90年代アニメ&声優ソングガイド 名曲しかない! 音楽史に残したいエバーグリーンな600曲
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2,695円

前置き
先月から期間限定で怒涛の更新を続けている途中だけれど、今回はその流れから逸脱した記事をアップします(8日ぶり2度目)。前回は複数の理由が重なったがゆえの措置でしたが、此度の理由はシンプルに体調不良です。頭痛により完全新規の文章で今日中に執筆を終えられる確証が持てませんでした。ですのでまた当ブログの過去記事を再利用した新記事で以て本日の分とします。
この手の再掲は単なるコピペやリブログではなくそれなりの意義を持たせたいので、【ブログテーマ:複合記事】に埋もれてタイトルからでは内容が読み取れないものについて、共通のテーマの基に関連記述を集約させて網羅的な閲覧に資するようにしようというのが主たる目的です。
今般は一昨年の旅行記事「2023年、夏、沖縄 ~Every Trip Has A Soundtrack~」にて、「その2」から「その3」に跨っているせいで話の流れが分断されていた、下掲のディスクガイド本を中心とした記述をまとめました。例によって必要に応じて体裁や文面には多少手を加えることとし、前後の文脈に関する詳細は各リンク先でご確認ください。おまけ程度に新たな一言コメントも適宜追記しました。
『90年代アニメ&声優ソングガイド 名曲しかない! 音楽史に残したいエバーグリーンな600曲』(2023)
最後にジュンク堂書店那覇店での沖縄とは関係がない購入本として、あらにゃん監修・はるのおと編集の『90年代アニメ&声優ソングガイド』を紹介します。ヒストリカルな解説部分もあるものの主軸は純粋な楽曲レビューの連続なので、とにかく色んな曲を知っている or 知りたい方におすすめです。
書籍名の通りメインは90年代ながら、プレ90sとして80年代後半のナンバーにもふれられていますし、萌えソング台頭の流れでゼロ年代前半も対象に、更には90sリバイバルの文脈でテン年代後半のカバー曲までカバーするという、守備範囲の広さに特色があります。
作品や声優への思い入れまで考慮すると収拾がつかなくなってしまうため、あくまで音楽の好みだけに焦点を当てたうえで、本書のラインナップから自分史に於いてエポックメイキングな20曲を通時的に抜き出したものが以下の通りです。
1. 中村由真「Dang Dang 気になる」(1989)|『美味しんぼ』OP
一言コメント:掲載は[p.6]。シティポップリバイバルの恩恵を受けているであろう名曲。アニメの映像も素敵。
2. 平沢進「バンディリア旅行団(Physical Navigation Version)」(1991)|『DETONATORオーガン』ED
一言コメント:掲載は[p.72]。アルバム『Virtual Rabbit』(1991)収録のものとは別バージョン。上掲リンクの8cmシングルは未所持だが、本記事サムネ画像の通りサントラ『デトネイター・オーガン 1 誕生編』で所持。
3. LINDBERG「大キライ!」(1993)|『平成イヌ物語バウ』OP
一言コメント:掲載は[p.54]。こちらも8cmシングルは未所持だが、収録先アルバム『EXTRA FLIGHT II -human aircraft-』(1993)を母が持っており借りて聴いていた。同盤のはバウの声が入っていないバージョン。
4. 奥井亜紀「Wind Climbing ~風にあそばれて~」(1994)|『魔法陣グルグル』ED
一言コメント:掲載は[p.30]。2017年にリメイク版アニメの音楽をプチレビューした際に曲名を出したことがあります。最終話でリアレンジバージョンが流れた時は鳥肌。
5. 奥井亜紀「晴れてハレルヤ」(1995)|『魔法陣グルグル』OP
一言コメント:掲載は[p.90]。本曲も4.にリンクした記事に曲名を出したことがあります。両曲とも感動的だけれど同時に若干ドライな部分もあるのがグルグルっぽくて好き。
6. カヒミ・カリィ「ハミングがきこえる」(1996)|『ちびまる子ちゃん』OP
一言コメント:掲載は[p.139]。渋谷系好きならマストで押さえておきたい一曲。『アイドルマスターシンデレラガールズ』の緒方智絵里(CV:大空直美)がカバーしたバージョンもおすすめ。
7. 篠原ともえ「ウルトラ リラックス」(1997)|『こどものおもちゃ』OP
一言コメント:掲載は[p.107]。人生で初めてふれた石野卓球ワークスかもしれない。アニメは大人になってから再放送で全話観ました。
【追記:2025.7.14】 同アニメのサウンドトラックから「SANA SAMBA」(1996)を中心にした記事をアップしました。 【追記ここまで】
8. 西脇唯「君がいるから‥」(1998)|『金田一少年の事件簿』OP
一言コメント:掲載は[p.109]。本曲に関しては次の項にメインで取り立てます。
9. Gabriela Robin「Moon」(1999)|『∀ガンダム』挿入歌
一言コメント:掲載は[p.161]。ターンエーは観たことがありませんが、菅野よう子好きが昂じてサントラ『∀ガンダム オリジナルサウンドトラック』(1999)および続作にも手を出しており、その過程でお気に入りとなった曲です。
10. D.U.P.「PARTY☆NIGHT」(1999)|『デ・ジ・キャラット』キャラソン
一言コメント:掲載は[p.97]。2002オリジナルVer.が収録のアルバム『Di Gi Charat The BEST』(2003)は子供の頃の愛聴盤でした。ガイドに書かれていた面白い情報として作編曲の坂本裕介さん曰く、リックロールでお馴染みRick Astleyの「Together Forever」(1988)に影響を少し受けているらしい。RRの曲は「Never gonna give you up」(1987)です、念のため。
11. 坂本真綾「プラチナ」(1999)|『カードキャプターさくら』OP
