4月28日 展覧会オープニング
国立近代美術館での『建築はどこにあるの?』展覧会オープニングレセプションへ。
もの凄い人の数でした。
長らくご無沙汰していたたくさんの方々にお会いすることが出来て、僕的にはさながら同窓会のような感じで楽しかったです。京都からこの日に足を運んだ甲斐がありました。
作品のことについて言えば、やはり中村竜治さんのものにただただ圧倒されました。
何時折れてもおかしくなさそうな、か弱くか細い線材のみでつくられた、そして、全体としてもフワフワとした感じを与えるいかにも軽そうなものが、同時にものすごい迫力を持ち合わせていることに、一撃でやられてしまいました。
線材の組み方は三角に閉じているわけでもなく、決して安定しやすい部類には入らないのだろうけれども、そんなことおかまいなしに、簡単なモックアップからこれなら作れるだろうと読みきったその直感と、何としてもこれを作るのだという執念は、はっきり言って凄いとしかいいようがない。
もちろん他の文脈で語れば、他の方々の作品もそれぞれに素晴らしかったのですが、中村さんのがこれが強すぎて。。。
オープニング後は、中山さんチームに入り、岡田さんや柳原さんとともに、2次会に参加。
伊東さんの言葉は決して僕に放たれた言葉ではないのだけれど、1972年生まれである限り、無視できないわけで、同世代の仲間と共にきちんと受け止めたいと思います。
2次会後は、柳原照弘さんに連れられて表参道でリアル中西に参加。
その後、菊池宏さんの事務所での3次会に再合流、というハードコース。
終わってみれば、ズシりと重い一日でした。
4月24日 アーキフォーラム第1回
アーキフォーラム2010-2011シリーズの初回講演会、なんとか無事に行うことができました。
すばらしいレクチャーとゲストトークをしてくださいました、中山さん岡田さん、そして、関西圏のみならず、東京や九州、北陸など、各地から会場まで足を運んでいただいた非常にたくさんの聴講者の皆様、どうもありがとうございました。
改めて御礼申し上げます。
つたない司会や、十分に座席を準備できなかった点など、至らなかったところもあるかとは存じますが、次回以降も今回同様に多くの方に参加していただくことできれば幸いです。
今回の公式講演レヴューは、木村松本さんにより、近日ホームページ上にアップされる予定になっておりますので、いましばらくお待ちください。
次回(第2回/5月29日)は、日建設計の山梨知彦さんを講師にお招きいたします。
講演タイトルは「BIMは誰のためのツールか?」です。
次回講演をより理解し楽しむための参考文献など、また当ブログで紹介させていただきたいと思います。
4月22日 第3講
もう第3講。だが、あまり前には進んでいない。
今回のテーマはラーメン構造とブレース構造
昨年に引き続き、学生に宿題で簡単な模型を作らせてくる。
スタイロと爪楊枝と紐だけで作れる簡単模型。
基本的には、スタイロ4つで正方形を作るだけ。
その交差部に爪楊枝を刺して繋げるだけである。
正方形を立てたときに、基礎梁と柱2本と屋根梁の1フレームの平屋だと見立てる。
ラーメン構造とブレース構造と言い分けているのは、要するに水平力に対する抵抗の仕組みの違いをざっくり2通りに分けてみた、ということである。
ラーメンであれブレースであれ、とにかく、水平力に対して抵抗できなくてはならない。
4つの交差部に爪楊枝を1本ずつさした模型だと模型の角を横から押してみたら、簡単にバタッと倒れる。
が、その対角に2組の紐をかけてやれば、倒れることはない。
あるいは、角の爪楊枝を2本以上にしてやっても、倒れることはない。
前者がブレース構造で後者がラーメン構造ということである。
もうちょっと言うと、建物が負担すべき水平力が、何らかの方法で基礎まで伝達されるときに、
柱のせん断力で伝達するのがラーメン構造で、ブレースの軸力で伝達するのがブレース構造である。
では、4つの角すべてを2本以上(剛接)としてラーメンとしていた模型のうち、基礎側の2箇所を1本(ピン接)に戻してやると、どうなるか?
