遠近法で描く中国 -2nd Season- -62ページ目

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

副題:法隆寺・薬師寺の美
著者:西岡常一(薬師寺宮大工棟梁)
発行:小学館(小学館文庫) / 2003年
ジャンル:日本再発見

最後の宮大工、と称された西岡棟梁が法隆寺に学び、薬師寺にその魂を吹き込んだ、木への想い、感謝がしっかり詰め込まれた言葉の数々です。
全編インタヴューに応える形ですので、まさに棟梁の息遣いが間近で聞こえてくるようです。


[目次]

第一章 千三百年のヒノキ
第二章 道具を遣う心
第三章 法隆寺の木
第四章 薬師寺再建
第五章 宮大工の生活
第六章 棟梁の言い分
第七章 宮大工の心構えと口伝
あとがき

解説
西岡常一氏略年譜

「わたしに何か話せゆうても、木のことと建物のことしか話せませんで。」
1頁めの、最初のこの言葉から一気に西岡棟梁の世界に引き込まれます。
すべてが、棟梁の口語体で書かれています。
ぜひ一緒におつきあいください。

「棟梁いうものは何かいいましたら、「棟梁は木のクセ見抜いて、それを適材適所の使う」ことやね。」(12頁)
→木も、人も同じですね。人の上に立つ者は、人のクセを見抜き、適材適所に使うこと。難しいと皆さんが考える経営の基礎とは、たったこれだけのことなのです。

「木のクセを見抜いてうまく組まなくてはなりませんが、木のクセをうまく組むためには人の心を組まなあきません。」(12頁)

「それじゃあ、普通の大工と宮大工どこが違う言われましたらな、ふつうの大工さんは坪なんぼで請け負うて、なんぼもうけてと考えるやろ。わたしらは堂や塔を建てるのが仕事ですがな。仕事とは『仕える事』と書くんですわな。塔を建てることに仕えたてまつるいうことです。もうけとは違います。そんだけの違いです。そやから心に欲があってはならんのです。彫刻する人が仏さん彫るとき、一刀三礼といいますわな。わたしたちは『一打ち三礼』ですな。『千年もってくれ、千年もってくれ』と打つわけですわ。」(14頁)
→己が天から授かった事に仕えているのだろうか、真剣に考える必要がありますね。


「これは、近頃の人が自然を尊いものと考えておらんからやね。おじいさんやおばあさんに、朝起きると太陽を拝み、空気があるんで生きられる、ありがたいいうて拝まされたもんや。今は太陽はあたりまえ、空気もあたりまえとおもってる。心から自然を尊ぶという人がありませんわな。このままやったらわたしは一世紀か二世紀のうちに日本は砂漠になるんやないかと思います。」(22頁)

「今の大工は耐用年数のことなんて考えておりませんで。今さえよければいいんや。とにかく検査さえ通れば、明日はコケでもええとおもってる。私ら千年先を考えてます。資本主義というやつが悪いんですな。利潤だけ追いかけとったら、そうなりまんがな。それと使う側も悪い。目先にことしか考えない。」(26頁)

「こうした刻みを入れた斧を、木を伐る前に、その木にもたせかけて拝むんですわ。「これから木伐らしてもらいます。ありがとうございます」ってな。」(35頁)

「「仏を崇めず神を敬わざるものは、伽藍、社頭を口にすべからず」という口伝があり、神道というもの、仏法というものを理解せねば、宮大工の資格がないということですな。」(185頁)

「とにかく、人の心がわからないようでは人を束ねてはいけません。棟梁というのは、大工だけやなしに、ありとあらゆる職人を束ねていかないといけないのだから、ありとあらゆる人の苦しみをよく知っていなくてはならない、ということでしょうな。」(191頁)

「御利益ばっかり願う宗教はウソや。利益とはひとつの方便ですわ。本当の仏教というのは、自分が如来であり、菩薩であるということに到達する。それが仏教ですわな。それは文字を通して考えていくやり方もあるし、死ぬほど自分の体を苦しめて、そこから悟りを開く、いろいろ方法はありますわな。いずれにしても、自分の体の中に仏があるちゅうことを見つけ出す。これが悟りと言われてるんですわな。」(250頁)

