日医代議員会
予防接種の実施、広報体制の充実必要
日医が国に求める方針、風疹ワクチン不足も懸念
2013年6月28日 池田宏之(m3.com編集部)


 6月23日の日本医師会定例代議員会で、日医は、国内の予防接種の体制について、「充実しつつある」との認識を示した上で、今後も国が事業主体となることや、予防接種に関する副反応の国民への周知体制の見直しなどを、厚生労働省に求めていく考えを明らかにした。

 東京都の代議員、角田徹氏が、米国では、厚労省や国立感染症研究所のような組織に対して、勧告・指導する委員会「ACIP」があることに触れ、「厚生科学審議会に予防接種・ワクチン分科会が設置されたのは評価できる」としながらも、安全性情報や疫学情報のさらなる集積ができるようになる必要性を強調。正確な情報の伝達に加え、国が予防接種の実施主体となる重要性に言及して、日医の対応を聞いた。

 答弁に立った日医常任理事の道永麻里氏は、2012年12月に予防接種基本計画策定に向けた議論が始まり、日医として(1)予防接種の必要性の明記、(2)ロタ・ワクチンを含めた5ワクチンの定期接種化――などを求めていることに言及。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の強化や、国立感染症研究所と厚労省の連携が進んでいること紹介し、体制が充実しつつあるという認識を示した。

 国の関与については、道永氏は、一部を除いて、予防接種の実施主体が市町村となっていて、財源に地方交付税が充てられていることについて「国が一定の責務を果たしているのは一歩前進だが、(地方交付税の)不交付団体もある。日医として、国の予算上、裁量的経費でなく、義務的経費として位置付けられるように交渉する」と話した。

 角田氏は再質問で、厚労省が子宮頸がんワクチン接種についての「積極的勧奨の中止」勧告が、有識者の検討会が終わった当日の夜間帯に出たことについて質問。日医常任理事の小森貢氏は、事前に厚労省から勧告内容の相談がなかったことに不満を示し、(広報周知体制について)「改善を申し入れている」とした。風疹ワクチンの問題では、小森氏は、8月末に不足する可能性に言及し、「来年の原液を使うか、ワクチンの輸入を検討するように、厚労省に求めている」と述べた。