MovingPlanet(惑星ブログ)~時をかける物語旅行~ -3ページ目

MovingPlanet(惑星ブログ)~時をかける物語旅行~

本、漫画、映画、音楽などの感想。
心が動いたポイント、物語の時と場所、作品同士のつながりを記録。

あいにくの雨だったが、本日最終日のため、行くしかない。

生誕80周年記念特別展「手塚治虫展~未来へのメッセージ」

MovingPlanet(惑星ブログ)~物語をめぐる時空の旅~

入り口でアトムツアーと名づけられた音声ガイドがあったので、もちろん申し込む。
ナレーションは息子さんの手塚眞さん。


以下、内容で心に残ったことをメモ。

・手塚治虫の生誕は1928年11月3日文化の日。
 本名の治は、11月3日が明治節という明治天皇の誕生日が由来。

・スターシステム
 宝塚歌劇にヒントを得たシステム。
 言葉は聞いたことがあったが、意味は正確には知らなかった。

 手塚作品で別の作品に、ひげおやじや、ロックなど顔は同じでも別のキャラクターとして出てくるが、
 俳優がギャラをもらい演じているという設定なんだそう。
 
 当時は読者もそれを楽しんでいた模様。

 展示に、メモがあったが、キャラクターごとのギャラまで記載してあり、その徹底振りがすごいと思った。個人的にはそれぞれ別の作品名わけなので、別の顔でいいと思うが、人気を出すための仕組みという意味では合点がいく。読んでいても親近感がわく効果もあるかもしれない。(絵柄が違う漫画は読みはじめにパワーがいるので。まあ、他の漫画家でキャラ同士の顔が同じで髪型だけ違うなんてのはざらにあるが。)

・昆虫図鑑
 とてつもなく、精密で本物のよう!赤い色がなかったので自分の血を使ったらしい。

・音声ガイドには藤子不二雄Aのインタビューがあった。
 新宝島に驚いた話。
 そのころ誰も乗っていなかったオープンカーに少年が乗って走り出す、映画のような引きとアップの
 コマ割。その後漫画家になったものでは、皆この新宝島に衝撃を受けて漫画家を目指したものが多いとのこと。今の漫画世代がわからないが、当時の読者にはとてつもない体験だったのだろう。
今、漫画や新しいメディアの作品でそういった体験はあるのだろうか?


・新宝島には宮崎駿も影響をうけたそう
 展示を出たところの新聞記事の切り抜きで宮崎駿のインタビューがのっていたが、今回の展示にあたり、
 コメントを述べている。
 ・手塚治虫がなくなったとき、宮崎駿は訃報によせるコメントで
「手塚治虫のアニメーションは長屋の義太夫(つまり見れたものではないということ)」を話したそう。

それ以来コメントはなかったそうだが、今回の記事では、影響を認めており、新宝島を読んだときの
体験も語っている。ただ影響を認めながらも、売れるためにヒューマニズムしか書かなかったと批判的なスタンスは崩していない。
宮崎駿は手塚治虫のアニメーションをみて、これなら追い越せると思ったそう。

・仕事机も展示があった。
 非常にシンプルな机。120×70ぐらいか。ただ、椅子はしっかりしたつくり。長時間労働だからなー。

COMという雑誌を創刊。
 「まんがエリートのためのまんが専門誌」がキャッチフレーズ
 ここからあだち充、大友克洋も世に出たそう。

開明墨汁エピソード
 出張先で墨汁がない!と事件に。担当編集者がやっとの思いで手に入れて戻ったら墨汁の種類が違うと。手塚治虫は開明墨汁しか使わないのだが、それはなかったため、大変なことに。結局荷物の下に隠れていたことがわかったようだが、編集者は手塚治虫に試されていたと当時を振り返るコメント。
 試していたとしたら、さすがに人が悪いし、それはないのでは?と思った。

・仕事に対する厳しさ
 若手にも厳しかったそう。そりゃそうだろう。

アニメラマ 世界初の大人のためのアニメーション
 第一作は千夜一夜物語
 キャラクターデザインは、今では『それいけ! アンパンマン』の作者として知られるやなせ・たかし


虫プロ・アニメラマ DVD-BOX (千夜一夜物語 / クレオパトラ / 哀しみのベラドンナ)

