HPV接種、WHOで安全声明
国内機関がWHOの諮問委員会GACVSからの声明を紹介


2013年7月6日 m3.com編集部 カテゴリ: 産婦人科疾患・感染症・癌
 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議の野田起一郎議長と今野良実行委員長は7月5日、WHOの諮問機関の一つ、「ワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)」が出した子宮頸癌予防ワクチン(HPVワクチン)の安全を再確認すると報告した声明を紹介した。声明は6月13日に発表されたもの。6月14日には、日本でHPVワクチンの積極勧奨の差し控えを決定している。周知目的に同専門家会議が和訳して公開した。

 GACVSは2007年にオーストラリアで発生したHPVワクチンの際の女子学生の浮動性めまい、動悸などの事例についても心因反応の結果と説明。さらに、日本で5人報告された慢性疼痛について、HPVワクチンとの直接の証拠はないと分析結果を報告している。日本での症状の検討の結果、典型的な複合性局所疼痛症候群(CPRS)と一致せず、ワクチンとの因果関係を明確にできなかったと説明。GACVSは日本に対し、各症例において専門医による確定診断を含む調査を要請している。世界でHPVワクチン接種が増加する中で慢性疼痛の報告はほとんどなく、「現時点ではHPVワクチンを疑わしいとする理由はほとんどない」と見解を示している。

 GACVSは2009年6月にもHPVワクチンの安全性を検討、報告しており、今回は2回目の報告となる。「HPVワクチンは世界で1億7000万回超が販売されており、多くの国で接種が行われている。市販製品の安全性に大きな懸念はないことを再確認した」と総括している。

【関連リンク】
WHOの公式声明「HPVワクチンに関するGACVSの安全性最新情報」の日本語訳配布について
【群馬】子宮頸がんワクチン 副作用さらに4人
読売新聞 7月23日(火) 配信


 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に副作用とみられる症状が出ている問題で、県内の医師らが今月12-19日、新たに4件の副作用とみられる症状を国に報告したことが22日わかった。国がワクチン接種の補助を始めた2010年11月以降の県内の報告例は、これで15件となった。

 県保健予防課によると、4件のうち3件は医師が、1件は接種を受けた女子の保護者が、それぞれ自治体を通じて報告。医師の報告例は全て重症で、それぞれ全身や手首、足首の痛み、めまい、貧血などの症状を訴え、うち1人は現在も回復していない。中には、接種後1か月以上たってから2か月近く入院した女子もいるという。3人が接種を受けたのは昨年3-4月で、医師は1年以上過ぎてから国に報告していた。

 一方、保護者による報告例は、ワクチン接種3日後に頭痛やめまい、視力低下の症状が出たと訴えているという。
HPVワクチンで罹患率56%減 【米国癌協会】


13-17歳で接種率低迷の状況も
2013年7月11日 米国学会短信 カテゴリ: 産婦人科疾患・感染症・投薬に関わる問題
 米国癌協会(ACS)は6月20日、ヒトパピローマウィルス(HPV)感染が、ワクチン導入以来急激に減少していることを示した研究を紹介した。6月19日付Journal of Infectious Diseasesに掲載。

 この研究は、米国疾病対策センター(CDC)が全米健康栄養調査(NHANES)のデータを基に、女児および成人女性のHPV罹患率を、ワクチン導入前と導入後について比較したもの。14-19歳女性のHPV罹患率は、ワクチン導入後56%減少したことが分かった。しかし3回のワクチン接種を完遂しているのは、13-17歳女児のわずか3分の1。CDCによると、このように低い接種率では現存する女児5万人が、生涯いずれかの時期に本来予防できる子宮頸癌を発症するという。

 米国ではHPVワクチンとしてCervarixとGardasilが認可されているが、いずれもHPV暴露以前に接種しなければならない。ACSは11-18歳女児への3回接種を勧告している。

 ACSは、女児への接種率が低迷している理由として、医師が積極的に接種を勧めないことを挙げる。HPV感染は性病であるため、医療関係者や保護者に心理的抵抗があり、また我が子が性的関係を持っているとは思わない親がワクチン接種の必要性を認めないのだろうと、ACSは推定している。

【関連リンク】
Lower HPV Rates in Teen Girls Attributed to Vaccine
日医代議員会
予防接種の実施、広報体制の充実必要
日医が国に求める方針、風疹ワクチン不足も懸念
2013年6月28日 池田宏之(m3.com編集部)