「今の人は、物まねしてすぐ芸術家になりたがる。ちょっと人と変わったもん作ったら、自分は芸術家だと言いますわな。昔は芸術家みたいのはおまへんで。みんな職人でんな。職人の中で達した人が、後世になって芸術家と言われるんで、生きてるうちに芸術家と言われる人はおらんわ。」(255頁)

口伝『神仏を崇めずして伽藍社頭を口にすべからず』
口伝『伽藍造営には四神相応の地を選べ』→今でいう風水のようなものです
口伝『住む人の心を離れ住居なし』
口伝『堂塔の建立には木を買わず山を買え』
口伝『堂塔の木組は木の癖組』
口伝『木の癖組は工人等の心組』
口伝『工人等の心組は匠長が工人等へのおもいやり』
口伝『百工あれば百念あり』
口伝『ひとつにする器量のない者は、自分の不徳を知って、棟梁の座を去れ』
口伝『諸々の技法は一日にしてならず、祖神達の徳恵なり』

「技術というもんは、自然の法則を人間の力で征服しようちゅうものですわな。わたしらの言うのは、技術やなしに技法ですわ。自然の生命のまま活かして使うという考えや。だから技術といわず技法というんや。」(265頁)

法隆寺に使われているヒノキは、千三百年もたっているそうです。
そして千三百年もたせるには、それ以上生きているヒノキを使うのだそうです。
今の日本には四百年以上のヒノキはないそうです。
薬師寺の再建にあたり、西岡棟梁は台湾へヒノキを求めて行きました。
台湾の山々には、二千年を超えるヒノキがまだ存在するのだそうです。
日本最後の宮大工による、伝統技法に基づいて再建された薬師寺の一部に、いま台湾のヒノキが使われています。
薬師寺には中学生の頃、課題のためにグループで連れ立って行った記憶しかありません。
そう、嫌々ながら行ったのです。
何一つ、記憶に残っていないのです。
今度はもっと違う目を以って、薬師寺に逢いに行こうと思いました。
もちろん、この本を携えて。

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)/西岡 常一

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ありがとうございます
副題:行動科学(IS)が教える、自分から勉強する子どもに変わる方法
著者:石田淳
発行:PHP研究所(単行本) / 2006年
ジャンル:教育

行動科学研究における日本の第一人者であり、『「続ける」技術』(フォレスト出版)でベストセラーを世に送り、自らも学習塾を運営する石田氏の、アメリカ生まれの行動科学メソッドを教育に応用した内容の本です。


[目次]

はじめに
 やり方を教える人がいなかった
 やり方を教えれば誰でもできるようになる
 行動科学を応用した教育指導
 日本児童の学力が年々落ちている!
 アメリカで大成功を収めた驚異のメソッド
 行動科学ティーチングは誰でも使える

第1章 行動科学ティーチングで伸びた子どもたち
 私が見てきた子どもたちの成長
 高校進学は無理と言われた子が見せた才能
 県で最下位の少年が立ち直った
 一年間の入院に負けなかった小学生
 基本学級の児童に自信を与えた高得点
 大学受験を支えた言葉
 他の塾の講師がお礼を
 遅れを取り戻すための学校、モーニングサイド校

第2章 実は「勘違い」だったのです
 頭が悪いから、成績が悪い?
 成績が伸びないのは本人の性格のせい?
 ゲーム好きだから集中力がある?
 塾に通わせれば安心?
 すぐに成績を上げる魔法がある?
 いい塾を求めて渡り歩く?
 人気の塾なら安心?
 勉強を好きにさせる「行動科学」とは

第3章 成績が伸びない本当の理由
 子どもたちは、どこがわからないのか
 学習する子、しない子はどこが違う?
 できない理由 その1「やり方がわからない」
 決めつけないことが大事
 できない理由 その2「続け方がわからない」
 結果がよくないときはこうしてほめる
 指摘するにも方法がある
 伸ばすには、まず小さなゴールから
 高すぎないハードルを飛び越えさせる
 ラストゴールを意識させよう
 上位の子も伸びる、下位の子も伸びる
 目標はこうして立てよう
 目標を押し付けてはいけない
 読解力をつけさせるには?
 「わかる」と「できる」の違い
 反復こそが学力向上の近道
 罰を与えたら勉強するか
 比べない、けなさない
 子どもを否定する言葉は使わない