¥15,800
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 そんな言葉があったとは知らなかった。
 今ではアニメは大人のものになったのだろうか?内容は相当エロチックなようだ。

実験アニメーション ジャンピング
ジャンプする少女の視点のみですすむアニメ
あらためてあらゆることに挑戦した手塚治虫を実感した。

天才といわれるが、そのバイタリティと貪欲さがないとこれだけの作品は残せない。
しかも質を保ったうえで。

・展示では浦沢直樹の「PLUTO」の直筆原稿も展示

・今後の手塚治虫作品の映画化
 ・MW
 ・アトム CG版
 正直アトムのほうは、CGの意味がわからない。特殊効果は大きいが、御茶ノ水博士まで表情が希薄になってしまう。

・最後は胃がんで亡くなられた。その死によって『グリンゴ』『ルードウィヒ・B』『ネオ・ファウスト』そして『火の鳥』が未完のまま遺された。

意識がなくなるまで書き続けていたそうで、展示にもまだセリフのみや絵コンテのみのノートが残っていた。

作品への執念を感じる。

胃がんになってから「頼むから仕事をさせてくれ」という言葉が残っている。

本当に仕事の虫だ。すごい。

・水木しげるのコメント
漫画家で集まる際には、必ず石の森章太郎と徹夜自慢をされており、編集者ももてはやした。
だから二人とも早くになくなった。まさに命を削って書いてたんだろうと。

徹夜をしなかったらこれだけの作品は残せなかっただろうけど
完結していない作品は残念。

特に火の鳥。

火の鳥が、過去と未来を順番に書いていき、最後に現代編で終わる構想だったことは
以前、読んだ本で知った。

以前ブログにも法皇編の感想を書いたが、
本当に完結編の現代編を読みたかった。

描かれていたらいったいどんな作品だったろう。

ご冥福をお祈りします。

今日はきてよかった。

まだ読んだことがない手塚治虫作品もまた読んでいきたい。


MovingPlanet(惑星ブログ)~物語をめぐる時空の旅~
江戸川の下流に柴又と矢切を行き来する「矢切の渡し」という渡し舟がある。

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伊藤左千夫の小説『野菊の墓』にも出てくるこの渡し舟を見るために柴又に向かった。

まずは柴又駅で寅さんの像を見る。

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いまだ『男はつらいよ』をしっかり見たことがないのだが、
全48本あるそう。せっかくなので今度1つ見てみようと思う。
(どれがおすすめなんだろう?)

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花

¥3,591

そこから帝釈天を目指し、帝釈天参道を歩いていくのだが、歩いてすぐの角に面白い建物を発見。

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1Fのハイカラ横丁には、昔なつかしの駄菓子などが売っている。
子供の頃に必ず食べたものばかりでかなり楽しめる。

2Fはおもちゃ博物館で、昭和レトロなおもちゃや、雑誌、ゲーム機などが置いてある。

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こちらの展示品がこち亀に登場という張り紙にひかれて2Fにもあがってみる。
1Fで入場券を200円で購入し、2Fにあがる。

中は思ったよりせまかったが、
ケースの中にコロコロコミック創刊号や少年サンデーが並んでいた。

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コロコロコミックは1977年4月15日に刊行されていた。これは僕の生まれた1年後になる。
ずっと昔からあったものだと思い込んでいたが、自分が生まれてからできたというのは
結構驚きである。

といってももう32年たっているわけだが、長いといえば長いし、短いといえば短い。

創刊号から表紙はドラえもん。

雑誌も最近廃刊があいついでおり、厳しい状況になっているが、コロコロは大丈夫だろうか。
がんばってほしい。

ちなみにこのおもちゃ博物館のおもちゃの数々は
黒沢哲哉さんという漫画原作者の方のもので、名誉館長もされている。

黒沢哲哉さんプロフィール
ブログはこちら

ハイカラ横丁、おもちゃ博物館の角を右に曲がると、帝釈天参道が続いている。

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参道の右手、入ってすぐにある「大和屋」で天ぷらを食す。

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あげているところはかなり美味しそう。

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たれは関東風で濃い目だがガイドブックにも書いてあったがさっぱりしており、
しつこくない。並を頼んだが、海老とキスがのっており、十分な量である。

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店内には寅さんの写真がいっぱい飾られていた。

さらに参道を歩くと、ロケ地に使われた店が。

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建替えをしてはいるらしいのだが、この店で寅さんは撮影されたそう。
映画を見ている人だとかなり興味のわく場所だろう。

参道が終わり、柴又帝釈天で参拝した後、いよいよ矢切の渡しに向かう。

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堤防をあがると見える風景。

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大人1回100円で乗船。安い。元がとれるのだろうか?

