェアを奪われるなど苦しい状況が続いていますが、足許では

好採算のスポット収入を中心に想定より持ち直していることから、主に利益面での改善が

大きくなる見通しです。また、ハウジング事業についても、拠点の閉鎖はあるものの、新規

開業効果が大きく、当該セグは概ね2桁の幅で増収増益を確保する見通しとなっており、

全社業績を大きく下支えする公算です。


当社は中期的な計画として2021年3月期に売上高890億円、経常利益60億円(直近実績

42.5億円)を目指していますが、主力の放送事業における全日視聴率が、在阪キー局で

は読売テレビに次ぐ2位から、毎日放送や関西テレビにも抜かれて4位まで転落しており、

振り向けばNHK(5位)という状況です(注:関西はそもそもNHKをあまり好まない傾向有り)。
在京キー局が推進している録画率も加味した新視聴率基準の導入による視聴率を押し上

げ施策や、TV/ネット連動型広告の導入など、あの手この手でテレビ広告収入の梃入れを

図っていますが、そもそもここ数年は制作費の抑制で利益をひねり出していることもあり、

構造的にヒット番組が生まれずらく、コンテンツの劣化も相俟って、逆回転に陥っています。


その一方、アニメ・ライツ・海外の成長3事業については、アニメの「ABC animation社」が

想定を上回るペースで成長しており、「HUGっと!プリキュア」や「Free!」を中心に版権二次

利用が伸長しています。ただそれ以外の「ABC RIGHTS社」、「ABC International社」が

そもそもIPの絶対量が不足して経費先行となっている状況であるため、これら成長3事業
がモノになるには時間がかかるとみられます。そのため、中計に掲げる業績目標は本業

である放送事業の持ち直し以外では達成することが不可能であり、現時点では経常利益

60億円程度の目標であっても、かなり高いハードルかとみられます。

最後に株主還元ですが、今期は業績好調により5円増配となる25円配を予想しています。

当社は現金じゃぶじゃぶの超好財務企業であり、配当性向基準は依然30%に留まってい

ますが、自己資本の積み上がりが早すぎるので、中計目標である「ROE改善に努める」に

照らせば、現状4%強に過ぎない現水準はあまりに低すぎるので、とりあえずは今期期中

増配した年25円の水準は普通配(安定部分)として、来期も据え置いて欲しいと思います。

 

*参考記事① 2017-09-14 855円

AbemaTV向け開始も、業績も株主還元も頭打ち状態・朝日放送(9405)。

 

*参考記事② 2017-09-14 855円

コンテンツ事業拡大が、ジリ貧脱出の鍵・朝日放送(9405)。

 


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