第4章 進んで学習するようになる行動科学ティーチング
 勉強のやり方を教えるのが第一歩
 やり方はこうして教えよう
 学習には五感を総動員する
 学習を毎日続けさせるには?
 評価されることはうれしい
 ほめるタイミングに気をつけよう
 ほめる代わりにポイントカード
 機械でポイントを与える方法との違い
 成果をグラフで示すとやる気になる
 高校一年を乗り切れるか
 苦手なことから始める習慣を
 「ターゲット学習行動」を見つけて結果を変える
 お子さんの行動を見るための視点
 望ましい行動をさせるシェーピング
 複雑な行動はチェーニングで増やす
 テスト勉強はこうする

第5章 考え、行動する大人に育てたい
 勉強の型とは何か
 無駄な教育費用はもういらない
 中学の勉強は五年生から始まる
 応用とは基本の組み合わせ
 効果のない塾の見分け方
 成功体験を記憶に焼きつける
 本当はできるようになりたい
 スポーツができるなら勉強もできる
 行動科学ティーチングはあらゆるレベルの子どもに使える
 自宅で学習するくせをつけるには
 行動科学ティーチングは自分ひとりで学習できる
 元服の年齢で成功体験を
 成績を上げるには「テストノート」
 人生を切り拓く行動科学ティーチング

おわりに お母さんのせいでは、ありません
参考文献一覧



行動科学の専門家である石田氏ですので、この語句が頻出します。
この本では、子供は勉強はきらいです、とはっきり書かれています。
その理由は、やり方がわからない、そして続け方がわからないだけだと教えてくれます。
ぼく達わたし達も、みな子どもでした。
どれだけの人が「私は子どもの頃、勉強が大好きだった」と本気で言えるでしょうか。
結果を評価するのではなく、ポイントとなる行動をほめたり、注意したりする、この本で書かれている行動科学の基本はこれだけです。
早速一緒に見ていきたいと思います。

「できないのは、勉強の「やり方」を知らないから。そしてその「続け方」を知らないから。できない子はこのどちらかに当てはまります。例外はまずありません。正しいやり方や続け方を教えるだけで、どんな子も必ずできるようになります。」(11頁)
→教科書の内容は教えてくれても、テストの設問の解き方を教えてもらっても、勉強のやり方って意外と教えてもらっていないのではありませんか。

「教える側に個人差があるということは、当然ながら教わる側にも大きな差が生まれます。ある生徒には力がつき、別の生徒にはつかないという現象は、経験にもとづいた指導方法に頼っているからなのです。行動科学ティーチングは科学から生まれた指導法です。科学というのは、いつ・どこで・誰がやっても同等の効果が得られなければなりません。」(17頁)
→慌てず、難しく捉えないでくださいね。

「塾で指導したのは勉強の型です。それは読む・聴く・書く・調べる・覚える・考えるの組み合わせであり、どの教科にも共通する不動の型と言えます。」(39頁)


「「勉強できないから、もっとやりなさい」「勉強できないから塾へ行け」私たちはついこのような言葉を使ってしまいますが、できないからこそ、できるようになる方法を覚えなければなりません。物事には原因があって結果があります。悪い行動を取り除き、良い行動に変えてあげると、結果も良くなります。」(57頁)

「塾の講師はスポーツのコーチのようなものです。子どもの学力を見きわめ、足りないところを補強し、学習計画に沿って指導していきます。ここで重要なのがご両親のサポートだと考えます。生活管理、健康管理、そして脳を働かせるための栄養管理。どんなに優れた塾もこの部分だけはどうしようもありません。」(60頁)

「学習向上には三つのポイントがあります。
1)教師(講師)が知識を学び方を教える
2)生徒は習ったことを自宅で反復学習する
3)親は、子どものやる気を維持するために生活面からサポートしてあげる」(61頁)

