ここ数年、故人の声や表情、性格的なものをAIで甦らせるようなサービスが始まってますよね。
まあ倫理観の問題ですとか、それは実質本人ではないとか、有名な人であれば詐欺的なAI広告塔に使われるのではなど、考えることは多々あり、議論は尽くすべきではあるかと思います。
ただこれは本当に求めている人、そうでない人の落差がとても大きいものじゃないかと思います。
今の個人的な価値観でいえば、それは「まがい物」であるという考えであり、AI生成してまで故人が実際に言うかどうかも分からない内容の会話を聞いたり見たいとは思わない側の人間です。
故人の冒涜であるような気持ちにもなりますしね。
これは私がもう若くはない年齢なのも無関係ではないでしょう。
既に両親も鬼籍ですし、写真ですらだいぶ昔のものしかない。音声なんてどこにもない。
もしやりたいと思っても、どうにもならない事情がある。
ですが、例えばもし自分がもっと若く、亡くなったのが大切な存在の自分の子供だったら?
両親、兄弟姉妹、友人、恋人だったら?
突然失ってしまった愛する人たちの写真なり、スマホなどで撮影した音声が入ったビデオがあったら?
私は考えてしまうかも知れません。
例えまがい物でもいい、故人を偲び、思いを馳せるためのよりどころにしたい。
そんな風に思うかも知れません。
こういう風に考えてしまうことも不謹慎だ、と思う人も中にはいるかも知れません。
それも間違ってないと思います。
ただ、年を食った自分が言えば説得力あるんじゃないかと思いますが、脳内の記憶って色あせるんですよ。
どんなに愛していた人でも、顔も、声も、なんとなくしか思い出せなくなる日がいつか来るんです。
印象的な出来事や思い出の記憶は鮮明でも、顔の辺りがすりガラスみたいに薄ぼんやりしてしまう。
改めて写真で確認しないとハッキリしなかったりするんです。
その人が存在していた時間が止まるからだ、と私は感じてます。
情報が更新されないんですよね、脳の中で。
そうすると、他の新しい今の生活で付き合う人たちや情報にどんどん追いやられてしまって、思い出したくても上手く思い出せなくなる。
私はそんな感じになったりします。いや、自分はまだボケてはないと思いたいですが( 一一)
きっと大なり小なり、薄れてしまうものじゃないですか、記憶って。
だから、こういうものがあってもいいんじゃないかな、と私は思います。
それで癒えていく心の傷だったり、気持ちの折り合いをつけられることもあるでしょうし。
故人にとっても生成AIの是非じゃなく、死んだ後も自分を忘れないでくれている、記憶にとどめておきたいと思っていることを、不快だ、嫌だと思う人はほぼいないのではないかと思います。
……とはいえ、ですよね。
まだまだ難しい問題なのかなあとも思ったりします。
岸田首相のAI生成映像を作って酷い言動を喋らせて炎上した件もあったり、あたかもその有名タレントがお勧めしてるような生成AIを作って広告にしたりしてるのに騙されたりする人もいるぐらいリアルで、一般人には区別がつかないようなものもあったりします。
だから故人生成AIにだって、自然に要らん商品やら商材を勧めて来るプログラムを組もうと思えばできるじゃないですか? 私はプログラムとか詳しくないですけども、悪用しようと思えばいくらでも出来そうです。
有名芸能人の生成AIより、故人の顔や声で毎日さり気なーくさり気なーく勧められてたら、洗脳に近いというか、潜在意識の中で「買わないと」みたいな状態になる人もいそうですよね。
なんかこんなこと書いてるとSFとか妄想の世界になりそうですが(笑)
でも、物事には絶対なんてものは存在しないわけで。
こういう悪用の危険を出来るだけ排除出来るようなプログラムだったり、セキュリティーや罰則や賠償のある契約などが整えばいいですね。
といっても私ごときの知能ではいかんともしがたいので、頭のいい人に頑張って頂きたいものです。