【3640】電算(東証一部) NT
現在値 1,989円/100株 PER44.0 PBR1.55 3月配当株主優待 9月配当
信越地盤の情報処理・システム開発中堅。地方行政に強み、首都圏も。
配当金は年2回・合計35円のため、配当利回りは約1.76%となります。
電算は株主優待を実施しており、3月末に単元株以上を保有する株主に対し、4,000円分
のニコスギフトカードを進呈しているため、配当優待利回りは約3.77%となります。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 142億円、経常利益 6.1億円 EPS 177.1円
■2017年3月期 売上高 147億円、経常利益 6.0億円 EPS 76.2円
■2018年3月期 売上高 135億円、経常利益 10.4億円 EPS 134.5円
■2019年3月期 売上高 140億円、経常利益▲3.8億円 EPS▲191.2円
■2020年3月期 売上高 149億円、経常利益 3.6億円 EPS 45.1円 ce
□2019年6月1Q 売上高 32.1億円、経常利益▲2.0億円 EPS▲28.3円(7/30)
□2019年9月2Q 売上高 58.7億円、経常利益▲3.2億円 EPS▲40.9円 ce
2019年3月期の売上高は前期比3.6%増の140億円、経常利益は赤字転落の▲3.8億円
となり、期初計画では元より減益を見込んでいたものの、一気に赤字転落となりました。
主力の公共分野においては、新総合行政情報システムの拡販を進め、2件の自治体で
新規受注を獲得したほか、既存顧客に対する基幹系・業務系・戸籍系のシステム更改
案件が49団体であったものの、いかんせん期初時点での受注残高が低調だったことに
よるビハインドにくわえ、失注や翌期送りの案件などが重なり低調に推移しました。また、
産業分野については、リース業務向けパッケージや病院総合情報システムの更改や拡
販に努め、セグメントとしては黒字を確保したものの、穴を埋めるには至りませんでした。
進行期である2020年3月期の予算については、売上高が5.8%増の149億円、経常利益
は黒字転換の3.6億円を見込んでいます。公共分野では、新総合行政情報システムの
拡販を目指すほか、産業分野ではリース業務向けにくわえ、生産管理システムおよび
医療機関向けサービス(クラウド型電子カルテ、検診システム、医事会計システム)など
の新規受注を目指す計画です。ただ、期初時点の持ち越しの受注残高は、1年前を下
回る水準(92.8億円、昨対94.4%)に留まっているため、今期も引き続き低調な推移が予
想されます。また、利益面で大幅増益を見込んでいますが、これはスタッフ部門に生産
管理部門を新設し、コストコントロールにより利益を創出する“筋トレ”前提による利益
予算のため、全く楽観視できない内容となっています。
当社は中長期的な業績目標を設定しておりませんが、実績期の期中である2018年9月
末に、約65億円もの巨費を投じた新総合行政情報システムの販売を開始しているため、
向こう数期の業績のドライバーとなることが期待されています。これを全国の自治体へと
拡販すべく、従来地盤である長野や新潟だけでなく、山梨にも支社の開設を済ませてい
るような状況ですが、現時点では当社が意図するようなペースで新規受注が取れていな
い模様であり、システム償却費やランニングの保守費が利益を大きく圧迫しています。
産業分野については、リース業務パッケージ、生産管理、医療機関向けの各商品につき
クラウド化による商品拡充を図るほか、データセンターや顧客の既存システムのクラウド
化によるデータセンター事業領域の拡大を図る方針です。ただ、既述のとおり、公共分野
産業分野ともに受注状況は芳しくなく、先行負担ばかりが重い状況であり、かつてのマイ
ナンバー特需のように公共分野のスポットの法改正特需案件(幼児教育無償化、児童扶
養手当の支給回数変更など)で食いつないでいっている状況であり、将来的な業績につ
いては展望しずら状況が続いています。
なお株主還元については、今期も35円配当が据え置かれる公算です。システム巨額投資
があったことにより、新規借入れが発生し、既に財務が傷んでいることも背景にありますが、
仮に今期の予算が達成できたとしてもタコ配寸前の状況であるため、まぁこの程度の還元
水準であれば十分及第点であるものと考えています。
*参考記事① 2018-07-28 2,257円 NT
受注鈍化で、ローンチ予定の新行政システムの動向を注視・電算(3640)。
*参考記事② 2017‐07‐12 2,200円 NT
約65億円を投じた新行政システムが販売開始、電算(3640)。
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