現在の本町通商店街 角がマキノ書店

本町の雑誌屋とは〜本町の「マキノ書店」のことか?小説「破戒」第壱章🉁に登場する本町〜

島崎藤村の小説「破戒」の中には、飯山町の中の町名がいくつか出てきます。
本町という名前が出てくるのは第壱章㈡です。
「〜本町の雑誌屋は近頃出来た店。其前には新着の書物を筆太に書いて、人目を引くやうに張出してあつた。かねて新聞の広告で見て、出版の日を楽みにして居た『懴悔録』――肩に猪子ゐのこ蓮太郎氏著、定価までも書添へた広告が目につく。立ちどまつて、其人の名を思出してさへ、丑松はもう胸の踊るやうな心地こゝちがしたのである」
「飯山町誌」には、藤村が飯山を訪れたころの商業の業種別戸数の記録はなく、昭和16年の「業種別戸数調べ」が掲載されています。
これによると、飯山町で書籍商を営む戸数は2軒。
また、昭和29年に本町で書籍を商売にする店が1軒とあることから、破戒の中の「本町に雑誌屋は近頃できた店」というのは、マキノ書店にほぼ間違いないと思われます。
「破戒」に登場する「鷹匠町」と「本町」は実在していました。
ただし、「蓮華寺」の場所が、実在する「真宗寺」の位置ではなく、微妙に愛宕町付近ではないかと思うように、宿替えする前の瀬川丑松の下宿は実在した「鷹匠町」とは違う場所だったような気がします。
つづく