28冊目:ザ・ベストミステリーズ2019 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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ザ・ベストミステリーズ2019

日本推理作家協会 編

2021/04/22

 

 

 

★ひとことまとめ★

ミステリー好きにはたまらない1冊ですお願い

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

耽読必至!ようこそ、日本最高水準のミステリーの世界へ!プロの読み手たちを唸らせた、選ばれし至高の短編9本がここに集結!初心者から愛好家まで必読必携な永久保存版!昨年1年間に発表された数百の短篇推理小説の中から、日本推理作家協会が厳選に厳選を重ね選び抜いた傑作だけを豪華収録。

新鋭からベテランまでキャリアに関係なく、「とにかく面白くて優れた」短篇のみを集めました。巻末には昨年のミステリー界の動向を記した「推理小説・二〇一八年」に加え、推理小説関係の受賞作を網羅したリストも収録!

 

 

【感想】

これはどのお話も最高!!!

ミステリー好きにはたまりません!!!

特に気に入った作品のあらすじと感想を書いていきますうさぎクッキー

 

 

・学校は死の匂い(澤村伊智)

久しぶりに読み返しましたお願い

こちらは2019年05月18日に書いたブログ「などらきの首」に収録されているお話なので、気になる方はそちらのブログをご確認ください音譜

 

 

・埋め合わせ(芦沢央)

ちょっとした気のゆるみから、自身が勤める小学校のプールの排水バルブを閉め忘れ、プールの水を抜いてしまった秀則。明日開かれる夏休みのプール教室のために水を貯める秀則だったが、別の学校で同じようにプールの水を抜いてしまった教諭が高額な水道料金を請求された、というニュースを目にする。

自分も学校から水道代を請求されるのではないか…、もしニュースになり、学校名と性別、年齢が出てしまったら、婚約者の父親にミスをしたのが自分だと知られ、結婚を反対されるのではないか…悩みに悩んだ秀則は、生徒のいたずらということで校内の蛇口を開けっ放しにし、プールの給水をカモフラージュしようと考える。

怪しまれないように早朝に校内の蛇口を開けて回る秀則だったが、運悪く競馬の借金が理由で家から追い出されたという同い年の理科教師五木田と遭遇してしまう…。

 

→そうくるか…!!!というオチで、タイトルの「埋め合わせ」の意味がわかりました。こりゃ一本取られた…という気持ちになりましたびっくり

秀則ももう頭真っ白だろうな~ほっと一安心したあとの手のひら返しはきつい…滝汗

ただすべては秀則がカモフラージュを考え実行したことが悪い…すぐに報告しておけばよかったものを…

ミスをしてしまったとき、嘘も言い訳もカモフラージュも良くないという教訓ですねおばけくん

 

 

・イミテーション・ガールズ(逸木裕)

探偵を父に持つ女子高生・榊原みどり。父親が探偵だからみどりもできるだろうという理由で、同級生・本谷怜から「いじめの主犯格・松岡好美が好意を持っている教師・清田の弱みを調べてほしい。それをもとに清田を脅し、好美にいじめについて注意してもらう。」という依頼を受ける。

自分ではできないと断るみどりだったが、依頼を受けなければ自宅を燃やすと脅され、仕方なく依頼を引き受ける。

素人ながら清田への尾行も上手く行き、清田が入って行ったラブホテルに好美が入っていくところを目撃する。さらに、清田は好美だけでなく様々な女性と肉体関係を持っていることがわかったが、清田と好美のツーショットが撮れるまでは調査を続けてほしいと粘る怜、

尾行の技術も上達してきたみどりだったが、清田を尾行中ラブホテル前で好美に見つかってしまう…。

 

→よく、いじめられる人ではなく、いじめる人に問題がある(のでカウンセリングを受けさせる必要がある)という話がありますが、まさにその例ですね。いじめる側のほうが、なんらかの問題を抱えていることが多い。そのため他者をいじめるということでバランスを保っている。。。

そして清田先生クソ人間ですね…教育者として最悪ゲホゲホ

私の通っていた中学でも、生徒とデートしたなどと噂されてた先生がいたなあ…相手は中学生で犯罪ですよ…。。。

 

 

・クレイジーキルト(宇佐美まこと)

群像劇なので、決まった主人公はいないのですが、自宅の郵便受けに「キルト教室展示会」の招待カードが入っていたことから、大事な用事の前にキルト展示会に向かう李緒のパートから始まります。

3年前のある悲しい事故により、運命が変わってしまった人たちが織りなすお話。被害者側、加害者側、周囲の人々のパートを読んでいくと、事故の全体像、そして李緒の用事の内容がわかってきます。