学生に考えさせ答えてもらい、そして、実際に横から押させてみる。
それが答えだ。
残念ながら決して全員正解とはいかないもの。
ので、授業でその理由を教える。
究極的に言えば、
地面から生えた(柱脚剛の)キャンティレバーが1個あれば、それでよろしい。
全部ピン接なら、2点が着地(支持点化)した三角形が1個できていれば、それでよろしい。
それらが複数あれば、なおよろしい、というだけの話である。
柱頭と柱脚部が、両方剛なのか剛+ピンなのかの違いでどういうメリット・デメリットがあるか、を教えてあげればよい話。
今年度の受講生は金沢出身なので、21世紀美術館の柱がなぜ細くてよいか、ということをセットに説明してあげると、生徒はきちんと理解してくれるものである。
アーキフォーラム中山英之講演会
アーキフォーラム2010-2011シリーズの第1回講演会が、講師に建築家・中山英之氏をお迎えして、4月24日(土)に開催されます。
会場:TOTOテクニカルセンター大阪
時間:17時~19時(開場は16時半)
詳しくは、http://www.archiforum.jp
をご参照ください。
当日は、ゲストコメンテータとして、
京都工芸繊維大学准教授の岡田栄造氏にもトークに参加していただきます。
今シリーズは満田衛資と山口陽登がコーディネータを務め、シリーズテーマとして
「誰がために建築は建つか」
を掲げています。
<趣意文を掲載>
=======================================================================
誰 が た め に 建 築 は 建 つ か
すべてのひとが共有できる問いを発したい。 今の日本という社会では、建築は信用されていない。経済原理に流されるまま風景を奪い続ける建物、あるいは慣習に従い無批判に林立する建物など、広い意味での「箱モノ」は後を絶たない。一方で、そのような状況に対して反作用するかのように、全国各地で建築家達による議論が熱を帯び始めている。これらは、建築をとりまく閉塞的状況に対する危機感の表れであり、建築家達は2010年以降の建築の未来を確実に模索し始めている。
「誰がために建築は建つか」―この問いは建築家あるいは建築設計者のためだけにある問いではない。建築を作るひと(施工者)、建築を発注するひと(建築主)、建築を使うひと(ユーザー)、建築を伝えるひと(メディア)、建築を執り仕切るひと(行政)、建築を学ぶ人(学生)、建築を教える人(教員)、少なくとも建築関係者であれば共有できるはずの問いである。建築関係者にとって不可避な問いを、世代や職域を越えて広く社会に発信してみたい。建築家や建築設計者が個別に議論すべき魅力的なキーワードの一段階前に必要な、核となる普遍的な問いを、建築関係者の無意識に潜在させること。それこそが、2010年以降の建築を考えるための礎になると信じている。=======================================================================
昨年夏に佐藤敏弘さんからインタビューを受けた頃にはすでにこのシリーズテーマは決まっていましたから、かれこれ9ヶ月近く暖めてきた企画ということになります。
講師のラインナップを考えたり、趣意文をまとめるのには、意見交換や話し合いの時間も含め、ここまでたどり着くのに随分と時間がかかりましたが、いよいよスタートします。
今シリーズの特徴として、毎回ではありませんが、講演会場にクライアント(建築主)もお招きする予定になっております。建築家が建築主を前に建築レクチャーをするという機会もそうはありませんので、是非お楽しみに。
記念すべき第1回講演で、早速、クライアントに登場していただきます。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
4月17日 オープンハウス
午後から、岩倉でのオープンハウス。
写真右側が本日のオープンハウスの建物。
建築設計は畑友洋建築設計事務所。
構造はうちの事務所が担当させていただきました。
(左側は先週オープンハウスを行った牧野研造さん設計の建物 です。)
今回は外壁と内側のダブルコアを構造に用いた木造住宅。
内側コアはざっくりと合板表しで内外とも仕上げることでコア全体を巨木と見立て、隣地の森や比叡山を借景に、気持ちのよい空間が作られていました。
構造的にはダブルコアなので、X方向、Y方向にそれぞれ4列の壁列があるわけですが、2階床と3階床をそれぞれコアの逆側な配置とすることで、
#どの層においても4列のうち3列は有効な状態にする。
#吹き抜けは2層分まで。
という二つの状態を導き、快適な吹抜空間を実現しています。
違う建築家の建物を二棟並びで担当させていただくことができ、共に納得のいく仕事をさせてもらうことできたので、ただただ感謝です。
オープンハウス終了後、事務所に戻り、夜は前田茂樹さん・A事務所のFさんと堺市に建設予定の住宅の打ち合わせ。(Fさんはお勤め人ということで、とりあえず伏せておきます。)
とはいえ、2012年竣工予定の住宅ということらしい。
逆算すると確認申請は2011年の初秋頃。何で今頃・・・。
「これって請けてもらえますか?」って言われても、そんなスケジュールで
「忙しいので無理です。」
って言えるわけないじゃないですか(笑)
