造注低調で中計値また先送りも、財務良化は進む・ファーストコーポレーション(1430)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【1430】ファーストコーポレーション(東証1部) ---

現在値 1,113円/100株 PER9.02 PBR2.96 5月配当 11月配当優待

一都三県で分譲マンション建設。用地仕入から建築までの一貫体制に強み。
配当金は5月一括の38円配当のため、配当利回りは3.41%となります。

 

ファーストコーポレーションは株主優待制度を実施しており、11月末の単元保有株主へ

1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.31%となります。

業績を確認していきます。
■2015年5月期 売上高 139億円、経常利益 7.4億円、EPS 48.6円 
■2016年5月期 売上高 162億円、経常利益 15.1億円、EPS 88.5円  
■2017年5月期 売上高 209億円、経常利益 20.1億円、EPS 112.8円  

■2018年5月期 売上高 208億円、経常利益 22.3億円、EPS 117.6円  

■2019年5月期 売上高 250億円、経常利益 23.9億円、EPS 123.5円 ce 
□2018年8月1Q売上高 45.5億円、経常利益 4.6億円、EPS 23.7円(10/10) 

□2018年11月中売上高 129億円、経常利益 12.7億円、EPS 65.2円 ce 

2018年5月期の売上高は前期比0.6%減の208億円、経常利益は同10.9%増
の22.3億円と

なり、上期では期初予想を上回るペースで進捗していたものの、通期は未達となりました。

大きな利幅が見込める造注方式において、ホテル開発業者との用地仕入競争が激化し、

同方式での成約も僅か2件に留まったため、想定外の減収着地となっています。その一方、

単純請負工事については堅調に推移したほか、不動産収入についてもJVの収入が相当

程度入ったため、利益面は未達ながらも概ね予算の水準を確保しています。

 

進行期である2019年5月期の予算については、売上高が20.2%増の250億円、経常利益は

7.3%増の23.9億円を予想しています。今期の受注は前の期比41%増となる256億円を目標

としており、10月に既に開示されている1Qによれば、概ね計画の25%の受注高を確保して

いるほか、好採算の造注方式の比率が8割強を占めるため、順調な進捗が確認されます

(受注高イコール今期の売上ではない点に注意)。実際に造注方式で計上予定の案件は、

8月竣工でNTT都市・安田不動産JVの早稲田(186戸)や、翌5月竣工で阪急阪神不動産

JVの柏の葉C(226戸)を筆頭に、合計10物件程度が計上される予定となっています。

当社はローリング方式の中計を公表しており、これまでは3年後の2020年5月期に売上高

349億円、経常利益を31.6億円を目標としてきましたが、今回のローリングで2021年5月期

に売上高318億円、経常利益33.6億円に修正しましたので、またしても定量目標が“一年

遅れ”となりました。進捗遅延の理由は、これまでの“働き方改革”による対策費用の増加

にくわえて、当社が得意とする造注方式の受注が低調に推移していることが原因と推察

されます。マザーズ上場や、東証一部への指定変更に伴い、これまでのパワービルダー

系や中堅マンデベにくわえ、大手財閥系デべからの受注が増えているものの、あくまで

負工事が多く、造注仕入機能が弱い印象であり、今回中計も期を追うごとに造注方式に

よる比率が急拡大するストーリーなので、“気合予算”といった印象が拭えません。

 

その一方、造注方式はBSを膨らまして利幅獲得を狙うバブル期のビジネスモデルであり、

この比率低下によりPLの成長は鈍くなるものの、マンション市況が頭打ちしつつある目下

の状況では、BSの良化も重要ですので、結果的に自己資本比率が37.3%まで良化の一途

を辿っていることは、PLとは別の軸で評価することも可能です。株主還元も配当性向30%

基準に則り、【8.75→26→37→38→38円(予】と増配基調を継続しているほか、内部留保

に応じて配当性向もアップさせるようですので、これまでのような業績成長が見込めない

のであれば、この辺の株主還元に期待するほかなさそうです。

 

*参考記事① 2017-01-14 905円 ---

足許順調も、減額後の中計は確度不透明・ファーストコーポレーション(1430)。

 

*参考記事② 2017-01-14 905円 ---

向こう3年はCAGR3割弱の高成長予想、ファーストコーポレーション(1430)。

 

 

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