構造苦も海外展開には改めて期待、吉野家ホールディングス(9861)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9861】吉野家ホールディングス(東証1部) --


現在値 1,801円/100株 PER55.3 PBR2.05 2月配当優待 8月配当優待

牛丼屋の老舗、国内2位。収益源の『吉野家』を直営軸に全国展開。
配当は年2回の合計20円配で、配当利回りは約1.11%となります。

吉野家ホールディングスは株主優待として、2月末8月末に100株以上を
保有する株主に対して、3,000円分の食事券を進呈しておりますので、
配当優待利回りを算出した場合、約4.44%となります。

業績を確認していきます。  
■2014年2月期 売上高 1,734億円、経常利益 32億円、EPS 13.5円 
■2015年2月期 売上高 1,800億円、経常利益 39億円、EPS 16.2円 
■2016年2月期 売上高 1,857億円、経常利益 23億円、EPS 13.1円 
■2017年2月期 売上高 1,886億円、経常利益 27億円、EPS 19.3円 

■2018年2月期 売上高 2,020億円、経常利益 51億円、EPS 32.5円 ce  
□2017年8月中 売上高 1,002億円、経常利益 24億円、EPS 17.0円 ce

2017年2月期通期期の売上高は前期比1.6%増の1,886億円、経常利益は

同17.3%増の27.5億円となり、増収増益を確保したものの、計画割れとなり

ました。主力の吉野家・京樽は既存店前年クリアしたものの、稼ぎ時の4Q

が低調に推移したことにくわえ、為替影響で海外売上が目減りしました。

 

店舗純増は国内外で151店となり、期末店舗数は3,074店に増えましたが、

こちらも期初時点で計画外のMAがあったわりに40店の出店未達となって

います。また、カルビーから買った本社ビルをPALTACに売却して14億円

の特別利益を計上したものの、アークミールの減損でこれを溶かしました。

進行期の2017年2月期通期の売上高は7.1%増の2,020億円、経常利益は

85.4%増の51億円を予想しています。出店は3,074→3,221店と147店の純増

計画であり、この殆どがはなまる(46店)と海外(105店)となります。既存店

前提は吉野家が102.4%とやや高いものの、他業態はほぼ前年並の水準

を想定しており、大幅増益となるものの、現時点では妥当感があります。


今期は中計の中間年度であり、2019年2月期に売上高2,100億(CAGR4%)・
営業利益60億円(CAGR55%)を置いています。初年度からショートしたため

出端を挫かれた格好ですが、会社側は株主通信前面に中計達成を打ち

出しているほか、社長も笑顔で写っているので諦めた雰囲気はなさそう

ですが、会社側がアピールする海外出店による増収やオーダーシステム・

洗浄機導入といった店舗省力化で巻き返すことは困難と思われますので、

中計達成には「せたが屋」を上回る規模の追加のMA等が必要となります。

当社に評価余地があるのは、費用が先行しがちの海外出店を出来るだけ

の体力(財務)を有することであり、既に中国で300店舗超を出店してブランド

の認知が進んでいるほか、フィリピンやカンボジアといった本邦外食企業が

殆ど進出出来ていない地域にも出店を済ませています。また、当初合弁や

FCで展開していた国でも、後で持分を引き揚げたり、FC解消したりと、試行

錯誤してきているので、同業他社に比べ"一日之長"があるかと思います。

 

そしてこれは会社側も暗に言及していますが、真の競合はゼンショーや、

松屋フーズ・トリドールではなく、中食市場を席巻してしまっているコンビニ

の影響が大きいと思われますので、国内はブランド維持・横横成長狙いで、

出資比率高めの海外事業で回収していく形になろうかと思われます。

 

*参考記事① 2016-11-17 1,539円 ーー

上期未達も「せたが屋」買収と本社ビル売却は評価、吉野家HD(9861)。

 

*参考記事② 2016-05-22 1,397円 ーー
3年後に利益4倍増が目標、吉野家ホールディングス(9861)。

 


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