待望の渋谷と浦添西海岸の開業で、とりあえず今期は飛躍・パルコ(8251)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8251】 パルコ (東証1部) ---

現在値 1,060円/100株 PER15.0 PBR0.84 2月配当優待 8月配当優待

ファッションビル経営の先駆的存在でデベロッパー事業主力。
配当金は2月末・8月末の合計26円配当のため、配当利回りは約2.45%となります。

パルコは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末に100株を保有する株主に対して、
千円分の商品券を1枚(年2枚)進呈していますので、配当優待利回りは4.33%となります。

別途、3年超保有株主への長期優遇制度もあり、その場合は2千円分の商品券を2枚(年

4枚)進呈しておりますので、配当優待利回りは6.22%となります。

業績をチェックしていきます。途中でIFRSに移行しています。
■2016年2月期 売上高 2,763億円、経常利益 126.7億円、EPS 59.7円 
■2017年2月期 売上高 2,683億円、経常利益 132.0億円、EPS 74.1円
■2018年2月期 売上高 916億円、税前利益 114.5億円、EPS 76.9円 IFRS

■2019年2月期 売上高 899億円、税前利益 50.4億円、EPS 33.3円 IFRS 

■2020年2月期 売上高 1,162億円、税前利益 105.0億円、EPS 70.2円 IFRS ce
□2019年8月中 売上高 458億円、税前利益 52.0億円、EPS 34.6円 IFRS ce

2019年2月期の売上高は前期比1.8%減の899億円、税前利益は同55.9%減の50.4億円と

なり、減収減益となったほか、中間時点で減額した対修正予算比も大きく割り込みました。

2017年末に開業した「Parco_ya」の通期稼働や、昨年3月に開業した原宿ゼロゲートが

ほぼフルに寄与したものの、競合影響(特に調布の京王等を指すとみられる)や年末年始

における衣料品不振にくわえ、天候不順も影響し、テナント取扱高が低調に推移しました。

利益面については、これらトップラインの減少による要因のほか、宇都宮と熊本の閉店に

ともなう減損損失約30億円が営業利益段階からヒットしており、見た目が悪くなっています。


進行期の2020年2月期の予算については、売上高が前期比29.2%増の1,162億円、税前

利益は約2倍の105億円と大幅反発を見込んでいます。本年3月に東宝系の東京楽天地

(8842)から一括賃借して開業した錦糸町のほぼフル寄与にくわえ、6月には浦添西海岸

に沖縄の有力小売事業者であるサンエー(2659)と合弁の大型施設を開業する予定とな

っているほか、今秋には待望の渋谷の建替えが完了するため、これら大型施設の開業が

業績ドライバーとなり、トップラインから躍進が見込まれます。なお、利益面については、

IFRS16号の新リース基準が適用となり、元より貸しビル業であるため自ら賃貸物件が多

い当社といえども、錦糸町などは賃借であるため、オンバランス化による賃借料の減少

で営業利益段階で約11億円が乗るものの、税前利益では殆どインパクトなしとなります。


今期は新5年中計の3年目となっており、最終年度の2022年2月期に売上高1,214億円、

営業利益147億円を見込んでいます。起点となる2017年2月期末の営業利益が、特殊

要因でカサ増しされていたため、伸びが緩慢に見えますが、この数値をNon-GAAPで

補正し、営業利益の伸び率を計算すると27.8%/5y、程度となります。本中計の序盤2年

間は大型パイプラインがなかった状況ですが、今期は満を持して錦糸町・浦添西海岸・

渋谷建替え・川崎さいか屋跡という大きめの4施設が開業するため、本5年中計は今期

やっと飛躍期に入るとともに、4施設の開業費用も剥落して、売上高が巡航する来2021

年2月期はいよいよ収穫期に入っていく公算です。

 

ただ残りの大型案件は再来期の大丸心斎橋店・北館(地下2階を含む合計9層)の開業

を残すのみとなっており、IFRS16号適用による営業利益約11億円のカサ上げ分を控除

すると、今期予想営業利益116億円の達成を前提に、あと約30億円も積み増す必要が

あります。そのため、残るパイプラインである心斎橋だけで何とかなる利益幅ではない

ので、今期の浦添西海岸と渋谷の開業成否が中計の成否を占う格好となりそうです。

 

一方、株主還元に関しては、配当性向を30%超が目安ではあるものの、パルコ50周年記

念配当の2円を付加し、年間26円への増配(2円増配)を予定しています。当社は不動産

業にもかかわらず、5割弱の自己資本比率をキープしており財務的には余裕があるため、

自社株買いも選択肢としてはあり得るはずなのですが、中計に定めるROE目標も7.0%程

に過ぎず、足許の巡航水準とほぼ変わらないので、あまり期待出来ないかもしれません。

 

*参考記事① 2018-12-18 1,217円 ---

当面は親会社であるJフロント側からの“手打ち”に注目、パルコ(8251)。

 

*参考記事② 2018-05-15 1,386円 ---

大型パイプラインは中計後半で、今期は見せ場なし・パルコ(8251)。

 

 

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