【3288】オープンハウス(東証1部) ---
現在値 4,420円/100株 PER6.6 PBR2.30 3月配当 9月配当優待
不動産仲介からスタート。23区・横浜の狭小地戸建に強み。製販一体。
配当金は3月末・9月末の合計121円配当のため、配当利回りは2.74%となります。
オープンハウスは株主優待制度を導入しており、9月末時点で単元株を保有する株主に
対し、クオカード3,000円分進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.41%となります。
また3年以上保有を継続する株主には長期優遇によりクオカードが5,000円分に増額され、
配当優待利回りは約3.86%まで上昇します。
業績を確認していきます。
■2015年9月期 売上高 1,793億円、経常利益 202億円 EPS 222円
■2016年9月期 売上高 2,472億円、経常利益 291億円 EPS 332円
■2017年9月期 売上高 3,046億円、経常利益 361億円 EPS 443円
■2018年9月期 売上高 3,907億円、経常利益 460億円 EPS 570円(11/14)
■2019年9月期 売上高 5,100億円、経常利益 515億円 EPS 653円 ce
□2019年3月中 売上高 2,250億円、経常利益 205億円 EPS 264円 ce
2018年9月期の売上高は前期比28.3%増の3,907億円、経常利益は同27.5%増の460億円
となり、期初予算を達成したほか、トップラインから年率2割を超える成長を維持しました。
主力の戸建事業において、新築マンションの高騰を背景に、建売・土地分譲の引渡件数
が前期の3,155件→3,811件、へと大幅に伸びたほか、マンション事業もコンパクト型住戸
中心の分譲となったものの、都心好立地(麻布六本木・神楽坂・御茶ノ水など)中心の供給
により、平均価格帯は6~7千万台という高価格帯での販売が実現しました。一方、融資
厳格化の懸念された収益不動産事業についても、当社顧客層は富裕層や事業会社など
といった相対的に信用度の高い層が中心であるため、影響は限定的なものとなり、販売
スプレッドは引き続き低下したものの、2桁のセグメント増収・増益を確保しました。
進行期である2019年9月期の予算については、売上高は30.5%増の5,100億円、経常利益
は11.8%増の515億円を予想しており、年率2割を超える増収増益モメンタムの継続を見込
んでいます。実績期より仲介・戸建・建築請負の3事業を戸建関連事業として括って“製販
一体型”モデルとしてきましたが、当該セグに昨年10月に買収したホークワン社(後述)の
数字がオンされるため、建売・土地分譲の引渡予定件数は8割以上多い7,100件水準へと
激増する見通しです。一方で、マンション事業の引渡件数については、約100戸増の900戸
に留まるほか、収益不動産事業については不動産市況に不透明感が漂ってきたこともあり、
当該セグメントに関しては保守的に減収減益を予想しています。ただ、マンションが横ばい、
収益不動産が反落するもののの、戸建事業が牽引して全社では大幅増となる計画です。
今期は2020年9月期を最終年度とする3年中計の中間年度となっており、最終的な売上高
は3,046→5,000億円(CAGR18%)、経常利益361→600億円(CAGR18%)を目指しています。
上場来の6期に渡り、トップラインから2割を超える成長を継続してきましたが、本中計期間
もそのモメンタムを落とさない内容となっており、実際初年度である2018年9期も年率3割弱
の売上高・利益成長を達成しているような状況のため、早くも“前倒し達成”の期待がかかる
ような状況となっています。基本的な成長ストーリーは変わっておらず、当社の祖業である
仲介業で展開エリアを広げつつ、仕入物件情報の確保を図り、地域に根付いた頃合を見て
本格的に分譲を開始する戦略となっています。初年度には浦和・鶴見・浦和中央・元住吉・
御器所・新小岩・新川崎と7拠点を開設したほか、今期は既に武蔵浦和・川口・金山・登戸
の4拠点の開設を済ませており、埼玉圏・名古屋圏での“面的な拡大”が加速しています。
また、昨年10月には名古屋圏に強みを持つ、同業のホークワン社を273億円(うち200億円
は借金・73億円は株式交換)で買収しています。同社の売上高は600億円超、経常利益も
40億円超あるほか、自己資本比率も3割を超える水準であることから、相応のインパクトの
ある買収ではあるものの、当社のバリュエーションには殆ど傷つかない良好なMAと言えそ
うです(※別途のれん発生23億円。10年償却のため営業利益は年あたり▲2.3億円程度)
株主還元については、増配ピッチ【12.5→20→30→50→65→98→121円(予】が加速して
いるものの、配当性向は依然として低水準であり、予想ベースで18.5%に留まっています。
中計上の同目標値は20%のため、まだ料率のコントロールだけでも相応の増配幅が叩き
だせるような状況ですが、当社はそもそもROE30%の目標も掲げているため、自己資本の
積み上がりが早過ぎる状況であり、自社株買い等で潰していかないとROEどんどん悪化
していく状況となっていました。然しながら、昨年11月に待望の自社株買い40億円(1.77%)
が発表され、エクイティ・ファイナンス懸念も一気に後退したことから、会社側は株主還元
へと舵を切ってきている印象が強く、会社としては転換期に差し掛かっている印象です。
*参考記事① 2018-01-05 6,060円 --
資金調達なく破竹の年率2割成長を継続、オープンハウス(3288)。
*参考記事② 2016-12-25 2,896円 --
上場来4期CAGR35%超達成も課題は多い、オープンハウス(3288)。
![]() |
新品価格 |
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。