「行動科学では、人間の行動に焦点を当てます。点数という結果はもちろん、その点数を出すまでのプロセスにも目を向けることが大切だと考えます。二十点だった子が三十点取れたら、そのことを認めてあげる。たとえ点数が上がらなくても、学習した行動のひとつひとつをねぎらい、ほめてあげる。この基本的な配慮を大人は思い出さないといけません。人間だれしも、人に認められたり、ほめてもらったりするのはうれしいものです。人に認めてもらった快感を知ると、もう一度認めてほしくなって同じ行動をとります。そのたびに認めてあげると、やがて行動は習慣へと変わっていきます。行動科学とは、こうして人の行動を変える成果を出すメソッドなのです。」(69頁)

「勉強とは、行動の積み重ねです。教科書を読む。授業に耳を傾ける。要点をノートに記す。宿題をやる。予習と復習をする。これらはすべて行動です。つまり勉強とは「勉強という行動をすること」なのです。いかにしてその行動を取らせるか、これが親や教師のテーマだと言えます。」(77頁)

「叱るときには、どこが悪いかを指摘する。そしてどの行動を改善するかを具体的に教えてあげる。これが正しい指摘のしかたです。そうしないと、子どもは何をどうすればいいのかわかりません。「ドリルを毎日三ページやるって約束したよね。それをやらないからテストの点が上がらないんじゃないのかな」」(84頁)

「成績のいい子は続け方も知っています。知っているというより、続けたいから続けているのです。毎日の勉強が楽しいから、さぼろうなんて考えません。続ける秘訣はここにあります。「続けたいから続ける」本人が楽しいと感じたことは、言われなくても自発的に続けます。」(86頁)
→参考にならないかもしれませんが、ぼくが本を読み続けるのもただ楽しいからです。

「子どもは親が好きです。好きな親にほめられたら、それだけでうれしいのです。ですから、ほめるべきところは積極的にほめてあげましょう。(中略) 何でもかんでもほめればいいというわけでもないのです。行動科学では、行動に焦点を当てて評価します。どんな行動をしたかをよく見て、望ましい行動を取っていたらほめてあげる。これが鉄則です。」(90頁)

「自分の行動を認められたいという欲求があります。単純なようですが、誰でもそういう欲求を持っているのです。人にほめられれば無条件でうれしくなりますし、ケチをつけられれば「もういいよ」と言いたくなってしまいます。」(93頁)

「行動科学では「行動した結果が次の行動を決める」と考えます。(中略) これを行動科学で「ABCモデル」と呼びます。
1)先行条件(Antecedent)・・・行動のきっかけとなる条件
2)行動(Behavior)・・・本人の行為、発言、振る舞い
3)結果(Consequence)・・・行動によってもたらされる結果状況」(99-100頁)

「平均点以上の子どもに対しても、平均点より上だからといってほめないほうがいいようです。「自分は人よりも上だ」という一種のエリート意識を持った子どもは、ひたすら他人以上の存在であろうとし、中には平気で不正を働く子どももいます。(中略) 日ごろから偏差値ばかや平均点ばかりを重視していると、子どもの価値観も歪んでいきます。他人と比較することによって物事を見ようとするため、自己本位・自己中心・自己弁護の強い子になりがちです。比べるときは過去の自分と。これが鉄則です。」(129頁)

「それから音読も有効です。口で読み、耳で聞くことによってスピーディーに記憶することができます。江戸時代の寺子屋でも、音読を重視していました。」(139頁)

「やるべき学習行動をしたときには、すぐにほめなければいけません。時間を置けば置くほど効果が弱まってきます。ほめる目的についてもう一度おさらいしましょう。ほめるのは、行動を繰り返させるためです。なぜ繰り返すようになるのか?その行動をしたら必ずほめられるという因果関係を本人が理解するからでしたね。ところが時間を置くとその因果関係があいまいになります。「この行動をしたからほめてもらえた」という脈略ができにくくなるのです。」(148頁)