4月15日 第2講
京都精華大学大学院の第2講。
今年の精華大学大学院の建築専攻は、日本人1名と、留学生1名の計2名
大学院のカリキュラム的には、僕の授業は建築士試験の受験資格を得るためには必須だけれど、大学院を卒業する上では選択科目ということらしく、日本の建築士資格取得に興味を持たない留学生は、受講しないことにしたらしい。
というわけで正規の受講生は1名という事態に。
が、今日の授業から学部4年生の女の子が一人受講希望ということで聴講を許可。2名態勢でスタート。
テーマは「力と釣合」
力が何かよりも、釣り合っているとはどういうことか、を中心に1限目を話す。
これまでは、曲げモーメント→せん断力、の順番で話していたのだけれど、
今年からは、力の釣り合い状態を先に示しておいた上で、
せん断力→曲げモーメント、の順で説明することにした。
ま、大学院生なので、基本的には学習済みの内容なハズではあるが。
2限目は、大学近くの竣工間際の住宅を見学に。
じっくり45分ほど見学させてもらいながら、構造の解説を行い、現地解散。
引き続いて畑さんと近くのそばやでカレーそばを食べながらコンペの打合せ。
事務所に戻った後は、各プロジェクトの進捗状況チェックをしつつたまっていた書類整理など。
4月14日 モックアップ
午後1時半に、阪急本社ビル前集合。福屋さん小島さんだけでなく、クライアント共々ジャンボタクシーに乗り岸和田の工場へ。
ベンチのモックアップ検査。
解析や手計算では、まず大丈夫だろう、という感覚はあるものの、感覚的な部分で全く不安がないわけでもなく、その辺りを払拭するためにも、モックアップをしてもらうことは非常にありがたい。
(もちろん、塗装のことをはじめ意匠的に確認すべきこともたくさんあるので、構造上の不安がなくともモックアップはするのだけれど)
とりあえず、
これはいいものができた
と思えた。
とだけ言っておきましょう。(写真なしですいません。発表前なもので自粛してます。)
意匠と構造がうまく溶けあっているというか、構造そのものなんだけれど、全く構造然としていない。
梅田を見渡す一等地に置く物としてふさわしいモノになっていると思います。
というか、これを担当することができて率直に幸せです。
福屋さん、ありがとう(笑)。
5月6日にオフィス部分がグランドオープンし、スカイロビーのベンチは一般の人でも座ること可能になりますので、是非、一度梅田の新風景と共にご体験ください。
梅田に戻った後、福屋さんリクエストで、天満橋まで行き、三人で造幣局通り抜けへ。
八重桜がキレイでした。
20時前、再び梅田に戻り、山口くんと合流して、アーキフォーラム打合せ。
4月13日 打合せ三昧
8時半起床。
ホテル内で朝食を済ませ10時前にホテルを出て、歩いてすぐのミッドタウンにて横川雄一さんと打合せ。
鉄骨案を木造に変更することに。事情説明と現状報告を受ける。
とは言え、そのまま木造にすることは無理なので、木造に変更するにあたっての構造上の注意点を説明し、12時頃終了。
つづいて、同じくミッドタウンにて、某組織事務所勤務の高校時代の同級生とランチしながら打合せ。
埼玉県内に自邸を作るとのことで、その構造相談。
終了後、乃木坂から千代田線に乗り代々木八幡のスープデザインへ。
上原の住宅の相談。四辺形の1・2階は壁式RCで解決できそうだが、三角形平面の最上階がポイント。
四辺形を対角線で半分にした三角形で、かつ、その対角線に大きな開口をとっているため壁配置のバランスが問題。それに、そもそも下階の対角線上には壁が無いので、壁を配置するにしても、耐力壁として効果のある壁を作るのは難しい。
あれこれ悩んで、梁を上手く使ったアイデアが浮かぶ。
意匠的に上手くおさまればよいが。
終了後、うまく連絡のとれなかった山梨さんへの挨拶訪問を断念し、千駄ヶ谷の中山英之事務所へ。
長らく中断していた広島の住宅について、現状報告を受ける。
お土産で、中山さん初の単行本スケッチングを頂戴する。
- 中山英之/スケッチング (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ 2-3)/中山 英之
- ¥2,100
- Amazon.co.jp
せっかくなのでサインをせがむと、
直筆スケッチ+メッセージを入れてくれた。
僕達が持ち続けなくちゃいけない、大事なメッセージを。
大事にします。
4月12日 SAPS会議
15時の新幹線で今月の初東京。なんだか久しぶりな感じ。
いつものように兄宅に宿泊予定だったが、兄から体調悪くしたとの連絡ありて、赤坂のホテルに泊まることに。
東京着後は、まず赤坂のホテルへ向かい荷物を置いてから、千代田線で代々木公園まで行き、佐々木事務所でのSAPS会議に参加。
SANAAのプリツカー賞受賞の話は、単純に我々にとってもうれしい話。
飲み会では「君達も早く海外コンペを手伝いますと手を挙げる位になってくれないと」といつものように言われる。
僕も今年は事務所の仕事以外にも、研究やアーキフォーラムなどで手一杯ですが、来年こそはお手伝いできるよう、着々と準備はしていますから。
スタッフは、Mendrisio、SCI-Arc、ILEKへの留学経験者たちが揃っていますし、彼らも着実に成長してきてます。
決して気持ちは切らせていません。
願わくばあと1年ほどお待ちください。