【1430】ファーストコーポレーション(東証1部) ---
現在値 1,359円/100株 PER10.9 PBR4.18 5月配当 11月配当優待
一都三県で分譲マンション建設。用地仕入から建築までの一貫体制に強み。
配当金は5月一括の38円配当のため、配当利回りは2.80%となります。
ファーストコーポレーションは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株を保有
する株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは
3.53%となります。
業績を確認していきます。
■2014年5月期 売上高 71.8億円、経常利益 2.5億円、EPS 16.4円
■2015年5月期 売上高 139億円、経常利益 7.4億円、EPS 48.6円
■2016年5月期 売上高 162億円、経常利益 15.1億円、EPS 88.5円
■2017年5月期 売上高 209億円、経常利益 20.1億円、EPS 112.8円
■2018年5月期 売上高 276億円、経常利益 23.9億円、EPS 123.8円 ce
□2017年11月中売上高 102億円、経常利益 10.3億円、EPS 52.8円(1/10)
2017年11月中間期の売上高は前年同期比21.3%減の102億円、経常利益は同3.1%増
の10.3億円となり期初予想を上回りました。前年は販売用土地のスポット取引もあり、
1Qに数字が偏重した一方で、今期の1Qは案件の端境期であったため、大幅減収と
なりました。ただ利益面に関しては生産性向上施策や原価低減策により、まさかの
増益を確保しており、中間期としては上方修正した形での着地となっています。
2018年2月期通期の予算に関しては据え置いており、売上高が前期比32.1%増の276
億円、経常利益は18.8%増の23.9億円を予想しています。なお当社は四半期毎の予算
も開示しており、3Q単独期間では(売上高89.5億・経常利益7.8億)、4Q単独期間では
(売上高84.9億・経常5.7億)を其々予想していますが、基本は受注済の案件で数字を
作るだけであり、会社側のアナウンスとしても、「上期はほぼ計画線、通期利益予想
はコンサバで上積み目指す」、としているので、通期業績は鉄板圏かと思われます。
下期には阪急不動産とのJVである新宿若松町(123戸)や、ポラスのJVである西大宮
(124戸)といった大型物件の引き渡しを予定しております。
また、2019年5月期を最終年度とする当初3年中期計画で、売上高350億円(CAGR
29%)、経常利益30.9億円(CAGR27%)と高い成長を計画しておりましたが、本中計は
今期初に減額ローリングしており、新しい中計では3年後の2020年5月期の売上高
を349億円、経常利益を31.6億円を目標に置き換えていますので、丁度“一年遅れ”
になった格好です。これは施工体制拡充のための採用計画が未達になったことや、
“働き方改革”により目標数値をマイルドにしたことが影響しています。本中計達成
の重要KPIとなる受注高については、期初までは順調だったものの、今期の受注高
予想の256億円に対して年末までで89億円しか積み上げられておらず、会社側が
“計画通り”とする今期はともかく、現時点では来期以降の懸念が燻っています。
当社は2015年3月のIPOで4億円(@400円)の資金調達をしてマザーズ市場に上場
しましたが、2016年12月に早くも一部市場に指定変更となり、その際も公募で8.1億
円(@864円)を調達しています。土地から購入するバブル期さながらの“造注方式”
であり、土地の値上がりを前提に進めるかなりリスクの高いビジネスモデルであり、
運転資金はあればあるほどよく、常にファイナンスのリスクを伴います。最近のJV
先はこれまでのオープンハウスや日本綜合地所等から、阪急不動産や東京建物
など大型案件を扱うデべにシフトしつつあり、採算性の良化は期待されるものの、
一定レベルの財務状況の維持が必要になってくるものと思われます。
そのため、配当性向30%基準に則り、【8.75→26→37→38(予→41(予→50(予】円、
と目の覚めるようなペースで増配、及び、増配を予想していますが、還元が過大な
印象もあります。それに加えて会社側のアナウンスによれば、配当性向も更に積
み増ししようとする意向があるため、足許で多額の事業資金を必要とする超高層
マンションの案件獲得を狙う動きとの“ちぐはぐ感”も否めず、必要に応じたPOで
事業資金を手当しようというのであれば、それはちょっと違うような気もしています。
*参考記事① 2017-01-14 905円 ---
向こう3年はCAGR3割弱の高成長予想、ファーストコーポレーション(1430)。
![]() |
新品価格 |
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。