使命感で家業をついだという船頭さんの声が新聞にのっていた。

夏は毎日やっているが、冬は土日のみだそうなので注意が必要。
また帰りは16時半で終わりなので、戻れなくならないよう注意。

矢切の渡し松戸市観光協会

わたりきるのはおよそ5分。ほんと目と鼻の先だが、
手漕ぎの船は風情がある。風が気持ちいい。

流れが東京湾とは反対に流れていたが、東京湾に向かって流れていないとおかしい気がした。
勘違いだろうか?

舟は手漕ぎでは流れで流されるため、最後はモーターも使う。

この矢切りの渡しと柴又帝釈天は、
環境庁が指定した将来に残していきたい「日本の音風景100選」にも指定されているそうだ。

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寅さんのふるさとでもある柴又帝釈天の参道は,いつも参拝客で賑わっている。川魚料理屋の生簀の水の音や飴屋がトントンと飴を切る音が聞こえ,境内に入ると,梵鐘が朝,昼,夕を告げる。
 江戸川に出ると,船頭さんの手漕ぎの渡し船が,150メートルの向こうの対岸へと往復する。ゆったりと流れる江戸川の水に合わせるかのように漕いで行く。
 川面をすべるように対岸に向かうギーッ,ギーッと船を漕ぐ櫓の音,そして春はヒバリのさえずり,夏のオオヨシキリのやかましく鳴く声,冬にはピーピーと鳴くユリカモメなどの声が聞えてくる。四季を通じて,多くの野鳥たちが集まってくる都心に近いオアシスだ。

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 残したい日本の音風景100選 柴又帝釈天界隈と矢切の渡し より

この矢切りの渡しの歴史は看板に記載がある。

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◆柴又側の説明

『元和2年(1616)、幕府は利根川水系河川の街道筋の重要地点15カ所を定船場として指定、それ以外の地点での渡河を禁止しました。その1つが矢切の渡しで、この付近を通る国分道に架かる渡しで、主に近郷の農民が対岸の農耕地へ渡るために利用していました。現在、都内に残る唯一の渡し場で、今も昔ながらの手漕ぎの和船が対岸の松戸市下矢切との間を往復しています。伊藤左千夫の名作「野菊の墓」の舞台となり、ヒット曲「矢切の渡し」を生んだ地としても有名です。』

◆松戸側の説明

『矢切の渡しは松戸市矢切と東京都柴又を往復する渡しでその始まりは三百八十余年前江戸時代初期にさかのぼります。

当時、江戸への出入りは非常に強い規則のもとにおかれており、関所やぶりは「はりつけ」になろうという世の中でしたが、江戸川の両岸に田畑をもつ農民は、その耕作のため関所の渡しを通らず農民特権として自由に渡船で行きかうことができました。これが矢切の渡しの始まりでいわゆる農民渡船といわれるものです。

明治以降は、地元民の足として、また自然を愛する人々の散歩コースとして利用され現在では唯一の渡しとなっています。

この矢切の渡しの庶民性と矢切の里の素朴な風景は、千葉県の生んだ歌人でもあり小説家でもある伊藤左千夫の小説”野菊の墓”の淡い恋物語の背景となっておりその小説の中で美しく描かれております』

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江戸時代の関所は厳しかったというが、
ここはその関所を通らずに渡船できる場所だったようだ。

田畑を耕すためにはお上も許したということか。
この渡しを利用して農民のふりをして関所破りをする輩はいなかったのだろうか。
そういうシーンが出てくる歴史小説もありそうだ。

矢切の渡しは小説だけでなく、歌でも有名らしい。

矢切の渡し (細川たかし)

