ベイン去りし後はのれん代費用化リスクも、すかいらーくHD(3197)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3197】すかいらーくホールディングス(東証1部) --

現在値 1,758円/100株 PER20.1 PBR 2.72 6月配当優待 12月配当優待

「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」等のファミレスの運営。
配当は6月末・12月末の年2回合計の38円配で配当利回りは2.16%となります。

すかいらーくは株主優待として6月末・12月末の単元株主に対し、3,000円分のお食事券を

年2回進呈しているため、配当優待利回りは約5.57%となります。なお、1,000株までは持株

数に応じた優待券がほぼ正比例で追加されます。

業績は下記の通りです。ちなみにIFRSです。 
■2014年12月期 売上高 3,400億円、営業利益 216億円 EPS 49円 
■2015年12月期 売上高 3,511億円、営業利益 278億円 EPS 77円  
■2016年12月期 売上高 3,545億円、営業利益 312億円 EPS 93円  

■2017年12月期 売上高 3,594億円、営業利益 281億円 EPS 86円

■2018年12月期 売上高 3,738億円、営業利益 287億円 EPS 87円 ce  
□2018年6月中 売上高 1,794億円、営業利益 103億円 EPS 25円(8/9)

2018年6月中間期の売上高は前年同期比1.9%増の1,794億円、営業利益は同19.9%減の

103億円となり、期初予想との比較はないものの、想定より下振れして着地した模様です。

既存店売上の前提を101%で置いていたものの、100%水準に留まったためトップラインが

伸び悩んだほか、利益面では人件費の単価上昇により9億円、株主優待コスト増で6億円

が響き、2割もの減益となりました。なお出店に関しては新店56店・退店15店となり、その

他もろもろをネットした純増数は前期末比+43店となり、概ね計画通りとなりました。

なお、2018年12月期の通期予算については期初予想を据え置いており、売上高が4.0%増

の3,738億円、営業利益は2.1%増の287億円を予想しています。今期の出店計画は前期並

の100店の出店(純増約80店)を計画しているほか、200店以上の店舗改装を予定しており

ますが、上期時点ではオーバーペースで進捗しています。一方で、既存店の売上前提は

上期のビハインドを考慮すると下期102%やる必要がありますが、台風や地震の天候影響

があった足許9月を102.1%でクリアしているため、ある程度巻き返す可能性もありそうです。

 

今期は3年中計の中間年度となっており、翌2019年12月期に売上高約3,900億円(CAGR

3~4%)、営業利益380億円程度(CAGR6~8%)を目指しています。3年間の累計で450店(純増

350店)の出店が前提であり、中計のドライバーとなることが期待されますが、折り返しの

本中間時点では未達ペースとなっているため、トップライン段階から既に怪しい状況です。

利益面についても、原材料費と人件費の高騰を3年で50億円の増加までは見込んでいる

ものの、「働き方改革」対応のための費用増加が想定超で推移しているほか、既にベイン

に極限までリストラされて筋肉質(他の削減可能コストが少ない)な企業体質であるため、

利益成長はあくまでトップライン成長ありきとなっており、構造的には苦しい状況です。


一応、単純な新店出店以外にも業態転換を進めており、「Sガスト」などを目下売り出し中

のからあげ新業態である「から好し」へ転換するなどしています。アークランドサービスHD

(3085)が「からやま」で市場開拓しつつあることに追随した動きですが、当社の強みは全

国に星の数ほどある既存店を高速で業態転換することにより、同社の動きを早々に封じ

込めにかかっているため、より効率的な“王者戦略”が展開出来ています。同様にコメダ

HD(3543)のインスパイア系である「むさしの森珈琲」も、同様の戦略で急拡大させており、

従来のファミレスとは一線を画す業態であるため、マス集客策の一環であるスマホアプリ

の会員増加の切り札としても機能することが期待されます(※現在は同業態は非対応)。

 

ただベインキャピタル去りし後、需給面で大きなリスク要因が消え去ったように思える当社

ですが、1460億円積まれた“のれん代”だけは依然として“喉元の骨”と言えます。会社側

はIFRSの減損リスク極小化を盛んにアピールしていますが、足許ではこの減損リスク以外

にもIFRS自体の会計基準の変更による費用化リスクも留意しなくてはならないので、会社

として懸念事項がなくなった・・・とは言い切るには時期尚早な気もします。

 

*参考記事① 2018-04-02 1,532円 --

ベイン完全売却だが、優待制度は継続見込みか・すかいらーく(3197)。

 

*参考記事② 2017-11-06 1,713円 --

既存店前年クリアも、通期業績は未達圏・すかいらーく(3197)。

 

 

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