【1518】三井松島産業(東証一部) --ー
現在値 1,616円/100株 PER12.4 PBR0.63 3月配当株主優待
柱は豪州生産、輸入販売など石炭産業。豪以外の権益も拡大。
配当金は3月末一括の40円配当のため、配当利回りは約2.48%となります。
三井松島産業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、
6,000円分の自社運営宿泊施設の宿泊割引券と5,000円分のオーダースーツ等お仕立券を
進呈しておりますので、宿泊券のみ計算した場合の配当優待利回りは約6.18%となります。
業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 679億円、経常利益 6.0億円 EPS 42.2円
■2016年3月期 売上高 585億円、経常利益 13.7億円 EPS 109円
■2017年3月期 売上高 530億円、経常利益 9.5億円 EPS 98.7円
■2018年3月期 売上高 663億円、経常利益 21.0億円 EPS 116円(5/11)
■2019年3月期 売上高 730億円、経常利益 29.0億円 EPS 130円 ce
□2018年9月中 売上高 360億円、経常利益 15.0億円 EPS 72.7円 四e
2018年3月期の売上高は前期比24.9%増の663億円、経常利益は同2.2倍の21億円となり、
増収増益を確保しました。石炭販売において、単価が上昇(7,815→9,827円/t)したほか、
数量自体も大幅に増加して増収となりました。その一方で、利益柱の石炭生産については
当社が32.5%の権益を持つ主力鉱山の豪リデル炭鉱にて、昨年6月より断続的にストライキ
が発生したことによる生産量の減少により、売上高で10億円・経常利益で7億円程の影響
を受けたため、これに引きずられる形で全社予算も未達となりました。
進行期である2019年3月期の予算については、売上高が10.1%増の730億円、経常利益は
38.1%増の29億円と連続で2桁の増収増益を見込んでいます。主力の石炭分野については、
石炭の相場の上昇が続く見通しであり、前提となる販売単価も上昇(9,827→10,064円/t)
を見込んでいます。石炭生産についても、今期はストライキなどの特殊要因を見込まず、
巡航の生産量へ戻る(110→146万t)公算です。なお、非石炭分野である生活関連事業に
ついては、全ての事業で底堅い推移が予想されるものの、2017年2月に買収したクリーン
サアフェイス技術が、半導体市況の一服により反落するとみられ減収予算となっています。
当社は中長期的な業績の目標値を開示していないものの、主力の石炭分野については、
豪州リデル炭鉱の現行採掘エリアが4年で終掘となるため、JVのグレンコア(持分67.5%)
と新エリアの開発を推進しており、現エリアの2/3程度の採掘量となる見込みではあるも
のの、2021年頃から採掘が開始されるため、2022~2023年頃の“ラップ期”には生産量が
大きく伸びる公算です。また、当社が30%の権益を有するインドネシアのGDM炭鉱の開発
を進めているため、これらの寄与も期待されますが、GDMの新坑内掘鉱は当社持分換
算でせいぜい年間30万tに過ぎないため、やはり豪州リデル炭鉱頼りの構図となります。
生活関連事業については、2017年に40億円を投じて買収したクリーンサアフェイス技術
(※年商26億円・営業益4億円)が、好況もあってコンスタントに業績寄与しているものの、
約16億円もののれん代が生じているため、利益寄与は限定的です。当社は“MA巧者”
ではあるものの、安定的な利益が出ても事業シナジーが薄いものばかりを買っている
傾向が強く、度重なるMAで積み上げたのれん代は、毎年5億円を償却してなお65億円
も残っているため、無理やりEBITDAで評価せざるを得ない点が割引要素と言えます。
なお、株主還元については、今期も40円配当の継続を予定していますが、石炭相場が
堅調に推移しているほか、生活関連事業で積み上がったのれん代と償却はキャッシュ
アウトではないため、相応の配当余力を残していると思われます。今期も連続増益を
見込んでいるため、配当性向は30%水準にまで低下するため、60%弱の自己資本比率
を鑑みれば増配含みと捉えるのが自然であり、今期は50~55円が妥当かと思われます。
*参考記事① 2018-02-09 1,436円 ---
炭鉱ストで伸び悩むも、非資源強化で“プチ物産化”・三井松島産業(1518)。
*参考記事② 2017-07-15 1,436円 ---
石炭"一本足打法"からの脱却進む、三井松島産業(1518)。
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