1983年に細川たかしで大ヒットしたようだが、
最初はちあきなおみが発売したそうだ。



渡し船は柴又から矢切側に到着。

20分ぐらい歩くと
『野菊の墓』の文学碑があるようなのでそこまで歩いてみることにした。

まず柴又側と矢切側のあまりの風景の違いにびっくり。

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一面田んぼである。

こんな場所がちょっと川を渡るだけであるとは。
土のにおいがして、まるで田舎に里帰りしたようだ。

子供がザリガニ釣りをしており、自然を体験させるには絶好だなと思った。

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堤防を降りてすぐに本の石碑が。
野菊の墓の文章が一部紹介されている。

野菊の墓 (集英社文庫)/伊藤 左千夫

¥360
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どんな内容かまったく知らなかったが、悲しい恋物語だそうだ。

さらに「野菊のこみち」という道をいくと、文学碑にいけるようだ。

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これが野菊のこみち。田んぼ道である。伊藤左千夫が小説を書いた頃のままなのだろう。


大きな地図で見る

このgoogoleマップの衛星地図をみてもらうとわかるが、矢切のこのへんだけが見事に田んぼ。
なぜここだけ残ったのだろうか。ほんとすごい。

田んぼ道を歩き、野菊の墓文学碑に到着。

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階段では猫がお出迎え。

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こちらが文学碑。

この場所が野菊の墓で伊藤左千夫が書いている「僕の家」にあたるのだろう。

青空文庫に原文があった。

 僕の家というのは、松戸から二里ばかり下って、矢切(やぎり)の渡(わたし)を東へ渡り、小高い岡の上でやはり矢切村と云ってる所。矢切の斎藤と云えば、この界隈(かいわい)での旧家で、里見の崩れが二三人ここへ落ちて百姓になった内の一人が斎藤と云ったのだと祖父から聞いて居る。


ちなみに上で書いている「里見の崩れ」といっているのは、千葉安房を支配していた里見氏のこと。

この場所で「国府台戦争」という2度の大戦争があり、関東支配の野望をもって攻めあがってきた里見氏と
北条氏が争ったらしい。

結果的に、里見氏は破れ、二度と再起することはなかったそうだ。

安房からここまで2回も攻めてきていたとは・・・。
しかも上杉謙信と手を結んだり、謀略渦巻く戦国時代という感じだ。

うーん、歴史ロマン。

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そこから眺める景色はもちろん田んぼだけである。

ベンチを占領していた猫のあくびも撮れた。

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そしてまた矢切の渡しで柴又に戻った。

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まるで舟によって過去へタイムトラベルをして、また戻るかのようだ。

都内からこんなに近い場所でひとときの時間旅行を楽しめた。
世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)/マッテオ・モッテルリーニ

¥1,680
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人間の脳がいかに間違えやすいか、いろんな実験、例えをもとに
説明されているので、読みやすく興味もそそられる。

以下読書メモ。

・ギャンブラーの誤謬

・アンカリング効果

・統計より感情
 ・利用可能性(最近の事例や思い浮かびやすい事例を判断基準にしてしまうこと)
 
 問い:(小さな女の子の親として)
    子供の友達の父親が家にピストルをもっていることと、子供の友達の家にプールがあることと
    を知ったときではどちらが安心していられるだろうか?

  という問いに対して、大半は、プールが安心で、ピストルは心配という心理的な反応となるが、
  統計的にはプールで溺死する子供の数のほうが多い。

飛行機と、交通事故みたいなものだ。確かに感情で判断することがよくわかる例。

・見えてはいても見ていない。(注意力の欠如)

 映画「パルプフィクション」で、コカコーラがはいっているグラスのストローと氷がなくなる。
 女優のタバコが右手から左手へ変わる。

 こういう撮影ミスはyoutubeかなにかに特集されていたが、このパルプフィクションは見たときには
まったく気づかなかった。

 ファイトクラブの最後のシーンには、建物が爆発する瞬間、クレジットタイトルの前に
 観客の目にはとまらぬ速さでペニ●が横切るらしい!