一言コメント:掲載は[p.98]。『カードキャプターさくら』の劇伴を中心に作品愛を語ったこの記事の中で本曲含め各主題歌もレビュー済みです。菅野よう子さんの傑作の一つ。
12. 彩菜「Last regrets」(1999)|『Kanon』OP
一言コメント:掲載は[p.160]。この記事で述べている通り『Kanon』や次の『AIR』は世代でないので直接的なゲームの思い出はないものの、ミーム的な理解とI've Soundへの傾倒で古くからのフェイバリットです。
13. Lia「鳥の詩」(2000)|『AIR』OP
一言コメント:掲載は[p.181]。国歌です。…と書くことによるイデオロジカルなクレームを危惧して、12.にリンクした記事の中では「ネット上で異様に持ち上げられていた」とぼかした次第。
14. KOTOKO TO AKI「prime」(2000)|ノンタイアップ
一言コメント:掲載は[p.189]。信頼の高瀬一矢ワークス。KOTOKOさんの特集記事(Vol.1, Vol.2)ではレビューしませんでしたが、後編に画像で載せている自作のプレイリスト上では3rdに本曲の名前があります。ちなみに5年経った現在のリストは全90曲編成への格上げで全くの別物です。
15. ALI PROJECT「コッペリアの柩(Noir Ver.)」(2001)|『ノワール』OP
一言コメント:掲載は[p.181]。本曲を取り立てた「今日の一曲!」があります。バージョン違いについてはリンク先を参照。
16. 坂本真綾「bitter sweet」(2001)|ノンタイアップ
一言コメント:掲載は[p.188]。9.および11.に続いて菅野よう子ワークスの3曲目です。収録先アルバム『イージーリスニング』(2001)はガイドに於いても名盤と評されており、自作のプレイリストを確認したら7曲全てを上位60曲までに登録していて、個人的な嗜好でも裏付けが取れました。同盤から「another grey day in the big blue world」には「今日の一曲!」があります。
17. 川澄綾子「かえりみち」(2001)|『まほろまてぃっく』OP
一言コメント:掲載は[p.183]。純粋に主旋律の美しさで好んでいるパターンです。オフィシャルにOP映像がアップされていてたすかる。
18. ROUND TABLE featuring Nino「Let Me Be With You」(2002)|『ちょびっツ』OP
一言コメント:掲載は[p.187]。たすかるその2。14年半前、7年半前、4年半前と折に触れてアーティスト名を出しており、特に三つ目の記事では渋谷系・アキシブ系への一家言を明らかにしています。
19. KOTOKO「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」(2003)|『カラフルキッス ~12コの胸キュン!~』OP
一言コメント:掲載は[p.183]。電波ソングの金字塔。12.および14.にリンクした記事の中にも曲名を出してふれています。
20. HUiT「浪漫飛行」(2019)|『八月のシンデレラナイン』キャラソン(カバー)
一言コメント:掲載は[p.195]。上掲アートトラックの再生数が思いのほか多くて驚く。ハチナイのオリジナル楽曲のレビューはこの記事とこの記事にあります。
監修のあらにゃんさんが前書きで「サブスクにはないものを(中略)CDに媒体としての価値を取り戻したい」と述べており激しく同意なので、1.~20.のうちフィジカルに所持しているものをラックから引っ張り出してみました。ここにないものはデジタルで所持しています。初出でなかったりバージョン違いだったりも含まれますが何れも思い出深いです。左上のオーガンのサントラ3作なんか貴重じゃないでしょうか。
西脇唯「君がいるから‥」(1998)
前項に列挙した20曲のうち、最も懐かしいと感じた&この機会を逃すと二度とレビューしそうにないと思ったとの理由により、西脇唯の「君がいるから‥」をピックアップします。上掲画像が証拠に懐かしの8cmシングルをフィジカルで所持していて、世紀末の頃は『金田一少年の事件簿』と『名探偵コナン』の主題歌にお気に入りが多かった*小学生でした。
* 金田一では他にGRASS ARCADEの「BRAVE」とTWO-MIXの「JUSTICE~Future Mystery~」が(共に1999)、コナンでは小松未歩の「謎」(1997)/「願い事ひとつだけ」「氷の上に立つように」(共に1998)とTWO-MIXの「TRUTH~A Great Detective of Love~」(1998)とB'zの「ギリギリchop」(1999)が好きで、親にねだって買ってもらった記憶があります。
イントロの特徴的なシンセがフックとして優秀で且つサビ始まり、西脇さんの儚さと力強さが両立する歌声のインパクトも相俟って、アニメのOPにばっちりな惹き込ませる序幕です。タイトルロゴを背景にした王道のリフセクションを経て、意外とロックなオケの上を切ない旋律が走る平歌の音像は、歌声とのバランスが非常に良く取れています。映像面ではBメロの"壊れずに"で美雪がリップシンクするのが好きでした。
冒頭のシンセがスピーディーな変貌を遂げてフィルイン的に機能しサビへ、1番の時点でもうラスサビに入ったかのような盛り上がりを見せるところは、OPの尺だけでも充足感を得られるようにするためでしょう。"信じることも今は まぼろしに変えてしまった街で"は、推理モノの世界観にも不穏な時世を反映させたリアルにも刺さる見事な表現です。一転してCメロの気持ち前向きな進行も素晴らしいので、ぜひフルで聴いてみてください
後書き
以上、『90年代アニメ&声優ソングガイド』から自分史に於いてエポックメイキングな20曲の紹介でした。本記事は2023年末時点での選曲に基いていますが、2025年7月の今改めて20曲を選ぼうとすると一部ラインナップが変わります。時間と余力があったらその辺りも追記しようと考えていたものの、何方も尽きましたので取り敢えずここまでです。