業績伸長鈍化も、米中貿易摩擦影響は限定的か・内外トランスライン(9384)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_4581.jpg

【9384】内外トランスライン(東証一部) ---

現在値 1,344円/100株 PER10.6 PBR1.61 6月配当12月配当優待

独立系の国際海上輸出混載首位。豊富な仕向け地と運航頻度が強み。
配当は6月末・12月末の年2回合計34円のため、配当利回りは2.53%です。

 

内外トランスラインは株主優待を実施しており、12月末現在の100株保有株主に対して、
1,500円相当のカタログを進呈しているため、配当優待利回りは約3.64%となります。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 226億円、経常利益 15.6億円 EPS 94.7円 
■2016年12月期 売上高 199億円、経常利益 13.3億円 EPS 45.2円 
■2017年12月期 売上高 217億円、経常利益 15.8億円 EPS 122円 

■2018年12月期 売上高 232億円、経常利益 16.5億円 EPS 118円(2/8)

■2019年12月期 売上高 245億円、経常利益 17.9億円 EPS 125円 ce
□2019年6月中 売上高 118億円、経常利益 8.3億円 EPS 58.7円 ce


2018年12月期の売上高は前期比7.1%増の232億円、経常利益は同4.3%増の16.5億円と

なり、増収増益となったものの、期初予算をやや下回りました。主力の輸出混載(LCL)と

輸出フルコンテナ(FCL)において、中国・アジア向けの取扱量が堅調に推移したものの、

利益面については陸上のトラック運賃や倉庫作業料の高騰により原価が高騰したほか、

円高による為替差損もあり、年後半からサーチャージ追加や価格改定を実施したものの、

キャッチアップしきれずに利益予算は未達となりました。

 

進行期である2019年12月期の予算については、売上高が5.4%増の245億円、経常利益

は8.0%増の17.9億円を予想しています。トランプ政権による保護貿易政策に端を発した

貿易摩擦により、中国向け輸出入への影響は懸念されるものの、当社が主戦場とする

小型混載貨物については、こうした外部環境の影響をモロに受けやすい大口貨物とは

感応度が異なるため、会社側としては取扱数量増を見込んでいます。また、実績期から

特に顕在化しているコスト増についても、値上げ効果の通期寄与により相殺する計画と

なっているほか、海外事業についても新たに買収した韓進海運新港センター(※後述)

が上乗せ(売上高2.3億円/営業利益0.1億円)となり、今期より部分寄与する計画です。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、売上高300億円(CAGR15%)、営業利益21億円

(CAGR17%)を定量目標としていましたが、今期のガイダンスに照らせば、大幅な未達で

落着する公算です。本中計の成長骨子としては、国内外のフォワーディング業務拡大と、

その関連業務である通関・梱包・国内配送の取込みによるオーガニック成長を目指して

いくというのが基本戦略でした。然しながら、売上の部分でいえば当社が得意とするMA

で大きな案件がなかったほか、売上・利益の両面でいえばトラック運送料や倉庫作業料

といったコストの増加が重くのしかかった結果、フルラインの受注となるフォワーディング

業務を思うように拡大できなかったことが未達の原因かと思われます。

 

海外事業については、2017年8月にミャンマーの同業を買収して、当社の現法に衣替え

したほか、タイ最大の貿易港であるレムチャバンに支店を開設して、ASEAN地域での新

荷主の獲得を進めています。また、本年2月に韓進海運新港センターの買収(持分60%)

を完了させ、韓国の当社拠点で既稼働の内外銀山ロジスティクスとともに、韓国・釜山

新港における倉庫業務でプレゼンスを拡大しています。然しながら、このMA案件も規模

が小さく、海外事業の業績の成長モメンタムを加速させるには力不足と言えます。


一方、財務面については、再び無借金状態に戻っており、現金で57億円を丸抱えしてい

る状況です。そのため、公募増資などの資金調達をせずとも、手金でMAを出来るような

機動性を保持していることも特徴と言えます。また、株主還元については、配当性向30%

基準で増配【16.3→16.5→25→30→32→32→34円】基調を継続しており、今期の予想は

32円配を据え置いています。ただ34円配の場合、計算上の配当性向27.2%となり、基準

の30%を下回るため、途中で2円は増配して「36円+α円」とする公算が高そうです。

 

*参考記事① 2018-11-21 1,671 --

財務鉄壁だが、MA案件なく増配も期待薄で迫力欠く・内外トランスライン(9384)。

 

*参考記事② 2018-03-27  1,789円 --

アジア向け好調で最高益連続更新を見込む、内外トランスライン(9384)。

 

 

会社四季報 2019年2集・春号 [雑誌]

新品価格
¥2,200から

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村