今期は自信の雌伏期も、公募REITの軟調は気掛かり・日本商業開発(3252)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】日本商業開発(東証一部) ---

現在値 1,652円/100株 PER21.0 PBR1.69 3月配当株主優待 9月優待

テナントによる商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。 
配当金は3月一括配当の55円で、配当利回りは約3.33%となります。

日本商業開発は株主優待を実施しており、3月末・9月末に3単元以上を
保有する株主に対し、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しております

ので、配当優待利回りは約4.53%となります。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 108億円、経常利益 9.7億円 EPS 48.0円
■2015年3月期 売上高 162億円、経常利益 29.8億円 EPS 125.9円
■2016年3月期 売上高 173億円、経常利益 56.2億円 EPS 209.0円
■2017年3月期 売上高 266億円、経常利益 51.8億円 EPS 366.8円 ce

■2018年3月期 売上高 311億円、経常利益 20.0億円 EPS 79.7円 ce
□2017年9月中 売上高 140億円、経常利益 10.0億円 EPS 39.2円 四e 

2017年3月期の売上高は前期比53.1%増の266億円、経常利益は同7.9%

減の51.8億円となり、期初予想を大きく上回りました。前の期の大型案件

(旧JT保有・神宮前1000坪、現在はT&Gが“トランクホテル”運営)が剥落

したものの、1月より運用を開始した私募リートへの売却が当初想定を上

回る水準で進んだほか、子会社ニューリアルプロパティ(NRP)の子会社

の評価益が金利低下により増加したため、減益幅がかなり埋まりました。


進行期である2018年3月期の売上高は16.9%増の311億円、経常利益は

61.4%減の20億円と減益を計画しています。売上高こそ私募リートへの売

却が進むことで増収を予想しているものの、営業利益段階では積極的な

(高年収の)人員採用による人件費増加、また、既述のNRP子会社の株式

評価益が剥落するため、経常利益も落ち込みます。これに加え、NRPの

負ののれん益が28億円落ちますので、各段階利益で大減益となります。

(※ちなみに昭和ゴム柏工場敷地/1万坪は、既に1Qで転売完了の模様)


上記のとおり、今期はかなり見栄えの悪い数字となりますが、物件仕入

自体はかなり順調に進捗しており、棚卸資産は226→316億円と100億円

近く積みましています。福岡7千坪のビッグモーター敷地、犬山3千坪の

バロー敷地などの所謂当社の取扱物件に近いイメージのものにくわえ、

246青山通り沿いの新築式場ビルや、神戸・三宮の一等地にも約300坪で

8層建築が可能な駐車場を取得しています。

そしてこれらの物件をイグジットしていくためにも、重要なのが私募リートで

あり、会社側の発表によれば、今期も(2018年の)1月に250~300億円程度

で二次募集をかけ、3年後に残高600億円・5年後に残高1,000億円を目指

す計画です。そのため超短期的視点では今期も4Q に数字が偏重すること

となりますが、ひとつ気掛かりなのは一般的な公募REITの投資口価格が

毎月分配型投信市場の縮小により下落基調に歯止めがかかっておらず、

投資家の要求する期待利回りの水準が大きく上昇しているため、想定4%と

される当社私募リートの利回り妙味が薄れ、需要が伸びない可能性があ

ります。それでも初回募集の時よりはトラックレコードが出来ている分はマ

シであり、REITが大好きな地銀・信金の中には多少の利回りの多寡よりも、

評価額の変動リスクを避けるニーズは確実に存在するので、その辺と公募

REITの軟調地合い(高利回り)との綱引きになってくるものと思われます。

 

そのように不確実性のある状況でも、今期も55円配当の維持が明言され

ており、仕入がかなり順調ながらも自己資本比率は30.1→30.8%に良化し、

かつコベナンツ抜きで800億円の資金調達枠も確保しているので、会社側

のスタンスは相当程度の自信を感じさせます。来期までに純利益65億円を

達成しない限り、第5回・第6回SOも(部分)失効してしまうので、大量に採用

した社員の士気向上のためにも、辻褄を合わせてくる気がします。


*参考記事① 2016-12-15 1,928円 ---
4Qで地主私募リートに供給予定、日本商業開発(3252)。

*参考記事② 2016-07-04 1,488円 ---
ニューリアルプロパティを連結子会社化、日本商業開発(3252)。

 

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