16冊目:さえづちの眼 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

さえづちの眼

澤村伊智

2024/04/10 

 

 

 

★ひとことまとめ★

健康であることがいいことだとは限らない

 

 

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】 

琴子が挑む”さえづち”の祟りとは――比嘉姉妹シリーズ初の中篇集!

長編『ばくうどの悪夢』も絶好調! 書き下ろし中篇「さえづちの眼」を含む3篇が収録された、比嘉姉妹シリーズ初の中篇集。

◆あの日の光は今も
1981年に大阪府東区巴杵町で2人の少年がUFOを目撃した、巴杵池(はぎねいけ)事件。
母とともに小さな旅館を営む昌輝は、かつてUFOを目撃した少年のうちの一人だった。
事件も遠い記憶になり始めたころ、湯水と名乗るライターが事件の記事を書きたいと旅館を訪ねてくる。
昌輝は湯水と宿泊客であるゆかりに向けて、あの日何が起こったかを語り始めるが――。

◆母と
真琴のもとに助けを求めにやってきた杏という少女。
彼女が暮らす民間の更生施設・鎌田ハウスに「ナニカ」が入り込み、乗っ取られ、結果的に住人たちがおかしくなってしまったらしい。
杏を救うために真琴と野崎は、埼玉県にある鎌田ハウスへと向かう。

◆さえづちの眼
郊外にある名家・架守家で起こった一人娘の失踪事件。
「神隠し」から数十年後、架守の家では不幸な出来事が続いていた。
何かの呪いではないかと疑った当主は、霊能者の比嘉琴子に助けを求めるが――。

 

 

 

 

【感想】

 比嘉姉妹シリーズですキョロキョロ

ざっくりとしたあらすじは↑のAmazonの内容紹介に書いてあります。

 

「母と」は、非行少年少女を無料で預かり共同生活を送らせる更生施設・鎌田ハウスで起こっている問題を解決するため、野崎と真琴が元凶である”エイコ”に立ち向かうお話です。

こちらは典型的な叙述トリックを用いたお話です。

”たくみ”と聞いたら普通は男の子だと思いますよね。たくみの母親が”タクちゃん”と呼んでいたのがヒントだったのかな?

 

口寄せができる瑛子は、真琴の母親を降霊し真琴を惑わせます。

子供の大勢いて、超能力者や巫女と関連する場所、時間も空間も飛び越え現れる少女。

ただ子供たちに役割をあげて、抱っこしてもらって満足するだけならいいのですが、最終的に火事を起こして命を奪うんだから恐ろしい…。登場した最初の方は命を奪うほどの悪さはしていなかったのに、やはり長年(?)存在し続けていることで悪い方向(悪霊?)にいってしまうのだろうか…

 

 

 

「あの日の光は今も」では、ずうのめ人形のりーたん(辻村ゆかり=辻村里穂)がここでもまた出てきます。

 

大阪市巴杵町で年老いた母親と旅館を営む昌樹。かつては大きな工場もあり出張客で栄えていたが、ここ最近は工場も無くなり利用客は減っている。連泊する「お得意様」はいるが、彼らは昌樹にとっては迷惑な存在だった。

当時小学4年生だった昌樹とその友人・聡は、巴杵池でUFOを目撃した。昌樹だけは、謎の生物も目撃したとも証言した。

彼らのUFO目撃談はたちまちマスコミやマニアの間に広がり、大勢の人間が町に訪れた。

彼らの証言を捏造と批判するもの、昌樹の証言を盲信するもの…。多くは彼らの証言を信じず、捏造と認めるよう強要してきた。

時が経ち、人々の興味も薄れた今では町に訪れる人間はほとんどいない。それでも冷やかしや妄信する人間がたまに泊まりにくる。

ある日、昌樹のもとに取材をさせてほしいというライター・湯水が訪れる。当時の巴杵池事件について、そして町や昌樹たちの今を取材させてほしいと言う。湯水の熱意に負け、昌樹は取材を受けるが…

 

旅館の客として里穂が登場し、彼らの取材に同席します。

湯水は当時彼らの見た光や物体はUFOではなく、零落した神、『はぎねのぬし』という怪異なのではないか?と推測する。巴杵池に住んでいた神様は、太古の昔稲光とともに空から降ってきた。よくないことが起こる前、池が青白く光り、奇妙な水音がすることもある。

確かに、昌樹たちが池の光を見た数年後、池で人が亡くなった。湯水の言う通り、あれははぎねのぬしによる凶兆だったのか?

 

ただ、里穂は違った視点で推理します。オカルトが大好きだったからこそオカルトを避け、現実的な考え方をするようになった里穂らしい推理です。

ですが、私はあまり納得できなかったんですよね〜。嬰児…生まれて数ヶ月の乳児のころの記憶をそこまで鮮明に覚えているのでしょうか?

0歳児はほぼ記憶を保持することができず、記憶できるのはだいたい3歳頃からだそうです。

コインロッカーから取り出された時の映像。そんなものを生まれて数ヶ月で記憶して、都合よく思い出すのだろうか?と思ってしまいました。忘れていた記憶というより、そもそも記憶できていないと思うんだよなあ〜。

謎の光はUFOだったのか?エイリアンだったのか?それとも嬰児のころの記憶だったのか?それともはぎねのぬしだったのか?

どれが正解なのかはわかりませんが、冒頭の昌樹の母親の話からすると、嬰児の遺体を池に沈めたこと、昌樹が拾われた子だったことは本当のことのようですよね。

 

おそらく、最後に里穂が言い放った言葉が本当になってしまって、昌樹たちは亡くなったのかな?

そうなるとここでも里穂は本当に”どうしようもないやつ”なんですが、里穂のキャラクターがよくわからなくなってきたのでもう一度ずうのめ読もうかな。里穂の能力、厄介ですよね〜。

湯水と里穂…こんな形で会っていて、そしてずうのめで湯水は里穂によって(間接的にですが)殺され、里穂も死に…。

事件を目撃した小学生男児って誰なんだろうな〜違うお話で出てくるかな?

 

 

 

「さえづちの眼」は琴子が出てきます。

前半部分は架守家のお屋敷で働くことになった家政婦が認めた手紙と、後半部分は現状の架守家のお話で構成されています。

架守家で起こる怪奇現象。蛇神を信じる架守家の娘・冴子。蛇神の子を宿したと言う佳枝。そして山へ忽然と消える冴子。

 

山蛭の部分、わざわざああやって書くのだからキーセンテンスなのだろうと思っていたら案の定でした。

80歳の時点では冴子の呪いはかかっていないはずなので、健康だったにしろ80歳なりの健康だったと思うんですよね。

椿にくっついていたのは山蛭じゃなくて実は小さな赤ちゃん蛇で、佳枝の見間違いだったんじゃないかな?と私は思ったのですが、どうだろうか〜。まあでも、特にひねることなく冴子とさえづちの子は山蛭だったのかもしれない。

お母さんである冴子と同じ匂い(架守家)のする椿にくっついたら殺された、だったらかわいそうだなあ……。

怒り狂った冴子に破壊(殺)されても、蛇のように脱皮を繰り返し再生する佳枝。健康であることは普通であれば羨ましいことだけれど、破壊と再生を永遠に繰り返されるというのは恐ろしい〜。終わることのない呪い。

琴子に依頼すればよかったね…。

おもしろかったのは、などらきの首に載っていた「居酒屋脳髄談義」の居酒屋が架守グループの居酒屋だったこと笑い泣き

 

 

琴子が出てくるお話はやっぱりいいな〜。長編が読みたい本