 

→短い作品ですが、多くの登場人物が出てきて、それぞれの心情がとても分かりやすく描かれていて、どの登場人物にも同情してしまいました。バタフライエフェクト、ボタンの掛け違いと言うんでしょうか、それぞれの登場人物のちょっとした予定変更がもとで、結果的に悲しい事故が起こってしまう。

加害者も含め、1人1人の行動には決して悪意はなかったのに…。あのとき予定通りに来てもらっていたら。自分の家に寄ってと言わなければ。いろんな人の「たられば」の後悔が伝わってくるお話でした。

 

 

・東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き(大倉崇裕)

外資系証券会社の営業マン・蓮見龍一は、恋人・坂下ゆきを自殺で亡くしていた。彼女は上司からのパワハラや、同業他社の営業マン・上竹肇に顧客データを盗まれ、顧客を失ったことを苦に自殺した。

その恨みを晴らすため、蓮見は上竹を呼び出し彼を射殺する。さらに、自身に容疑の疑いがかからぬよう、ヤクザ上がりの何でも屋・朝倉祐も呼び出し、上竹と朝倉が殺し合いをしたように見せかけ、朝倉も射殺する。

犯行を終えた蓮見は六時発ののぞみ号に乗り込むが、運悪く警視庁捜査一課の福家という女性と隣合わせになってしまう。

自身の犯行がそう簡単にバレるはずがないと思う蓮見だったが…

 

→福家に対し、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉がまっさきに浮かびました。「たいしたことない」と見くびって会話を進めていると、徐々に鋭い質問が飛んでくる。最終的に追い詰められるわけですが、どのタイミングで気づいたのかと尋ねると、出会ったタイミングですでに怪しいと睨んでいたという…、とてつもない観察力です。。

それに、乗客まで巻き込んだ演出(?)まで行うとは…。小説の世界だけではなく、実際の警察もこういったことするんでしょうかね?犯人を欺くための嘘の演出というか…。

コナンや金田一と行動を共にすると絶対に暴かれてしまうように、福家さんと隣の席になってしまったらもう逮捕確定ですね。

 

 

・母の務め(曽根圭介)

死刑囚の息子と、末期癌の夫を持つ田丸美千代のパートと、交際相手を殺してしまった西本文彦のパートで話は進んでいきます。

かつて夫・靖男が営んでいた町工場に勤務していた従業員の柴山と美千代の息子の純は共謀し、営利目的誘拐殺人を犯してしまう。共犯の柴山はいまだ逮捕されておらず、一人逮捕されてしまった純は死刑判決を受ける。再審請求も棄却されてしまったが、共犯の柴山が逮捕されるまでは、純の死刑は執行されないらしい。

美代子には純のほかに陽子という娘もいたが、純の起こした事件により結婚が破談になり、誹謗中傷により仕事も辞め引きこもりになってしまい、ついには置手紙を残して家を出て行ってしまった。なんとか陽子に会いたいと願う美代子だったが、靖男によると陽子は名前を変えて暮らしており、彼女の幸せのためにもこれ以上詮索はするなと言われてしまう。

また、自身の死期を悟った靖男から秘密を打ち明けられ、ある”引継ぎ”を受ける。それは、これまで靖男が行っていたある作業を美代子に託すというものだった。

偽名ではマンションは借りられないので、靖男が所有するマンションに住まわせている。生活費も少しだがポストに入れて渡している。決して会おうとはするな、というのが引継ぎの内容だった。

しかし、美代子は夫の言いつけを守らず、部屋のインターホンを鳴らす…。

 

一方、交際相手の美香の自宅で彼女を殺してしまった文彦は、彼女の遺体をフリーザーにしまい込んでいた。遺体の処理方法を考えあぐねているうちに一週間が経過し、覚悟を決めて処理をしようと思い立ったところに、インターホンが鳴る…。

 

→このお話が一番そういうことか!!!と思ったお話でしたびっくり

すっかり騙されました~、、、靖男から打ち明けられたときはそりゃ~美代子もはらわた煮えくりかえったでしょうね。。。けれど、純の死刑を執行させないため、それを逆手に取ったということですね。

弟の犯行のせいで決まっていた結婚も破談になり職も失った陽子は不憫でしかなかったので、どこかで暮らしているんだと思うと一安心です。

 

 

 

いや~全てのお話が素晴らしく、全部の感想を書きたいくらいだったのですが、時間の関係で特に印象に残った作品を書きましたえーん

やっぱりミステリーはいいなあ~と、ミステリーを読めば読むほど思います。。。

ザ・ベストミステリーズのほかの年のも読んでみようと思いますブルー音符