 これはブラッドピッド演じる主人公が映画技師の仕事をしており、
 フィルムにポルノシーンを紛れ込ませる癖があることから、デビットフィンチャー監督が
 あえてもぐりこませたそうだ。

これも再度見返してみたい。

・順序効果
 公開討論等で発言が最初、最後どちらがいいか?
 直後に効果を得たいなら、最後。
 しばらくたってからなら、最初らしい。 

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引用されていた本、映画

パルプ・フィクション [DVD]

¥8,000
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ヤング・フランケンシュタイン 特別編

¥3,591




賭博者 (新潮文庫)/ドストエフスキー

¥500
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ファイト・クラブ [DVD]

¥1,039
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先日TVで見て、感想を記事に上げた

そのあとネットを見ていて、
happiness 千と千尋の舞台
で知ったが、千と千尋の街並みなどは、台湾の九フンがモデルになっているらしい。

Moving Planet(惑星ブログ) ~本、映画、音楽の時空間旅行~

確かに似ているところがある。

博多おんな節
千と千尋の神隠しの舞台@台湾・九ふん

このブログにも街の様子が詳細にレポートされている。

台湾には行った事がないが、これでいく楽しみが一つできた。


大きな地図で見る
千と千尋の神隠し (徳間アニメ絵本)/宮崎 駿

¥1,680
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金曜日にテレビでやっていたので久しぶりに見た。しっかり見たのは2回目かな?

以下ネタバレ注意。

出だしから、ところどころ忘れているシーンがあった。

あの湯屋の世界にはいるきっかけがトンネルだったことは覚えてたが、
なんで両親が豚になったのかは忘れてた。

その前に、トンネルまでの道をお父さんが車をかっ飛ばすシーンがあるが
なんであんなに飛ばすんだ?妻子がいるのにいくらなんでも飛ばしすぎ。

この冒頭の車のシーンについては、詳細なレポートをされているサイトがあった。
「千と千尋の神隠し」アウディの謎

このサイトの分析は秀逸で同感。
冷たいとまではいかないが、子供への愛や心遣いが見られず
危機意識がない身勝手な両親だ。
(あえてそういう設定にしたんだろうけど)

トンネルを抜けた先の街をお父さんはバブルでつぶれたテーマパークと思っていたようだ。
このへんも忘れてた。

そして、そこで中華系の屋台で勝手に食べ始めるお父さんとお母さん。
普通勝手に食べないだろ(笑)

あのうまそうな食べ物についてはネットでも質問が出ていた。
yahoo知恵袋

yahoo知恵袋2

あのお父さんが食べていた丸くて餅巾着っぽい小籠包みたいなものは、実際のモデルはないらしい。

2年前の夏に東京都現代美術館で見た「ジブリの絵職人 男鹿和雄展-トトロの森を描いた人。」
で、千と千尋の神隠しの絵も数多く展示されていて、
食べ物に対しても、宮崎駿監督の詳細な注文メモがあったと記憶している。

それにしてもうまそうな食べ物だ。肉汁ですぎ(笑)

ちなみに1年前のジブリレイアウト展では千と千尋の神隠しの絵は
壁一面に並べられていて、ここまで詳細なラフ画をかいているんだな、と感心した覚えがある。

また、あの湯屋のシーンも実際の遠近法では見えない上階のシーンを
あえて書いているそうだ。


また、なぜ両親が豚にされてしまうのか?という疑問については
いろんな解釈ができるが、以下のブログが非常に参考になる。

HIGHLAND VIEW 【ハイランドビュー】
無数の解釈ができる物語は無敵<宮崎駿『千と千尋の神隠し』にみる「大きな物語」>


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「豚」になる解釈
・神様の食べ物を勝手に食べた罰だ
・勝手に人の物を食べてはいけませんという、ありがたい説教
・異界でうかつに物を口にすると帰れなくなるという、神話的な構造にもとづくもの
・豚は、いやしい現代日本人の象徴。飽食のシンボル。
・はいってきたにんげんをぶたにしてたべちゃう、わな?

