好立地出店順調だが、分社化経営はリスクも孕む・バルニバービ(3418)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3418】バルニバービ(東証マザーズ)  --

現在値 1,996円/100株 PER29.7 PBR3.19 7月配当優待 1月配当優待

カフェ・レストランを直営展開。水辺・公園・公共施設など出店独自色。
配当金は1月末・7月末の合計15円配当のため、配当利回りは0.75%となります。

バルニバービは株主優待制度を実施しており、1月末・7月末に単元株を保有する株主に

対して2,000円分の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは約2.75%となります。

なおこの他に長期優遇制度として、店舗での割引や限定のイベントに参加出来るメンバー

シップ制度が用意されています。

業績は下記の通りとなっております。
■2015年7月期 売上高 66.4億円、経常利益 4.8億円 EPS 81.3円
■2016年7月期 売上高 84.6億円、経常利益 5.8億円 EPS 88.5円 
■2017年7月期 売上高 98.2億円、経常利益 6.2億円 EPS 92.0円 

■2018年7月期 売上高 111億円、経常利益 4.2億円 EPS 52.7円 

■2019年7月期 売上高 119億円、経常利益 4.6億円 EPS 67.0円 ce
□2019年1月中 売上高 55.0億円、経常利益 1.5億円 EPS 23.1円 ce

2018年7月期の売上高は前期比13.8%増の111億円、経常利益は同31.8%減の4.6億円と

なり、期初予算どころか中間時点の減額修正予算をも下回り、大幅な減益となりました。

上期には晩夏の長雨と10月の台風影響でテラス席の稼働が落ち込んだほか、翌6月に

新規稼働した「南禅寺 菊水」の開業準備費用や、翌期以降の出店に備えた人材雇用費

や育成費が想定以上に嵩んだため、売上が続伸した一方で、利益は大きく後退しました。

なお、旗艦店として3月に三井不動産の日比谷ミッドタウンに「DRAWING」を開業したほか

「南禅寺 菊水」を含めた計5店舗を新規開業しています。


進行期である2018年7月期の予算については売上高が6.4%増となる119億円、経常利益

は8.1%増となる4.6億円を予想しています。実績期で開業した上述5店舗の通期稼働効果

があることにくわえ、今期は純増ベースで10店もの開業を計画しています。このうち8店が

‘名有り’となっており、天王洲(8月)・青山(9月)・日本橋室町(9月/計3店)が既に出店済み

となっているほか、土浦(1月)や高槻(4月)が出店予定となっているため、出店については

会社計画通りに進捗するものとみられます。ただ、夏場のテラス席の稼働が業績に直結

することもあり、書入れ時の1Qで地震や台風被害に見舞われたことを踏まえると既存店

の仕上がりが懸念されるところであり、1Q開示前ながら今期も要注意と言えそうです。

 

なお、昨年10月末に子会社化したリアルテイスト(当社持分66%・年商14億円・利益僅少)

は、同社代表者からの申出により、当社が取得した持分を4月末日付で全て買戻しして

いるため、今期は売上高ベースで数億円程度が剥落しますが、足許の大量出店により

十分に埋まる公算です(※同社は本年12月にAPカンパニーの完全子会社となる予定)。

 

最近の当社の出店はお得意の“バッドロケーション”ではなく、相変わらずディベロッパー

案件が多いのが特徴であり、日本紙パルプ商事の建替である日本橋室町の3店舗も、

実態としては三井不動産のプロジェクトであり、土浦に開業予定の新型自転車リゾート

「プレイアトレ」についてもJR東の駅ビル案件です。また、6月に開業予定の新宿大京町

についても、東京建物による150戸規模の賃貸マンションへの併設案件です。同物件は

東京建物の新賃貸マンションブランドである「Brillia ist」が冠されるとみられ、同社とし

も旗艦物件として位置付ける可能性が高いことから、なかなか良い出店と言えます。

 

当社は中期的な業績の定量目標を開示していないものの、出店に関しては物件情報

が入ってくるほか、デベロッパーからも好立地・好条件での誘致を受けられているため、

出店による外部成長シナリオについては陰りのないところと言えます。一方でネックと

なるのは人材確保と定着化であり、現在は店舗運営会社を13社に分社化することで、

各子会社に社長を置いてモチベーションマネジメントと権限の委譲を進めていますが、

いかんせん外食業界の中でも人件費水準が低い(415万円/36.5歳)なので、持続可能

性の観点では疑問符が付きます。まるで在りし日の“グローバルダイニング”を彷彿と

させる店長マネジメントスタイルなので、優秀に育った人材から順番に独立するという

リスクと表裏一体なので、平均勤続年数はKPIとして要注意かと思われます。

 

*参考記事① 2018-05-09 2,686円 --

天候不順で下方修正も、出店立地はやや攻め気味・バルニバービ(3418)。

 

*参考記事② 2017-11-15 2,902円 --

バッドロケーションに“前のめり”でリスク上昇か、バルニバービ(3418)。

 

 

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