 6月23日の日本医師会定例代議員会で、日医は、国内の予防接種の体制について、「充実しつつある」との認識を示した上で、今後も国が事業主体となることや、予防接種に関する副反応の国民への周知体制の見直しなどを、厚生労働省に求めていく考えを明らかにした。

 東京都の代議員、角田徹氏が、米国では、厚労省や国立感染症研究所のような組織に対して、勧告・指導する委員会「ACIP」があることに触れ、「厚生科学審議会に予防接種・ワクチン分科会が設置されたのは評価できる」としながらも、安全性情報や疫学情報のさらなる集積ができるようになる必要性を強調。正確な情報の伝達に加え、国が予防接種の実施主体となる重要性に言及して、日医の対応を聞いた。

 答弁に立った日医常任理事の道永麻里氏は、2012年12月に予防接種基本計画策定に向けた議論が始まり、日医として(1)予防接種の必要性の明記、(2)ロタ・ワクチンを含めた5ワクチンの定期接種化――などを求めていることに言及。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の強化や、国立感染症研究所と厚労省の連携が進んでいること紹介し、体制が充実しつつあるという認識を示した。

 国の関与については、道永氏は、一部を除いて、予防接種の実施主体が市町村となっていて、財源に地方交付税が充てられていることについて「国が一定の責務を果たしているのは一歩前進だが、(地方交付税の)不交付団体もある。日医として、国の予算上、裁量的経費でなく、義務的経費として位置付けられるように交渉する」と話した。

 角田氏は再質問で、厚労省が子宮頸がんワクチン接種についての「積極的勧奨の中止」勧告が、有識者の検討会が終わった当日の夜間帯に出たことについて質問。日医常任理事の小森貢氏は、事前に厚労省から勧告内容の相談がなかったことに不満を示し、(広報周知体制について)「改善を申し入れている」とした。風疹ワクチンの問題では、小森氏は、8月末に不足する可能性に言及し、「来年の原液を使うか、ワクチンの輸入を検討するように、厚労省に求めている」と述べた。
子宮頸がんワクチンで「使用上の注意」の改訂指示--厚労省
薬事ニュース 7月4日(木) 配信


 厚生労働省は6月14日、子宮頸癌ワクチンのグラクソ・スミスクライン「サーバリックス」(一般名=組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来))とMSD「ガーダシル水性懸濁筋注 同水性懸濁筋注シリンジ」(一般名=組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来))について、「使用上の注意」の改訂を行うよう日本製薬団体連合会(日薬連)宛てに通知を発出した。ブルーレターの指示は出ていない。

 改訂では[重要な基本的注意]に「発生機序は不明であるが、ワクチン接種後に、注射部位に限局しない激しい疼痛(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み等)、しびれ、脱力等があらわれ、長期間症状が持続する例が報告されている」等を追加する。
接種率、大幅減は不可避 子宮頸がん対策に影響も
共同通信社 6月17日(月) 配信


 子宮頸(けい)がんワクチンの接種呼び掛け中止で接種率の大幅減が不可避となり、検診とともにワクチンを子宮頸がん予防の柱と位置づける厚生労働省にとっては大きな誤算となった。一方、副作用の被害を訴える団体からは15日までに「(接種の)中止に向けた大きな一歩だ」との声が上がった。

 定期接種ワクチンの接種呼び掛け中止は2005年の日本脳炎以来で2例目。厚生労働省結核感染症課によると、日本脳炎ワクチンの接種回数は04年度に約413万回だったが、06年度には約14万回に激減した。

 呼び掛け中止後もこれまでどおり医療機関に足を運び、定期接種は受けられるが、同課の担当者は「子宮頸がんワクチンの接種率が大きく減るのは間違いない」とみる。

 子宮頸がんは20~39歳の女性のがんとしては乳がんの次に多く、年間9千人近くがかかるとされる。接種率が大幅に落ち込むと、将来の子宮頸がん対策に深刻な影響が出かねないと厚労省の担当者は懸念している。
[予防接種] 子宮頸がん予防ワクチン、正しい知識普及と適正接種推進が重要
厚生政策情報センター 4月11日(木) 配信


