資金調達なく破竹の年率2割成長を継続、オープンハウス(3288)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3288】オープンハウス(東証1部) --

現在値 6,060円/100株 PER11.2 PBR4.07 3月配当 9月配当優待

不動産仲介からスタート。23区・横浜の狭小地戸建に強み。製販一体。
配当金は3月・9月合計92円配のため、配当利回りは1.52%となります。

オープンハウスは株主優待制度を導入しており、9月末時点で単元株以上

を保有する株主に対し、クオカード3,000円分進呈しておりますので、配当

優待利回りは2.01%となります。また3年以上保有を継続する株主には長期

優遇によりクオカードが5,000円分に増額され、利回りは2.34%に上昇します。

業績を確認していきます。 
■2014年9月期 売上高 1121億円、経常利益 128億円 EPS 137円
■2015年9月期 売上高 1793億円、経常利益 202億円 EPS 222円
■2016年9月期 売上高 2472億円、経常利益 291億円 EPS 332円 
■2017年9月期 売上高 3046億円、経常利益 361億円 EPS 443円

■2018年9月期 売上高 3800億円、経常利益 435億円 EPS 537円 ce
□2018年3月中 売上高 1650億円、経常利益 197億円 EPS 243円 ce

2017年9月期の売上高は前期比23.2%増の3,046億円、経常利益は同23.9%
増の361億円となり、期初予想を上回りました。主力の戸建て事業において、

新築マンションの高騰を背景に、建売・土地分譲の引渡件数が前期の2,340

→3,155件と大幅に伸びたほか、マンション事業もコンパクト型の住戸中心の

分譲となったものの、人気の都心好立地中心の供給により順調かつ高単価

の販売を実現しました。一方、前期に大幅増となった収益不動産事業もカネ

余りを背景とした利回り物件の購入需要が継続したものの、仕入の激化に

ともなう原価増により、販売スプレッドは引き続き低下傾向となりました。

進行期の2018年9月期の予算については、売上高は24.7%増の3,800億円、

経常利益は20.4%増の435億円を予想しており、年率2割を超える“破竹の”

増収増益基調の継続を見込んでいます。今期より仲介・戸建・建築請負の

3事業を戸建関連事業として括り、顧客ニーズを汲みやすい製販一体型で

業容拡大を図る目論見ですが、基本的には新築マンションとの比較による

割安感の演出により、今期は前の期比で4割多い2,000棟強の建売住戸を

販売する計画です。また、マンション事業も前の期比で5割も多い735戸を

引き渡す計画ですが、こちらは半分以上が既に契約済みとなっています。

 

当社は2020年9月期を最終年度とする中計をスタートさせており、3年後に

売上高3,046→5,000億円(CAGR18%)、経常利益361→600億円(CAGR18%)
を目指しています。上場来の5期に渡り、トップラインから2割を超える成長

を継続してきましたが、向こう3期もそのモメンタムが殆ど落ちないシナリオ

となっており、数字の上では非常に力強い内容となっています。

この新中計においても基本的な成長ストーリーは変わっておらず、当社の

祖業である仲介業で展開エリアを広げつつ、仕入物件情報の確保を図り、

地域に根付いた頃合で本格的に分譲を開始する戦略です。事実、この新

中計の開始前に一挙に7店の営業店(錦糸町北・日暮里・大井町・上大岡・

本山・武蔵小杉・銀座)を纏めて開業させており、名古屋は栄に次ぐ2店目

の開業となるほか、足許では浦和にも開業しているため、この3箇年では、

名古屋・さいたまでの新エリアで数字を作っていくことになりそうです。

ということで、不動産市況や金融機関の融資態度に大きな変化がないこと

を前提に、基本的には新中計を支持したいところですが、ネックとなるのが

人材確保だと思われます。この1年の大量採用の影響はありますが、平均

勤続年数が3.1→2.9年へ更に低下しているため、人材の定着や働き方改革

(当社はイケイケの体育会社風として有名)も含め、インテリジェンス創業者

である副社長の鎌田和彦氏にこの辺を何とかして改善欲しいところです。

また、株主還元については、配当金を【12.5→20→30→50→65→92円(予】

と、今期は大幅な増配を予定していますが、配当性向は依然低水準であり、

予想ベースで17.1%に留まっています。また、新中計でも配当性向は20%まで

しか引き上げる計画がないため、会社側は内部留保重視による自己資本の

拡充を図っているものと推察され、目下の自己資本比率で33.8%を確保して

いることを考慮すると、このまま追加調達なしで中計期間を乗り切ろうとして

いる可能性もありますが、別にそれならそれでよいかと思います。

*参考記事① 2016-12-25   2,896円 --
上場来4期CAGR35%超達成も課題は多い、オープンハウス(3288)。

*参考記事② 2015-12-29  2,218円 -- 
長期優遇の5,000円クオカード優待が魅力、高成長続くオープンハウス(3288)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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