配当性向30%水準に見直し、配当額は半額水準へ減配・すかいらーくHD(3197)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3197】すかいらーくホールディングス(東証1部) --

現在値 1,833円/100株 PER32.8 PBR 2.77 6月配当優待 12月配当優待

「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」等のファミレスの運営。
配当は6月末・12月末の年2回合計の19円配当のため、配当利回りは約1.04%となります。

すかいらーくは株主優待として6月末・12月末の単元株主に対し、3,000円分のお食事券を

年2回進呈しているため、配当優待利回りは約4.30%となります。なお、1,000株までは持株

数に応じた優待券がほぼ正比例で追加されます。

業績は下記の通りです。ちなみにIFRSです。 
■2015年12月期 売上高 3,511億円、営業利益 278億円 EPS 77円  
■2016年12月期 売上高 3,545億円、営業利益 312億円 EPS 93円  

■2017年12月期 売上高 3,594億円、営業利益 281億円 EPS 86円

■2018年12月期 売上高 3,663億円、営業利益 228億円 EPS 58円(2/14)  

■2019年12月期 売上高 3,700億円、営業利益 220億円 EPS 55円 ce  
□2019年6月中 売上高 1,830億円、営業利益 95億円 EPS 23円 四e

2018年12月期の売上高は前期比1.9%増の3,663億円、営業利益は同18.7%減の228億

となり、増益予想の期初予算から一転して大幅な減益となりました。既存店売上前提

を101%で置いていたものの、北海道胆振東部地震や大型台風の影響により、100.4%水準

に留まったほか、利益面についても人件費の単価上昇で▲19億円、株主優待のコスト増

により▲34億円が押し下げられました。なお出店に関しては、新店89店・退店35店となり、

その他業態変更などのもろもろをネットした店舗の純増数は、前期末比+56店に留まった

ため、当初80店ほどの純増を見込んでいた出店計画についても未達に終わりました。

進行期である2019年12月期の予算については、売上高が1.0%増の3,700億円、営業利益

は3.8%減の220億円を予想しています。今期の既存店の売上前提については100%で計画

しているほか、出店計画については前の期を下回る70~80店程の出店(純増約50店)と、

250店程の店舗改装を予定しています。店舗改装への投資コストと人件費単価の上昇は

既存店のコスト削減効果で賄う予定となっているものの、株主優待のコストは依然として

極めて重く、株価の上昇により株主数の増加こそマイルドになっているものの、連続減益

ガイダンスの主要因となっています。なお、IFRS16号適用により期中に予算変更予定で

あり、店舗賃借料が減価償却費に代わるものの、金融費用が営業外項目へと出るため、

(テクニカル面の理由で)営業利益ベースでは期初予算よりも良化するとみられます。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、当初目論見では今期末に売上高約3,900億円

(CAGR3~4%)、営業利益380億円程度(CAGR6~8%)を目指していましたが、上述のとおり、

今期は期初から弱い予算が出てしまったので、中計は事実上頓挫した格好となります。

そのため、既に会社側は中計の業績目標値に囚われることなく、定性的な構造改革に

乗りだしており、IT本部の新設による決済多様化推進や、従業員の生産性向上のため

の働き方・店舗運営のデジタル化、アプリの高度化と配布クーポンの最適化による顧客

獲得強化などを推進していく“デジタルトランスフォーメーション”という、いわゆる筋トレ

系の色あいの強い内部生産性の向上施策に注力しています。


出店業態については、依然として「から好し」「しゃぶ葉」が中心となっており、300店級

レガシー業態である「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」に関しては、殆ど店舗数を増

やしていません。「から好し」については、従来業態よりも小規模店人件費上昇を抑えや

すく、「しゃぶ葉」も高単価のわりにメニューが均一化されているため、これらの2業態は

人件費高騰に対するオペレーション効率観点から出店を推進しているものとみられます。

「から好し」については客単価が安いので好伸が期待出来ますが、「しゃぶ葉」は単価が

高いので、消費増税や目下のガソリン代の高騰なども考慮していくと、諸刃の刃です。

 

なお株主還元については、今期は前の期比で半減となる年19円配当を予想しています。

この配当政策は配当性向30%基準に則したものとなりますが、有り体に言えば、足許の

株価はベインの各回売出価格を安定的に上回っている状況にあり、ベインの売出に応

じた海外機関投資家をはじめとする株主に対しては十分な義理を尽くしたので、これま

で過剰だった配当を通常レベルに戻しただけの話だと思います。また、IFRS16号の適用

によりB/Sが膨らんで、見かけ上の財務が悪く見えるようになるので、内部留保を厚め

に取りたいという意図があるのかもしれません(たぶんそこは関係ないと思いますが)。

 

*参考記事① 2018-11-01 1,758円 --

ベイン去りし後はのれん代費用化リスクも、すかいらーくHD(3197)。

 

*参考記事② 2018-04-02 1,532円 --

ベイン完全売却だが、優待制度は継続見込みか・すかいらーく(3197)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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