受注鈍化で、ローンチ予定の新行政システムの動向を注視・電算(3640)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3640】電算(東証一部) --

現在値 2,257円/100株 PER64.8 PBR1.42 3月配当株主優待 9月配当

信越地盤の情報処理・システム開発中堅。地方行政に強み、首都圏も。 
配当金は年2回・合計35円のため、配当利回りは約1.55%となります。

電算は株主優待を実施しており、3月末に単元株以上を保有する株主に対し、4,000円分

のニコスギフトカードを進呈しているため、配当優待利回りは約3.32%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 129億円、経常利益 4.8億円 EPS 31.0円 
■2016年3月期 売上高 142億円、経常利益 6.1億円 EPS 177.1円 
■2017年3月期 売上高 147億円、経常利益 6.0億円 EPS 76.2円

■2018年3月期 売上高 135億円、経常利益 10.4億円 EPS 134.5円(5/15)

■2019年3月期 売上高 143億円、経常利益 2.9億円 EPS 34.9円 ce

□2018年9月中 売上高 52.4億円、経常利益▲5.3億円 EPS▲66.8円 ce 

2018年3月期の売上高は前期比8.1%減の135億円、経常利益は同74%増の10.4億円となり、

前期比・期初予想比ともに減収増益となりました。公共分野においては、基幹系及び業務系

システムの更改、また産業分野においては病院総合情報システムの更改やリース業務向け

パッケージの販売に努めたものの、前期の大型案件(自治体情報システム強靭化向上事業)

が剥落したため、その穴を埋めるには至りませんでした。利益面が良化しているのは、次期

行政システム開発で資産計上される項目(仮勘定)が多かったため、その浮き分によります。


進行期である2019年3月期の予算については、売上高が5.2%増の143億円、経常利益は71%

減の2.9億円を見込んでおり、大幅減益となる見通しです。公共分野では次期行政システム

の開発完了と拡販を目指すほか、産業分野ではパッケージシステムの新規導入と更新案件

の獲得を目指す計画です。一応、期初時点の持ち越しの受注残高は1年前を上回る水準を

確保している(98.3億円、昨対105.1%)ものの、主力の公共分野の受注残高が前年割れして

おり、今期も引き続き低調な推移が予想されます。また、会社側としてもかような受注不足

に危機感を覚えたのか、販管費を積み増す方針であり、利益が大きく圧迫されます。

 

当社は中長期的な業績目標を設定しておりませんが、本年9月末に約65億円(費用、資産)

もの巨費を投じた次期行政システムが完成する予定のため、これをコアとして全国自治体

へ拡販を進める計画であり、従来からの地盤である長野や新潟だけでなく、山梨にも支社

の開設を済ませています。また、産業分野ではリース業務パッケージの改良や、医療向け

の商品拡充を成長のドライバーとする方針です。提携面では台湾のインツミットや、金融に

強いエンカレッジ・テクノロジから商品(サービス)の提供を受け、当社が既に販売を進めて

いるはず?ですが、その辺の成果は特に開示されていないので、微妙なのかもしれません。


なお株主還元については、今期も35円配当が据え置かれる公算です。システム巨額投資

があったことにより、新規の借入れが発生し、相応に財務傷んだことも背景にありますが、

それよりも足許で思うように受注が取れておらず、業績の先行不安が大きいと思われます。

(さすがにコンサバすぎる予想とは思われるものの、)業績が続落となる今期は、35円配当

の据置であっても、配当性向は100%水準に達してしまいます。当社に関しては、まず足許

の受注高の確保が何より優先事項・・・というところでしょうか。

 

*参考記事① 2017‐07‐12 2,200円 --

約65億円を投じた新行政システムが販売開始、電算(3640)。

 

*参考記事② 2016‐07‐06 1,946円 ---

マイナンバー案件一巡で今期は反落、電算(3640)のレビュー。

 

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