「GINZA SIX」からの回遊性は催事次第か、松屋(8237)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8237】松屋(東証1部)  --


現在値 1,020円/100株 PER54.0 PBR2.8 2月優待配当 8月配当

呉服店発祥の名門百貨店。銀座本店と浅草店の2店体制。独立路線。
配当金は2月8月の年2回・合計6円で、配当利回りは0.59%となります。

松屋は株主優待制度を実施しており、100株以上の株主に対して、利用
上限のない10%割引買物カードを進呈しております。また、有料の催事が
2人分まで無料になりますので、入場料1,000円の催事に2人で年2回行っ
た場合の配当優待利回りを算出すると、およそ4.5%となります。

業績を確認していきます。  
■2014年2月期 売上高 754億円、経常利益 15.7億円、EPS 25.2円
■2015年2月期 売上高 816億円、経常利益 22.7億円、EPS 24.6円
■2016年2月期 売上高 929億円、経常利益 28.9億円、EPS 22.4円
■2017年2月期 売上高 863億円、経常利益 12.6億円、EPS 14.6円 

■2018年2月期 売上高 870億円、経常利益 16.0億円、EPS 18.8円 ce
□2017年8月中 売上高 420億円、経常利益 5.0億円、EPS 7.5円 ce

2017年2月期の売上高は前期比7.1%減の863億円、経常利益は同56.1%減

の12.6億円となり、壊滅的な業績となりましたが、中間時点の減額後予算

は何とか死守して着地しました。これはひとえに前期の免税品の爆買いが

剥落したことで説明がつき、主力顧客であった中国人の買上げ額が前年の

7掛けに落ち込んだ影響をモロに受けた格好となります。ただ一方で免税

以外の(国内客を中心とする)売上は概ね前期並みを確保しています。

進行期である2018年2月期の予算に関しては、売上高が微増の870億円、

経常利益は26.1%増の16億円を見込んでおります。銀座店・浅草店ともに

売上高は約1%の増加と前年並みの予算で組んでいますが、3月に文具の

伊東屋から銀座店建物の残りを110億円で取得しているため、借金の増加

(金利負担の増加)が見込まれるものの、家賃負担が軽減することにより、

利益率が改善します。なお、本取得により一棟所有となった模様です。


今期は2019年2月期に売上高980億円・営業利益30億円を目標とする3年

中計の中間年度となっていますが、爆買い華やかなりし頃に立てた計画

のため、定量的には白旗状態です。そのため、足許では急速に定性的な

内容の計画に中身を移してきており、具体的には国内客(要は松屋ファン)

を更にロイヤルな上客にすべく、外商やカードでの囲い込みを図っています。

当社顧客はライトユーザー比率が相対的に低く、中途半端にインバウンド

対応に傾注した他百貨店より日本人顧客の戻りは早いと思われますので、

今期は顧客復元のために勝負の一年となりそうです。

 

また他百貨店にはない特徴として、催事に極めて強いことで、リサラーソン

展やミッフィー展、ポムポムプリン展といったかなりの集客が見込める催事

を開催できており、これら催事は若年層を含む日本人客・インバウンドとも

に誘因出来るのが強みです。特にモノ消費よりコト消費が相対的に好まれ

るご時世ですので、いかにこの辺のコンテンツを伸ばせるかが鍵となります。

6丁目にある「GINZA SIX」からの回遊性の創出も、この催事次第です。

 

ちなみに今期の配当は、前期並みの6円を予想しています。既述の通り、

新規で纏まった借入をおこすとみられますので、業績が順調に推移しても

配当金に関しては据え置かれる公算が高いと思われます。

 

*参考記事① 2016‐12‐01 1,016円 --

文具の伊東屋から銀座店建物を追加購入、松屋(8237)。

*参考記事②  2016-06-20 732円 --ー
前中計は記録的な達成も、今期は早くも正念場・松屋(8237)。

 

 

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