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正解があるわけではない。無数の解釈ができる提示の仕方をしているということだろう。

このブログで知ったことは、
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神話や民話・説話をほとんどそのまま形で入れていたことでした。話には聞いていたけれど、想像を大きく越えていました。
民話のエッセンスだとかメタファーだとか、そういうことではなく、民話の類型をほぼそのままの形で入れていることが非常に興味深かったです。

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というところ。

神話や民話がはいっているということは知らなかった。

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さらに全体がいわゆる「行きて帰りし物語」という、非常にオーソドックスなお話になっている。
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物語の構造はたしかにシンプルにトンネルをくぐった世界にいき、返ってくるシンプルなもの。

ただ、物語の中に、いろんなエピソードがあり、大小の「行きて帰りし物語」がつめこまれているので
クライマックスが何度もあり、
2回目に見ても結構複雑な話だという印象は変わらなかった。

湯屋に入りに来るお客を洗い流したり、カエルをたべた顔なしを元に戻したり、
最終的に銭婆のところにいって帰ってくるまで、
クライマックスだらけだ。

さらに神話や民話のこと、なぜにお父さんはあんなにアウディのスピードを出したのか、
について、詳しく考察している記事を見つけた。

欧州鉄道百景 25.【番外編】 海原電鉄 考

この記事ではそもそも、湯屋の世界への旅は、臨死体験の事ではないか、と考察している。

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① 映画冒頭、冥界に通じる楽復門が突然現れたのは千尋の父が「この車は四駆だゾ」とほざきながら愛車アウディA4で狭い林道を暴走中だった

② パニックブレーキ時のABS作動状況まで描かれている
   
③ 主題歌 (後述) の中の♪粉々に砕かれた鏡の上にも新しい景色が映される…という暗示的な一節
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前述のアウディの謎ブログでもABSについて書かれているが、
その理由はこの解釈で納得がいく。ある意味怪談みたいで背筋がぞっとした。

もちろんいろんな解釈ができるので、あくまで解釈なんだが、
そういうシーンをいれた意図は宮崎さんのなかに、なんらか必ずあるのだろう。

また、この記事で主題として書かれている海原電鉄。

これが黄泉の国に死者を運ぶ列車ではないか、と考察している。

そういわれるとなるほど、という気がしてくる。
普通にお話として考えずにみていたが、千と千尋はすごい暗喩だらけの話なのかもしれない。
(巷のジブリファンのなかでは当たり前の話なんだろうか?)

もしそうだとすると、生還できたのは千尋のおかげなのに、
何事もなかったかのような両親はほんと身勝手である(笑)

ちなみに、この海原電鉄(そういう名前なんだ!)を見て実際にある電車として思い出したのは
イタリアのベネチアへ走る海を走る列車と、パリのモンサンミッシェル行きの列車だ。

海の上をはしる列車を探している人は多いようで
以下にも質問が出ている。
海の上(桟橋)を走る列車-教えてgoo

物語に隠された暗喩の解釈に関しては
こちらのブログがわかりやすい。

宗教象徴学(2)
「千と千尋の神隠し」


そうか、そもそも、題名も神隠しだもんな、となんだか納得。


暗喩といえば、ハクに関しては、ニギハヤミコハクヌシ饒速水琥珀主だということが
最後にわかる。

あれも映画をみるだけではほとんど意味がわからない。

調べてみると、マンション建設で埋め立てられた小川の主だそう。
暗喩として日本の自然が失われていったことへの警告もあるのだろうか。

その世界観や心へ迫ってくるノスタルジー感など映画としてはすごく好きなんだが
ストーリーには前述のことも含め、色々見ただけでわからないことが多いが、
一番腑に落ちないところは、この一緒に海の中に落ちて竜に乗って跳んでいくシーン。

とってつけたように昔のエピソードが理由となっていて、カタルシスがあまりないのがもったいない。
昔おぼれたという話が会話だけでの提示なので、
できれば伏線のシーンがあれば、説得力があった気がする。

このへんも神話による暗喩がありそうだが、普通に映画を見るだけでそこまでは
わからない。このへんは映画の見方の問題だが。

ストーリーの作り方として全体を設計してから作っていないそうで、
時間内におさめるためには削ったところは多そうでそれも原因なんだろう。

鈴木敏夫の本で読んだが、書きながら物語をつくっていくので
オチがどうなるかは決まっていないらしい。

以下の作品作りへの鈴木俊夫の関わりが見えて楽しく読めた。

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)/鈴木 敏夫

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一つ一つのストーリーや全体の世界観は楽しく見れるのだが、
一つの物語として腑に落ちて楽しめるかというと、ジブリ作品は
この千と千尋から「?」なストーリーを観客に提示しだす気がする。