「テストで点を取るために必要なことは次の二つです。
1)覚えていたことを思い出す、知っていることを理解する
2)苦手な問題をわかるようにしておく
要するに「できる問題で確実に点を取る」「できない問題を減らす」ということです。大切なのは1)を重視すること。」(181頁)

「やる気とは、やり方がわかったときに内部から生じるエネルギー。人に言われて出てくるものではありません。」(183頁)
→この本で一番印象に残った言葉です。

「塾に入れるときに気をつけたいのは科目選びです。親としては苦手科目だけを克服できればいいので、「とにかく算数だけを徹底的に教えてください」などと言います。これは成功体験の法則から言っても正しくありません。鉄則は「苦手科目と得意科目を一緒に」です。得意科目があると、それがやる気を刺激します。苦手科目だけではどうしても続きません。」(206頁)

「(これは子供部屋がある家でも同じで、)勉強を始めたら親は本を読むなり、編み物をするなりしてまじめな態度をみせることです。せっかく子どもがやる気を出しても、リビングからテレビの音が聞こえ、親がアハハハと笑っていたならどうなるでしょうか?」(214頁)
→子どもの学習に対する環境作りは、親の責任でもあります。イヤホンでテレビを見るのもやめましょう。パソコンは仕事のみで可能でしょうか。



ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
思いのほか長くなってしまいましたが、行動科学の示す学習の要領は何とか示せたのではないかと感じています。
前述の『「続ける」技術』(フォレスト出版)をぼくは読んでいませんが、大人でも学習することは必要ですし、そのために必要なことは、この本にすべて書かれていると思っています。
世のすべてのお母さまと、これからも学び、成長を続けるビジネス・パーソンにお勧めの一冊です。


ママのやさしさが、学力を伸ばす/石田 淳

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最後に。
この本は2007年5月に一度読んだ本でした。
ちょうど息子が生まれたすぐ後という時期でした。
その本をもう一度読み直し、ここに内容をまとめるチャンスを提供していただいた、ブログ仲間のchiyamiさん(ブログ「住めば天国 上海セレブ生活」)に感謝です。
ありがとうございました。

生かして頂いて、ありがとう御座位ます。
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ありがとうございます
著者:宮崎正弘
発行:PHP研究所(PHP新書) / 2006年
ジャンル:世界再発見

筆者の宮崎氏はチャイナ・ウォッチャーとして著名で、この本の執筆においても中国大陸全33省を踏破し、取材されたとのことです。
宮崎氏の著作は数冊読んでいますが、中国=人を知るに当たってはこれが最適の1冊かもしれません。


[目次]

序章 「北京愛国」「上海出国」「広東売国」

第1章 北京とその周辺の人びと ①京津冀経済圏
北京市 / 天津市 / 河北省 / 山東省 / 山西省 / 河南省

第2章 なぜか嫌われる「上海閥」 ②長江デルタ経済圏
上海市 / 浙江省 / 江蘇省 / 安徽省

第3章 広東人の挨拶は「儲かりまっか」 ③珠江デルタ経済圏
広東省 / 江西省 / 広西チワン族自治区 / 海南省 / 香港 / マカオ

第4章 中国のユダヤ人=温州人

第5章 福建人と台湾人 ④福建省経済圏
福建省 / 台湾

第6章 東北三省と内蒙古の人びと ⑤旧満州経済圏
黒竜江省 / 吉林省 / 遼寧省 / 内蒙古自治区

第7章 西北から東南の地方人
湖南省 / 湖北省 / 四川省 / 重慶市 / 雲南省 / 貴州省 / 陝西省 / 甘粛省

第8章 孫子、孔子の末裔と朝鮮族
山東省の人と儒教の精神 / 中国東北部における朝鮮族

第9章 イスラム教徒とチベット族
寧夏回族自治区 / 新疆ウイグル自治区 / 青海省 / チベット自治区 / 多民族国家中国の未来

第10章 海外華僑、華人、新移民の世界地図

第11章 新漢族と新人類



印象に残った箇所の紹介です。
「中国人の歴史認識には、次にいつ戦乱が起きるかもわからず、一ヶ所に落ち着いて製造業を営むという日本流の考え方はない。」(123頁)
→重要です。中国に進出している各製造業のトップはこのことを理解できているのでしょうか。工員が定着しないと、もし嘆かれているなら、まずこのことを理解できなければいけません。

