先に言っておきますが、私は好きな曲は何曲もありますが特別に魚民(サカナクションのファンの方)ではありません。
たまたまアニメ「チ。―地球の運動について―」のリアクション動画を見てた関係でYouTubeでお勧めに上がって来たんですよ。
おおフルMVかあ。
そんな軽い感じで再生したんですけどね。
いやあビックリしましたよ。
本当に素晴らしい最高のMVでございました(*´ω`*)
「チ。─地球の運動について─」についてご存じない方も沢山おられると思うのでざっくり説明しますね。
魚豊(うおと)先生という漫画家さんが二十四歳からビッグコミックスピリッツで連載を始めた作品で、2022年に完結している全八巻のマンガです。
タイトルの「チ。」は大地のチ、血のチ、知識のチの意味があるようです。
漫画家さんが哲学科を出てらっしゃるようで、言われてみればそんな感じだなという内容です。
これは15世紀の中世ヨーロッパを舞台に「天動説」が絶対と信じられていた世界で、研究するだけでも教義に背く行いとして、絶大な力を持っていたC教(キリスト教だと思われる)からひどい拷問や弾圧を受けたり処刑されたりするという状態の中で「地動説」を命がけで研究した人たちの話です。
最近までアニメで放送されてましたよね。
(もちろんこれはあくまでもフィクションなので、キリスト教がそこまでひどい弾圧をしたとか拷問や処刑をしたなんていう史実はないと思いますのでそこは誤解なきように)
若干重たいテーマだと思いますが、これは名作だと思いますので機会があれば是非読んでいただきたいです。
そのアニメのオープニング曲をサカナクションが手掛けているわけですよ。
数年鬱や群発頭痛などと戦っておられる山口一郎さんがようやく活動再開して出した作品がこれですよ。
この方本当に天才じゃなかろうかと思います。
この曲「怪獣」の素晴らしい点を挙げるときりがないんですが、まず曲が単純に見えてすごく複雑です。
普通ポップス、ロックなどの曲によくある流れだと、
メロディー:サビ(1)→Aメロ(2)→Bメロ(3)→サビ(4)→大サビ(5)
(ビート:1→2→3→4→5)
ってなるじゃないですか。
これ一番はそのままなんですけど、二番が違ってですね。
メロディー:1→2→3→4→5
(ビート:2→新→3→1→4)
みたいな感じに変わってるんですよ。
ずれていると言うか、その歌詞はこっちのビートなのでは? などと聞いた人間が迷ってしまうんです。
いやこれは単に私が理解出来ないアホなだけかも知れませんけども(笑)
複雑だって言ったのはこの点で、
「あれ、これサビじゃなかったのか?」
「やっぱサビか? 待て待て、これはどっちだ?」
みたいな感じで何回聞いても未だによく分かっておりません( ̄▽ ̄)
すごく面白いです構成が。
そして歌詞とMVが見事にチ。の世界観と合致してるんですよ。
これは是非ともフル尺の「怪獣」のMVを観ていただきたいんですけども、簡単に流れを説明します。
(個人の見解や感想も入っておりますので、観てみようと思った方は↓の先を読まないでまずご自身で体験してください)
↓
↓
↓
↓
↓
山口さんが大切そうに卵のようなものを抱えて地下道みたいなところを歩いて行くところからスタートします。
それを様々な方法で取り上げようとする人たちから逃げて行く感じですね。
(ちなみに私の大好きな俳優である嶋田久作氏が出ております)
お金、性、洗脳、暴力。
流されそうになりながらもはねのけ必死で逃げる間に幼い少女からペンをもらったりします。
でも卵を抱えて逃げるのは大変で、通路の壁が両サイドから迫って来て、進もうとする山口さんを押しつぶそうとするんですね。
こんなに辛いなら引き返してもいいんじゃないか。それですべてが丸く収まるのではないか。
そんな感じできびすを返して歩き出すと壁はまた広がり出すんです。
お前が戻るのは正しいよ、こっちへ戻れと言わんばかりに。
でも途中で足を止めて、やっぱりダメだという感じでまた前に走り出す。
壁は彼を押しつぶそうとする。
それでも抗って前に進み、卵を持った手だけが壁の間から出てポロリと卵が落ちる。
一人の青年がそれを受け取りまた別に向かって歩き出し、卵を失った手は壁に引っ込んで元通り何事もなかったかのようになり、通路には日常が戻り通行人が歩き出す、という終わり方をします。
ここからは勝手な想像なので、まったく異なるかも知れませんがまあ一般人の考察ということでお許しください。
卵はその人の守りたいすべての知識やかけがえのない信念、そういったものの形だと思います。
色んな誘惑や否定、抑圧など様々な困難があったとしても、そのことで自分が犠牲になったとしてもそれが未来に繋がればそれでいい。
日常に戻り何事もない生活を送る人がいても理解してくれる人がいなかったとしても、それが自分の求める満足出来る人生なのだ、と。
そしてあのペンをくれた少女なのですが、多分まだ誰にも染まってない懐柔されてない無垢な存在。
どちらの方向にも進めるよ、このペンを使うも使わないも自由だと彼にペンを渡したのではないかと。
「チ。」の世界観にも合致するし、現代人にも通じるところがあるじゃないですか。
「この世界は好都合に未完成
だから知りたいんだ」
(©サカナクション『怪獣』)
この歌詞は私のとても好きな部分です。
「知識」ってとにかくすごい情報量で圧倒されることがよくあるんですが、自分のカスカスな脳を少しだけマシにしてくれるし、新しい知識を得ることの幸福感って私にはたまらないんですよ。
最近ボケて来たので忘れっぽくはなってるんですが(笑)、その分また流し込めばいいですしね。
まあ少々穴の開いたバケツでも水を注ぎ続けてれば満足いく程度は飲めるぞと。
いやー、そこそこ生きてるとあちこち体にガタ来たりとか周囲の環境に疲れたりするじゃないですか。
しんどかったりも多々あるけど、こういう素晴らしい作品と出会う機会もあるんですよねえ。
このところ沈んでた気分が上向きになりましたよ(*´ω`*)
あなたに刺さるかどうかは分かりませんが、機会がありましたら是非一度観てください。
曲が気に入ったらついでに「チ。」も読んでいただければ幸いです。
(自作の宣伝より他作品のマンガを宣伝する人)