最新作の「ポニョ」にもその傾向は確実にある。

「ハウル」はもう論外で映画で説明が完結してない。そういう映画といわれればそうなんだが。


宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由 (朝日新書)/斉藤 守彦

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この本にも同様の考察がある。

映画ビジネスの本としても秀逸。また別途レビューしたい。

ちなみに飛行シーンは宮崎アニメの定番で、ストーリー上、飛ぶ理由があるわけではなく、
飛ぶシーンをいれたいから、そのシーンがあるというのが実際であろう。

このへんも鈴木敏夫プロデューサーが「ミヤさん、竜出してよ。飛ばしてよ!」とか言ってそうなのが
目に浮かぶ。ゲド戦記でも息子さんに依頼してたそうなので。

今回の記事にも色々感想やら考察やら詰め込みすぎて
まとまった内容にはまったくなっていないが、
サイトでいろんな方の解釈や物語の背景を調べることで、いろんな気づきのあった再視聴だった。




天使と悪魔を見た。

ダビンチコードはあまり楽しめなかったので
正直今回は、ローマの町を観光する気分で映画にはあまり期待せずに見に行った。

結局、睡眠不足だったこともあるが、個人的にはあまり映画としては入り込めなかった。

良くも悪くもジェットコースターのように、展開が速く、始終動きとBGMがある
作品。

以下ネタバレ

ただ、最後のどんでん返しは、小説を最後まで読んでいなかったことが幸いして
なかなか楽しめた。

今回期待してのは、予告で見た、地図を広げて、四大元素、
「空氣」・「火」・「土」・「水」のうち、次は
どこで殺人が起きるか、発見するシーン。

HISのツアーでも、その舞台を回る旅が提供されているようだが、
こういった、映画や小説の舞台をめぐる、すなわち、
空想とリアルがつながる旅は非常に興味がある。

また、youtubeのオフィシャルチャンネルでは、この4元素をさがす、グーグルマップを用いた
プロモーションが展開されている。

youtube 天使と悪魔オフィシャルチャンネル



こういった試みは大好きだ。






世界遺産を見た。

本日はメキシコのユカタン半島の世界遺産シアンカアン保護区にあるセノーテという泉から入る水中鍾乳洞

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ユカタン半島の石灰岩層は壮大な地下世界も作ってきた。それは聖なる泉「セノーテ」で敷地内のジャングルにはいくつものセノーテが点在している。そしてそれぞれ地下でつながりいまだその全容は解明されていない。今回セノーテに15年以上潜り続ける水中カメラマンに依頼し、その神秘の地下世界の撮影に成功した。

・・・・
そして、ジャングルの中に点在する神秘の泉「セノーテ」それらは太古の昔から変わらぬ姿を残し、動植物たちのゆりかごとして存在し続けてきた。シアンカアンを守る管理官の活躍の様子と地下に広がる神秘の世界を中心にその魅力に迫る。

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世界遺産オフィシャルHP

Moving Planet(惑星ブログ) ~本、映画、音楽がつながる世界~-シアンカアン

何気に見たが、
とてつもなく綺麗でびっくりした。

現地で水中カメラ万曰く
「セノーテは神秘的で、自分探しの旅に出かけているかのようだ。」

「映像制作現場より 気になるものを紹介!!」にUPされている本放送の写真はこの世のものとは思えない綺麗さだ。




また、何より今回惹かれたのは、そのセノーテや水中鍾乳洞の成り立ち。

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海底でサンゴなどが堆積することによってできた石灰岩が地殻変動によって地上に隆起した場合、雨水や地下水によって侵食を受ける。但し一般の岩石とは異なり、石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは酸性の液によって溶ける。つまり、二酸化炭素が溶解した地表の水にはよく溶けるので、通常の岩石より激しく浸食され、その内部に多くの空洞を生じるようになる。結果として、表面には溶けた石灰岩の残りが突出し、内部には空洞を生じ、あちこちでその空洞に通じる縦穴が生じるという、特異な地形となり、これをカルスト地形と呼ぶ。鍾乳洞はカルスト地形の地下に生じる構造である。
------------
(鍾乳洞 wikipedia)

鍾乳洞は上記のように、空洞なのに、なぜ水中にあるのか?