「アモイの沖合に浮かぶコロンス島には英雄・鄭成功記念館があり、大きな銅像もそびえる。その真ん前が台湾の金門島だ。鄭成功は日本人との間の混血児だが、中国ではそのことを一言も語っていない。しかし、対面の台湾台南市にある鄭成功神社にはちゃんと系図一覧があり、鄭成功は日本人の「田川氏」との婚姻によると明示されている。台湾と中国の歴史認識はこれほど違う。」(157頁)
→ぜひ一度この目で確かめたいです。鄭成功に関する小説を過去に読んだ経験がありますので、とても興味があります。

「これら長江文明遺跡に共通するのは、城砦で市街区を囲む古代城壁国家の跡地であることだ。漢族とは縁もゆかりもない異民族が、太陽を神と仰ぎ、鳥を予言者か霊媒として神聖化して、財宝および絵文字などの文型、黄金のマスクやらが神木などが出てきた。」(211頁)
→遺跡巡りの旅も面白いかもしれません。興味のある方はウィキペディアでも「長江文明遺跡」で詳細を調べることができます。

「さて鄭和は明朝の永楽帝の命で、大艦隊を7回率いた。鄭和は雲南省出身のイスラム教徒で、本名は馬三保。姓の馬はマホメッドに由来するイスラム教徒がご先祖の場合が多い(北方系は明らかに騎馬民族の末裔)。延べ1400余隻の艦船が30年近い間に東アフリカをふくむ30カ国を訪問し、航海距離は10余万キロに達した。のちにジェノバで鄭和の海図を入手したコロンブスが、スペイン国王に航海時代の到来を進言した。」(218頁)
→鄭和がイスラム教徒であることは初めて知りました。ぼくは世界史で何を学んできたのでしょう。大航海の歴史はこうして継がれていったのですね。

「戦後、韓国の奇妙なナショナリズムは漢字の廃止に動き、いまや若者の多くはハングルしか読めない。漢字で書けるのは自分の名前だけである。つまり潜在意識のおいて、彼らは反中華なのだ。(中略) 幕末の日本では国学、水戸学、朱子学が入り乱れた。遷都に際しては京を「東」に移した意味の「東京」とした。中華思想からみると、南京、北京、西京(西安)と同列だから、東夷としてふさわしい都市名となる。つまり中国人の潜在意識において「東京」は中華皇帝に臣下の礼をとるべきであり、朝貢国であることになるのだ。」(247頁)
→中国の政権トップには、このような意識はあるのでしょうね。問題は維新の国造りをした人たちが知っていたのかということと、我々現在の日本人が意識できているかということなのです。

「中国では最東端の黒竜江省はウスリー川に沿ってハバロフスクの対岸が撫遠、経度は福岡とおなじ。最西端は新疆ウイグル自治区のタシュクルガン付近で、隣はパキスタンのフンザ山脈。そこから遥か南方は緯度でいうとニューデリー。つまり時差は3時間以上なければならない。それなのにどこへいっても時間は統一された北京時間だから、東では太陽が煌々と照りつけても新疆ウイグル自治区では夜が明けていない。」(286頁)
→著者はこれが「中華思想」からくる統一思想なのか、と説きます。時差の問題は中国に住む外国人なら皆感じることだと思います。


宮崎氏の著作の特徴は文体だと感じます。統一感のない話し言葉のような文体、体言止め使用はスピード感を与えます。
この本一冊をとってもわかることですが、参考文献の紹介が巻末に記されていません。
基本的には自分の足で情報を集める人なのでしょうし、早稲田大学英文科中退という経歴から、英語圏の情報を得意とされていることが、氏のメルマガからも見てとれます。
読者が氏の著作を手にされるとき、内容の真偽がどこまでなのかを決めることを、自己の責任において行われることをお勧めします。
ぼくはこの人は著作家ではなく、雑誌のライターもしくは、講演家というタイプの人ではないかと感じます。


出身地でわかる中国人 (PHP新書)/宮崎 正弘

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