7冊目:ホテル・ピーベリー
近藤史恵
2025/07/29
★ひとことまとめ★
たった1回しか泊まることのできない、「ホテル・ピーベリー」
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
木崎淳平は教師をやめ、ハワイ島を訪れる。友人から奨められた日本人経営のホテルは「リピーターを受け入れない」ことが特徴だという。やがて同宿者がプールで溺れ死ぬ事件が起きた。直後にはバイク事故でもう一人が。このホテルにはなにかがある……。不穏な空気に充ちた、傑作ミステリー。
【感想】
読み易くて一気に読み終えました
主人公の木崎淳平は、ある理由で年度の途中に教師を退職した。髪を金髪にし、職探しをするそぶりもない淳平を心配した友人・杉本は、淳平に海外旅行を勧める。
杉本から、ハワイにある”たった1回しか泊まれない、リピーターお断り”のホテル・ピーベリーの存在を聞き、淳平は3カ月滞在することを決意する。
ホテル・ピーベリーを営む和美・洋介夫妻、淳平と同日に泊まり始めた紅一点の宿泊客・桑島、坊主頭の精悍な男・佐奇森、ホテルに2カ月半ほど滞在している蒲生、夜のみ活動する謎の男・青柳。
彼らとともに楽しいハワイ滞在記が始まると思いきや…大間違いでした
ただの痩せたおばさんという第一印象だったはずの和美とのロマンス…
淳平にとってはリハビリのようなものだったんだろうなあ~。
そして突然の蒲生の死。ホテルのプールでの溺死。さらに、蒲生の書いた名前・住所・電話番号はすべてでたらめ。
蒲生という男は一体何者だったのか…
蒲生の言っていた「このホテルの客はみんな、嘘をついている」という言葉。
蒲生の死に続き、
「楽しみにしてろよ。きっとおもしろいものが見られる」
「悪いことは言わない。あんたも出て行った方がいいぞ」
と謎めいた言葉をつぶやいた青柳の事故死…。
青柳のバイク事故はショックだったなあ…。
立て続けに起きた死亡事故に疑問を抱き、ホテルの誰かが引き起こした殺人なのではないかと考え始める淳平。
そこでさらに発覚する、佐奇森の嘘。
誰が、何のために、2人を殺したのか…
ピーベリーのルール通り、リピートしなければ青柳は死なずに済んだのにね。
それか、和美が思い出さなければな~…。
年度の途中で教師を辞めるなんて、淳平よっぽどのことやらかしたんだろうな~。ロリコンか?不慮の事故で教え子が亡くなってしまったとか?といろいろ予想していましたがビンゴ
「大人になった早希を愛せずに、また別の子供を愛してしまうようだったら、どうしようもない。永久に心は満たされることはなく、社会にとっては危険きわまりない人物になってしまう。」
小児性愛者はもう病気だと思うんで脳の手術とかでどうにかしてほしいと常々思っていますが、”その子だから好き”と”子ども全員が好き”というのは別物ですよね~。
後者は病気だと思いますが、前者は難しいよな~。まとめてしまえばどちらも小児性愛になっちゃうんだけど、その子だから好きならば、その子が成長したとしても好きなはずだもんね。それはその子が大人にならないと証明できないんだけど。
淳平が危惧するように、もしかしたら大人になったその子のことを愛せず、また別の子供を好きになることもあるかもしれない。そうなったら完全に小児性愛者だよね~。
愛に年齢は関係ないとかいうけれど、自分の半分も生きていないような未成年に抱く愛なんて、やっぱり歪んでいると思っちゃうな。
結局は若さ、未熟さに対して惹かれていると思うんだよね。その子が成長して、自分に意見するようになったとき、「成長したな~」ではなく「従順さが無くなった」と思いそう
自分におとなしく従う、ひ弱で庇護されるべき存在をただ囲っておきたいだけなんじゃないかな~。
私の通っていた中学でもあったな~。既婚の若い男の先生が、同じ中学の女の子とデートしてたって噂。
友達の部活の顧問&デートしてた子も確か部活の後輩だったから、割と真実に近い噂だったと思う。
小児性愛者は滅びてくれ
読み終えてからもう一度読むと、和美の蒲生への言葉が違った意味に感じるなあ~。
蒲生と洋介には通じる内容だよね。
「そろそろ働かなきゃならない頃でしょ。覚悟しておきなさい」とか。
和美が「淳くん」って言っちゃったとき、桑島さんは和美と淳平の関係を察したんだろうな~。
読み返してみたけれど、それまでは桑島さんは「木崎くん」呼びだし、和美はみんなの前では「淳くん」って呼んでないし。
”長すぎる夏休みは心を蝕む”っていうの、わかるなあ。
新卒で入った会社を辞めて2カ月くらい無職だったことがあるけれど、最初のころはあの会社に行かなくて済むあんなしんどい思いして働かなくて済む
って思っていたんですよね。
でもしばらくすると、周りの友達は頑張って仕事しているのに自分はこのままでいいのか…とか、どんどんお金が無くなっていく不安、自分は社会復帰できるのか、自分が働ける会社は世の中にあるのか…とか、延々と考えて憂鬱になったなあ~。
結局人間は1人で生きていくのは向いてないんだよね。そんなことない!って人も、やっぱりどこかに歪みが出てきていると思うんだ。
社会で人と人とのつながりを持たないと生きていけない生き物なんだな~と実感する。
だからよっぽどの理由がない限り、バイトでもいいから働き続けた方がいいよね~、働くことで手っ取り早く社会とつながれるし、人との関わりも持てるから
淳平は日本に帰ってたら何をするんだろう。
和美は本当に出頭するのかな。出頭したとして、刑期を終えたら日本に帰るのだろうか。
その結末が書かれていないところも良かったな~
高くて行けないけど、ハワイ行きたいな~