3冊目: 信仰
村田沙耶香
2026/02/09
★ひとことまとめ★
洗脳されたい
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の最新短篇&エッセイ
【感想】
やっぱり村田さんは独特の世界観があるよね~。
・信仰
同級生の石毛、斎川さんから「一緒にカルト詐欺を始めないか?」と誘われ、自分を変えるために勧誘される側…参加者として参加することを決意した主人公のミキ。
斎川さんに洗脳させられることを願い、セラピーに参加するが…。
鼻の穴のホワイトニングとかロンババロンティックとか、当たり前に知らない単語が出てきて思わずGoogleで検索してしまった
笑
同じような疑問を持った人のブログなどを見て、村田さんの造った造語と言うことがわかりました。笑
なんとな~くだけど、ミキの考えは理解できる。原価で考えてみなよ!?って思ってた時もあったなあ。
でもやっぱり大人になるにつれて、わくわくする気持ちとか人への感謝の気持ちとか、そういうのにお金をかけることを厭わなくなったなあ。
感謝の気持ちがこもっていればチロルチョコでもいいかと言われたら、やっぱりそうじゃないと思うんだよね~。
割といい値段の手土産を渡して、「自分のために買ってきてくれたんだな」って思ってもらいたい。(なんか文字にするとすごくおこがましいね
)
逆もしかりで、お土産とかいただいたら、自分のためにわざわざ選んで買ってきてくれたんだな~ってありがたく思うから。
それにはやっぱり金額ってのも判断材料になると思うんだよね~。
騙される才能がある人間になりたい、かあ。
目に見えないものにお金を払って、そのことを愛している人たちになりたい。人にあわせて形だけやってみても、騙されない、騙される才能がない。
確かにね…すべてにおいて「原価いくら?」で考える人には、たとえいくら有名なお店だからってクッキーとかに4,000~5,000円かけるのは意味がわからないだろうし、たった1ヶ月くらいでとれちゃうようなまつパとかもありえないって思うだろうね。
私もまつパとか、セルフでもできるものにはその考えなんだよな~。もちろん、お店でやる場合は人件費だったりお店の家賃だったり技術だったり、もろもろかかってるから高いってのは理解してるけどね。
騙されて…って言い方であってるかわからないけれど、感情とか経験にお金かけるのを良しとして生きられたほうが楽しいかもしれないね。損得勘定だけじゃなくてさ![]()
斎川さんに騙されたい、洗脳されたいと思ってセラピーに参加しているのに、ミキの目が捉えるのは現実的なものばかりで![]()
現実が見えます!10万円返せ!には笑ったな![]()
・生存
本人が得るであろう収入の程度が生存率に直結する、というのも面白かったなあ。
今の日本はまあある程度みんな医療は受けられるから生存率とまではいかなくても、親の収入が子供の将来の収入に影響するってのはあるだろうなと思ったなあ。
やっぱり、お金があればその分いろいろな経験をさせてもらえる・させてあげられるからね。もちろん親の収入が低くても、子供が優秀に育つことも大いにあると思うけれど。
優秀=収入が高いかはわからないけれど、優秀な人が長生きする社会か~。
人のほかには猫とゴキブリしかいない世界…。そんな世界になったとしても、やっぱり長生きしたいと思うのかな
?
野人になって生き続けるくらいなら、もういっそのこと熱中症とかであっさり亡くなってしまったほうがいいのかもしれないとも思う。
・土脉潤起
生存に近いお話だったなあ。姉が野人になった主人公の話。
女友達同士で子供育てるの、助け合えていいんじゃないかな~と思うわ。いろいろ現実的なことを考えると無理なんだけど。
とても優秀な姉が野人になって、自分は女友達と家族になって、3人の子供を産む。すごい世界だ。
・カルチャーショック
「均一」と「カルチャーショック」の2つしか街がない世界の話。
「均一」に住みたくないなあ…。何もかもが均された街。言葉も、顔さえも。怖いわ…![]()
"僕"もそうだけど、”老婆"もとんだ災難だなあ…。
・書かなかった小説
自分のクローン家電を購入し、クローンたちと生活するお話。
自分のクローンがいたらどんな感じだろう。各々自分の意見をあーだこーだと言いまくってそう。
クローンの自分に焦がれたり、自分がクローンとして生きていったり…想像がつかないな。
少なくとも自分には(恋愛対象として)惹かれない気はする![]()
・最後の展覧会
星新一をふと思い出した作品だった。
ヒュポーポロラヒュン、ゲージュ(芸術)ねえ。村田さんはイマジナリー宇宙人と会話してこのお話の着想を得たんだろうか?
芸術作品を守ろうと宇宙を旅し続けたK。芸術作品に心奪われ支配され、テンランカイを開くKを殺すためにわざわざやってきた銀色の棒状の宇宙人。
芸術が人に与える影響って様々だよね~。
広い宇宙で、何万年何億年一人で居続けるの、いくらロボットでも孤独だよなあ。
巻末の初出部分に、この作品の説明が乗っていたけれど、「松方幸次郎とカール・エルンスト・オストハウスの架空の出会い」がテーマみたい。
カール・エルンスト・オストハウスを知らなかったんですが、美術収集家・現代美術館の創設者なのか。
そして松方幸次郎も美術収集家だったのか。ほぼ日>国立西洋美術館 松方幸次郎さんのこと を読んでわかったけれど、美術品収集だけではなく、美術館の構想も持ってたのか~。
たしかにこの作品のKとマツシタのようだなあ。二人が出会っていたら、どんな美術館が出来上がっていたんだろう?
村田さんのエッセイは村田さんワールド全開で、自分とは全く違う考え方で読んでいて新鮮な気持ちになるけれど、同時に生きづらいことも多いだろうなとも感じる。
私が見えている・感じている世界と、村田さんの見えている・感じている世界は全く違うものなんだろうなあ。
だからこそこういう独特な引き込まれる作品を書くことができるんだろうけれど![]()