地殻変動で鍾乳洞が出来上がったあとに、
何かのきっかけで水がはいり、その後、いくつかの地中に穴ができたということらしい。

これを見て、僕が連想したものは、
大長編ドラえもんシリーズ8作目「のび太と竜の騎士」である。

のび太と竜の騎士 映画ドラえもん

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ここからネタバレ注意

この中で地底の大空洞、壊れた「どこでもホール」の代わりに多奈川の河底から
再び地底に入り込むところなどを連想したのである。

見た人は共感してもらえるのではないだろうか。

今から思うと藤子F不二雄は、長編どらえもんでは、SF的な要素をふんだんに盛り込んで
作品の舞台背景としている気がする。

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藤子・F・不二雄は
カナダのラッセルが提唱したディノサウロイド(恐竜人)の写真を雑誌で見て、地底人のデザインの参考にした(ドラえもんふしぎ探検シリーズ恐竜大探検の藤子・F・不二雄と小畠郁生の対談より)。
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wiki ドラえもん のび太と竜の騎士

これにその対談があるらしい。超チェック。

恐竜大探検 (ドラえもん ふしぎ探検シリーズ)/藤子 F・不二雄

¥893
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長編どらえもんシリーズは今見返してみたい。
新しい発見がいろいろありそう。

今回の記事は、シアンカアンのセノーテとどらえもんをつなぐ試みであった。

それにしても、メキシコ シアンカアンのセノーテいつか行ってみたい。


大きな地図で見る








しゃれた言い回しをメモしていく。

・ねじまき鳥クロニクル 村上春樹
「10分間でわかりあえることのできる何か・・・・
それは9分間では短すぎるし、11分では長すぎるのかもしれない。
ちょうどスパゲティのアルデンテみたいに。」

・伊坂幸太郎/陽気なギャングが世界を回す
「浪漫はどこだ」饗野
先日、1Q84発売を知り、読んでみたいと記事を書いた。1Q84 村上春樹

ただ、そもそも、ねじまき鳥クロニクルも海辺のカフカも読んだことがないため、
まずはねじまき鳥クロニクルを読んでみることにした。


ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)/村上 春樹

¥540
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読み始めると、冒頭、スパゲティをゆでながら主人公がFMにあわせて口笛でふいている曲「泥棒かささぎ」が気になったので、ネットで検索してみたら
ニコニコ動画にUPされていた。



本にも、ロンドン交響楽団と記載があるので、クラシックであることは
わかっていたが、実際聞いてみるのと想像だけで読むのでは臨場感が全く違う。

出だしは曲の盛り上がりで電話のベルが鳴るのだが、実際に聞いてみて
この部分だなとわかって勝手にニヤリとした。

そりゃ、スパゲティも大事だし、曲も盛り上がってるし、電話無視したくなるのもわかる。

今回、本に書かれている曲を聴きながら実際に読書するという体験にちょっと感動。

ニコ動にも「ねじまき鳥クロニクル」を読んでアクセスしているコメントが多数ある。
ていうか、ほとんどそれなのかな。
そういう意味では村上春樹の本がこの曲を現代読者に有名にしているなあ。

コメントで「こんな曲聴きながら茹でれるか」「高度な口笛技術」とあるのは笑った。

ニコ動で、読者は音楽と本をリンクした新しい共有体験ができている気がする。


この動画にもあるが、「泥棒かささぎ」はオペラ(歌劇)で
ストーリーがある。


まだ冒頭しか読んでいないからわからないが、
この「ねじまき鳥クロニクル」の第一部「泥棒かささぎ編」は
そのオペラのストーリーがすこしベースにあるんだろうか。

あと、冒頭に「1984年6月から7月」とあって、
まさに「1Q84」が題材の1984年だったので、関連しているのかな。

ネットで調べればすぐわかるのだろうが、ここはあえて知らずに読んでいきたい。

1Q84を読むまでにはまだまだかかりそうだ。。。


主題とは関係ないが、村上春樹の文章はしゃれていて、コーヒーを飲みながら読むのに
あっている。しゃれた文章といえば、伊坂幸太郎もしゃれている。

似ているわけではないが、しゃれた文章って、なにがしゃれているのだろう。

このへんは改めて書いてみたい。