上場来4期CAGR35%超達成も課題は多い、オープンハウス(3288)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3288】オープンハウス(東証1部) --

現在値 2,896円/100株 PER7.53 PBR2.55 9月配当優待

不動産仲介からスタート。23区・横浜の狭小地戸建に強み。製販一体。
配当金は9月一括の60円配のため、配当利回りは2.07%となります。

オープンハウスは株主優待制度を導入しておりまして、9月末現在に単元
以上を保有する株主に対し、クオカード3,000円分進呈しておりますので、
配当優待利回りは3.10%となります。また3年以上保有を継続する株主には
長期優遇でクオカードが5,000円分に増額され、利回りは3.79%となります。

業績を確認していきます。
■2013年9月期 売上高 969億円、経常利益 91.7億円 EPS 143円  
■2014年9月期 売上高 1121億円、経常利益 128億円 EPS 137円
■2015年9月期 売上高 1793億円、経常利益 202億円 EPS 222円
■2016年9月期 売上高 2472億円、経常利益 291億円 EPS 332円 
■2017年9月期 売上高 3000億円、経常利益 340億円 EPS 391円 ce
□2016年3月中 売上高 1380億円、経常利益 167億円 EPS 186円 ce

2016年9月期通期の売上高は前期比38%増の2,472億円、経常利益は同43%
増の291億円となりました。主力の戸建て事業において引渡件数が前期の

1,850→2,340件と大幅に伸びたほか、収益不動産販売事業も販売高が417
→728億円へ飛躍的に増加したため、
経常利益は今期も期初予想を50億円
以上も上回って着地し、上場来4期のCAGRは実に35%超となりましました。


なお2017年9月期通期の売上高は21%増の3,000億円、経常利益は16%増
の340億円を予想しています。既述の通り、直近4期の成長モメンタムが相当
高かった反動もあるため、今期は一服する見込みですが、当社は前々期に
2回、前期は1回期中に増額修正をしていることからもわかる通り、保守的な
予算を組む傾向にあるので、表記は走破圏可能な数字かと推察されます。

ただ、売上の原資となる棚卸資産については2015年9期末比で150億円増
の1,175
億円と、前年同期に比べて仕入スピードが鈍化していることであり、
特に収益物件販売における棚卸資産期末残高が345→387億円と40億弱
しか増えていないので、会社側が出口需要旺盛をアピールするわりには、
商品が用意できていない(≒高くて仕入れ出来ない)のはやや気になります。

収益物件販売と比べると、主力の戸建て事業については今期も底堅く推移
すると思われますが、当社の戸建て事業は都内・横浜の狭小地に3階建て
を建築して、高騰を続ける新築マンションより割安感を出して売出すという
手法を採っているため、足許で新築マンション販売が低迷してきたことは、
遠からず当社にも影響してくる可能性があります。当社は仲介業を祖業と
しているため、仲介をベースとした市況把握力や情報収集力に強みがあり
ますが、前期に初めて首都圏を抜け出して栄に仲介店舗を出店したことも
トピックであり、会社側は首都圏商売に限界を感じているのかもしれません。

仕入や市況の問題だけでなく、年中採用活動を実施している状況が依然と
して継続しており、(この辺は前期に副社長として招聘したインテリジェンス
創業者の鎌田氏に何とかしてほしいところですが、)その対策も営業支援
システムのIT化や韓国での新卒活動といった"斜め上"をいっている感じ
ですので、急成長を遂げてきた歪が至る所に出ている印象を受けます。


また、株主還元については、配当金を【12.5→20→30→50→60円(予】と、
今期も10円増配を予想しており、今期より中間配当も開始する予定です。
配当性向は依然15%超に過ぎず、業績のわりに渋い還元が続きますが、
この他にも足許で12.5億円の自社株買いを発表して、実際にチョロチョロ
と買ってはいる様ですので、総還元性向はおおよそ20%弱となる公算です。


*参考記事① 2015-12-29  2,218円 -- 
長期優遇の5,000円クオカード優待が魅力、高成長続くオープンハウス(3288)。

*参考記事② 2013-08-18 想定価格 890円* 
大物不動産が上場!オープンハウス(3288)の初値予想。


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