子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)適正接種の促進に関する考え方(4/3)《子宮頸がん征圧をめざす専門家会議》

 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議等8団体は4月3日に、「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)適正接種の促進に関する考え方」を公表した。

 日本において、子宮頸がんは女性特有のがんとしては、乳がんに次いで罹患率が高く、とくに20~30代のがんでは第1位となっている。また、毎年約1万5000人の女性が新たに罹患し、約3500人が死亡するという深刻な状況である。

 こうした状況に対し、平成25年4月から施行される改正予防接種法により、子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチンが定期接種として実施され、公費助成の対象となった(p2参照)。子宮頸がん予防ワクチンが広く接種されることにより、将来のわが国における子宮頸がんの発生を約7割減少させることが期待されている(p1参照)。

 これを受け、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議等(以下、専門家会議等)は、3疾患の啓発とワクチンの適正接種を推奨する考えを示している。

 現在、子宮頸がんワクチンは、世界120ヵ国以上で承認され、有効性・安全性が広く認められており、先進国を中心に公費助成を行っている国は40となっている(2012年9月現在)(p2参照)。

 専門家会議等は、他国に比べて、わが国ではワクチン接種に関する正しい知識の普及等が遅れていたことを指摘。「定期接種制度が実現することで、地域格差や経済的格差なく、希望するすべての人が疾病をワクチンで予防できることは、予防接種政策が他国より遅れている日本ではさらに重要」とコメントしている(p1参照)。

 また、今般の子宮頸がんワクチン接種緊急促進事業の一環として、専門家による「子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会」の実施や、製造販売メーカー・医療関係者・一般消費者等、世界各国から収集された情報の集積・個別評価等が検討されていることにも触れ、正しい知識の普及と適正な定期接種の重要性を改めて強調している(p2参照)。

資料1 P1~P2(0.1M)
【千葉】接種の5人健康被害 子宮頸がんワクチン、うち1人は重症 市原市
千葉日報 7月2日(火) 配信


 接種と副反応とみられる健康被害との関連が指摘される子宮頸(けい)がんワクチンについて、市原市内の医療機関から被接種者5人の健康被害が報告され、うち1人は重症であることが28日、分かった。

 同日の市議会で、及川幸紀議員(共産党)の一般質問に対する答弁で市が明らかにした。

 うち重症の1人は、3回目の接種を受けた3週間後に初めて脱力発作が起き、歩行困難や突然の意識喪失、頭痛、手の震えなどの症状が頻繁に起きたという。
子宮頸がんワクチン2剤間の疼痛発生頻度等を検証へ--厚科審
薬事ニュース 7月4日(木) 配信


 厚科審・予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬食審・医薬品等安全対策部会安全対策調査会は6月14日の合同開催で、子宮頸がん予防ワクチンの「サーバリックス」及び「ガーダシル」2剤間の慢性疼痛に関する副反応の発生頻度等について解析を行うことを決めた。


子宮頸がん予防ワクチン接種後に疼痛が広範囲にわたる症例が38例報告されており、うちサーバリックスが34例、ガーダシルが4例であること、疼痛未回復の症例8例すべてがサーバリックスであることを踏まえての決定。検証方法については改めて検討する。
接種呼びかけ中止は妥当 子宮頸がんワクチンで学会
共同通信社 6月24日(月) 配信


 日本産科婦人科学会は22日、子宮頸(けい)がんワクチン接種を積極的に呼びかけるのを中止した厚生労働省の勧告は「妥当」とする声明を出した。ワクチンの効果と安全性を独自に調査することも明らかにした。

 声明は「安全性が確認されるまでの間、強い推奨を一時中止するとの勧告は妥当だ」とした上で、「今後、専門家によって接種の安全性が科学的かつ速やかに確認されることを期待する」とした。

 小西郁生(こにし・いくお)理事長は、接種を受けて重い症状が出た人がいることについて「重く受け止めている。基本的には安全なワクチンと考えているが、もう一回冷静になって評価したい」と話した。

 また、風疹患者数の増加を受け、学会は不妊治療を始める女性に対してどの程度抗体を持っているか検査したり、ワクチンの接種歴を確認したりといった対策を徹底するよう学会に所属する医師に注意喚起した。

 妊娠した女性が風疹に感染すると、胎児が心臓病や難聴など「先天性風疹症候群」になる恐れがある。