声迷線の彷彿線 どこ行き? -126ページ目

Last Ambient

撥条仕掛けの
螺子が切れて
動かなくなった世界で

色彩感覚は段々と
劣化して行き
次第に映ろう物は
白と黒と灰色
薄らいでしまう
褐色の影しか
残さずに

空洞のままの心の中を
音も立てず
通り抜けて行く

それでも
漣程の揺らぎすら
この胸には訪れず

ただ ただ鼓動だけが
何かの証を刻むかの
如くに
静かに撃ち続ける

夢見る事も無く
優雅な徒然
生者と死者
聖者と不誠実の
中間地点にて
宛も無くふらつき
漂いながら
息を殺す

息巻いている
明らかに不信を帯びた
無数の瞳の毒気に
ヤラレながら

ふと 預けた
視線の先には
まるで鮮血の様に
奇麗な紅い紅い
名も知らぬ花

全てを失い無くす
その時には
もう一度
思い出せる様

網膜に焦げつく程の
衝撃を詳細に
残像として
焼き付ける

斜陽 そして 落日

そして
今日も又
何人足りとも
擦り抜けて来ない
一日と云う時間が
循環して

それから
明日と云う名の
繰り返しの
うんざり加減に
支配される

ただ 鈴虫の声だけが
半狂乱に煌めいては

静かに沈みたい
夜の透き間を
埋め尽くして行く

暗がりに灯を
捜す事が
不毛な様に

希望などに
縋り憑いて
生きている事態

浅ましく
愚かしい

絶望には
時折だけれど
感謝している

同じくして
恐ろしく浅はかな
行為だと自覚は
するのだけれど

不確定要素の
強過ぎる
消えてしまいそうな
現象より

痛み 俯いて
打ち付ける時によって

この頭の真上には
空が存在している
事を感じ取れる

そんな感傷の様な
現実もあるのだから

こんな僕を憐れみ
嗤うのならば
嗤えば良い

疎ましく蔑むのならば
それでも構わない

この澱みきって
偽善と欺瞞に
充ち満ちた
世界などに
何を言われた所で
得られる物など
有りはしないから

morpheus

脆弱な意識を
霧のなかに漂わせて

白に流れる角膜
口角を上げたままの
夜に依るべを寄せて

夢の様に痛みを消す
神の名を冠した
銀の使いに
身を侵されて

とめどなく
止まない星の瞬きを
待ち侘びながら

灰になりそうな心に
朝焼けが墜ちて来る
のを願う

掴む物も撫でれずとも
その為にこの指先は
この声は
存在しているのだから