ザ・ベストミステリーズ2017
日本推理作家協会 編
2022/6/30
★ひとことまとめ★
様々な作者との出会いの場
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
日本推理作家協会が厳選!至高のミステリー作品、夢の共演!!過去1年間に発表されたすべての短篇推理小説の中から、日本推理作家協会が選び抜いた至高の作品だけを収録。新鋭からベテランまでキャリアに関係なく、とにかく面白くて優れた短篇ばかりを集めました。巻末には「推理小説・二〇一六年」に加え、推理小説関係の受賞作を網羅したリストも掲載!
迷ったらコレ!
2016年度、ミステリーの頂を手に入れろ!
日本推理作家協会が厳選。
至高のミステリー作品、夢の共演!
過去1年間に発表されたすべての短篇推理小説の中から、日本推理作家協会が選び抜いた至高の作品だけを収録。
新鋭からベテランまでキャリアに関係なく、とにかく面白くて優れた短篇ばかりを集めました。
巻末には「推理小説・二〇一六年」に加え、推理小説関係の受賞作を網羅したリストも掲載。
推理小説愛好家はもちろん、初心者でも必ず楽しめる、最強ミステリー・アンソロジーの完全保存版!
【感想】
過去の関連作品
ザ・ベストミステリーズ2018は誤ってブログを書き換えてしまったので、いつか書き直します~
久しぶりのザ・ベストミステリーズ!
序で今野さんが書かれていることが、まさに私の気持ちを代弁していると感じましたね。
・本は人生において、音楽や絵画とはちょっと違った影響力がある。
・本を読むことで、言語化された考え方や感じ方の影響を受けるのですが、これは実に重要なことだと思います。
「ああ、この作者は私が言いたかったことを代弁してくれている」
そう感じることもあるでしょうし、逆に「こんな考え方や感じ方もあったのか」と驚くこともあるでしょう。
・好きな作家を見つけると、次から次へとその人の作品を読みたくなるものです。その世界に浸るのは至福の時間です。
それでは、いくつか私が面白いと感じた作品の紹介を…
・言の葉の子ら(井上真偽)
金髪碧眼、おまけに超美人のエレナは保育園に務めている。言語学を学び、世界中の大学や研究所からも引っ張りだこの彼女が日本の保育園に来た理由。それは数多くの言語の中でも特に日本語が好きで、また、幼児の言習得過程を研究する発達言語学に興味があったためだった。
初めこそはその見た目から幼児たちから警戒されていたものの、次第に幼児や職員たちとも打ち解けていくエレナ。
そんなある日、ある男子園児が近ごろ周囲に乱暴なふるまいをしているようだと職員から相談を受ける。彼はエレナを好いているようで、エレナの前ではそのような素振りは見せたこともなかった。
彼女は、彼女の得意分野である言語学を駆使して、男子園児の問題行動の原因を調べていく…。
いや~まんまと騙されました。笑
終盤の4ページくらいで急に「あ、そういう感じ!?」と怒涛の種明かしみたいな展開になります
そりゃ、各種研究機関にも引っ張りだこなわけです~外見も初見ではぎょっとするでしょうね笑
近い未来、このお話のようなこともあるかもしれませんね~
・陰獣幻戯(歌野晶午)
自身の性癖が異常であると自覚している「彼」が主人公です。高校教師、それも副校長の立場である彼は、女性に対する性欲が異常であった。女性を性の対象としてしか見ることができず、常に妄想にふけってしまう。
しかし彼は自身の性癖を理解し自制を徹底しているため、ボディタッチ一つですら控えるよう徹底していた。
普段は聖人の仮面をつけ、その仮面の下で妄想を楽しむのだった。
そんな彼が起こしてしまった恐ろしい事件とは…
どれだけ女好きなんだ…。。自作自演で彼女を脅して彼女を慰める、優しい紳士を演じて彼女の信用を得ようとする…。本当に聖人の仮面を被った陰獣です…。
どんなオチかは書きませんが、最近だとこういうことも多いかもしれないですよね!
本当にこういう「彼」みたいな人がいたらちょっとやだなぁ…妄想の相手になっていたらと考えると。。。
・旅は道連れ世は情け(白河三兎)
お話の始まりが、式根島に行くために大型客船に乗船した主人公が、偶然座席が隣になったおじさんたちと会話しているシチュエーションなので騙されちゃいましたね…。
人妻が、男子高校生をたらしこんではいけないですね…。
DVする夫が一番悪いですが、夫を殺すために思春期の男子学生の何とかして助けてあげたい(下心もあり)って気持ちを利用して、殺人を手伝わせるとは…。彼女が彼に近づかなければ、彼の人生も狂わされることもなかったのに。
なぜ彼が、7年の時を経て式根島に行かなければいけなかったのか、が最後にわかります。
・留守番(曽根圭介)
ごりっごりのストーカーの話です。話の登場人物の誰を信用していいのか悩みに悩む話です。
犯罪者は少なくとも自分自身では「自分は正しい」と思って罪を犯していると思うので、犯罪者が語り手の場合、語り手を信用してしまいそうになります。
最終的に、やっぱりあなたがやばいやつだったんですね…という終わり方でした。
・ロングターム・サバイバー(南京子)
ミステリーとしてももちろん良いお話だったのですが、死に対する考え方について再考するきっかけになるお話でした。
病と「闘う」という言葉。治療を受ける本人が、闘うぞ!という気持ちを持つことで前向きに治療に取り組めるとか、生きる希望を持てるとか、それはいいと思うんです。
けれど病と闘った結果、治療が成功しなかったらそれは「負け」なのでしょうか?死ぬことは負けなのでしょうか?
私の感じていたモヤモヤが少し軽くなるようなお話でした。
・「治療を受けないで死ぬのは、いけないことかな?」
・「医師にとって、死ぬ患者は負けだ。だから嫌なもんだよ。君も死ぬ患者は嫌いか?」
・「死ぬ人をね、愛してあげようよ。治すことしか考えない医師は、治らないと知った瞬間、その患者に関心を失う。
だけど患者を放り出すわけにもいかないから、ずるずると中途半端に治療を続けて、結局、病院のベッドで苦しめるばかりになる。
これって、患者にとっても家族にとっても、本当に不幸なことだよね。」
・救うことだけを考える医療には限界がある。今は看取りの医療がとても大切な事に思える。
どのお話も読みやすく、まんまと騙された!というお話も多かったので、おすすめです