今期予算は達成確度高まるも、仕入推進で財務は悪化・日本商業開発(3252)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】日本商業開発(東証一部) ---

現在値 1,841円/100株 PER23.4 PBR2.02 3月配当株主優待 9月優待

テナントによる商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。 
配当金は3月一括配当の55円で、配当利回りは約2.99%となります。

日本商業開発は株主優待を実施しており、3月末・9月末に3単元以上を
保有する株主に対し、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しております

ので、3単元保有時における配当優待利回りは約4.07%となります。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 108億円、経常利益 9.7億円 EPS 48.0円
■2015年3月期 売上高 162億円、経常利益 29.8億円 EPS 125.9円
■2016年3月期 売上高 173億円、経常利益 56.2億円 EPS 209.0円
■2017年3月期 売上高 266億円、経常利益 51.8億円 EPS 366.8円

■2018年3月期 売上高 311億円、経常利益 20.0億円 EPS 78.3円 ce
□2017年9月中 売上高 54.3億円、経常利益 ▲2.4億円 EPS ▲11.3円(11/10) 

2017年9月中間期の売上高は前年同期比43.2%減の54.3億円、経常利益は

赤字転落となる▲2.4億円で着地し、期初予想との比較はないものの、大幅

な減収減益となりました。昭和ゴム柏工場敷地(1万坪)などの売却があった

ものの、案件の数が減少したほか、営業外で子会社ニューリアルプロパティ

(NRP)の豪州子会社が株式評価損を出し、当社は持分法損失となりました。


進行期である2018年3月期の予算は据え置いており、売上高は前期比16.9

%増の311億円、経常利益は61.4%減となる20億円を予定しております。既に

3Qにおいて、神戸三宮で坪1千万円強で仕入れたとみられる300坪(8層?)

の土地の売却を済ませていることが明らかになっているほか、4Qに入った

去る1月11日には傘下の私募リートに対して、約170億円分の物件を卸した

ことが開示されており、この分だけで「経常利益15億円超」となることも確定

しているため、中間赤字落着ながら、通期の予算はまず鉄板と思われます。

 

ということで、既に興味の中心は来期の数字となりますが、KPIである棚卸

資産については、この上期で316→456億円に積み増しているほか、契約

ベースでは620億円まで積み上げています。既述の今期販売物件である

神戸三宮と私募リート拠出済の分は既にないので、便宜上200億円を控除

すると、帳簿で256億円・見込で420億円程の棚卸を確保している模様です。

具体的には博多駅徒歩5分の祇園町で500坪弱の結婚式場(またT&G)や、

ニューヨーク/マンハッタンでも転売用のコンドミニアムを仕入れています。

 

そしてこれらの物件の出口となる私募リートは5年間(要は2021年3月期)で

1,000億円のAUMを目指しています。ただ今期で160億円を積み上げても、

当初の2年目の目標AUMである400億円には及ばず、300億円超に留まる

見通しですので、当初の目論見よりは遅れている印象です。ただ会社側は

底地私募REIT運用開始というアナウンス効果により、相当数の仕入案件が

持ち込まれているという説明をしているほか、今回の拠出物件を確認する

と「ティア越谷」といった葬儀場物件まで組込されており、オルタナティブ性

が増してきているため、順調な積み増しが期待出来るものと考えています。

 

なお、第5回・第6回SOが来期で純利益55~65億円を達成しないと、(部分)

失効してしまうので、来期は業績面での飛躍を期待したいところですが、

最近のマテリアルからは当該SOの記載頁が消えているので、それをアテ

にした来期以降の業績予想については、要注意かもしれません。

 

また順調な仕入の一方で、懸念なのが財務であり、自己資本比率は30.8→

24.1%へと大幅に悪化しています。本来はPOで良化させたいところですが、

足許の株価水準は2014年に47億円を調達した時の公募価格@2,352円を

大きく下回っている状況であるため、コベナンツなしのデット中心に力押し

で推進していくものと推察されます。そのため、今期は中間赤字から一転

して上振れ着地も十分あり得る状況ですが、財務改善のため、配当予想

の55円については、据え置く可能性がかなり高いと思われます。

 

*参考記事① 2017-07-17  1,652円 ---

今期は自信の雌伏期も、公募REITの軟調は気掛かり・日本商業開発(3252)。


*参考記事② 2016-12-15 1,928円 ---
4Qで地主私募リートに供給予定、日本商業開発(3252)。

 

 

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