遠近法で描く中国 -2nd Season- -63ページ目

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

副題:Cruising Around Hawaii
著者:池澤夏樹
発行:新潮社(新潮文庫) / 2000年
ジャンル:世界再発見

池澤氏の本を読んでいて何度も感じたことは、ぼくの物書きの心の師匠であり、敬愛する作家、片岡義男氏に文体が似ていることでした。
池澤氏は今沖縄に住んでいるということですが、やはり島を愛する人たちの語りの手法とは、似てくるものなのでしょうか。
池澤氏の本については、バハ・カリフォルニアでクジラを追い、素潜りの達人、故ジャック・マイヨールとの交流を描いた『クジラが見る夢』(新潮社)に次いで二冊目です。

[目次]

Ⅰ 淋しい島
Ⅱ オヒアの花
Ⅲ 秘密の花園
Ⅳ タロ芋畑でつかまえて
Ⅴ アロハ・オエ
Ⅵ 神々の前で踊る
Ⅶ 生き返った言葉
Ⅷ 波の島、風の島
Ⅸ 星の羅針盤
Ⅹ エリックス5の航海
Ⅺ 鳥たちの島
Ⅻ マウナケア山頂の大きな眼

あとがき
文庫版あとがき



ハワイについては過去に『ハワイ』(岩波新書/山中速人著)について読みました。
しかしそれは少なくとも十年以上前のことで、今は手元にもなく、実家にあることだけは確認できています。
ですので、ここではこの本だけに絞り込んで、参考になった箇所の引用紹介をします。

「旅を目的主義的に組み立ててはいけない。旅の値打ちを見たものの数や、名所旧跡の数々、買い物の量、撮った写真などで計ってはいけない。旅はただ気持ちよく過ごした時間の長さでのみ評価されると考えよう。この島がいい時間を与えてくれれば、それ以上望むものはない。」(19頁)

「学校で勉強していると、先生や教科書はいかにも権威があるように思われる。真理をすべて把握して、子供にもわかるように話してくれる人であり、わかりやすく書いてくれた本であるような錯覚を抱く。しかし実際には教科書に書いてあって先生が教えてくれるのは、何十年か前の真理だ。自分で本を読むようになると、学問がいかに速やかに変わっているかがわかる。」(61頁)

「宣教師たちは印刷機を持ってやってきた。それまでのハワイイ語には文字がなかった。話し言葉しかない言語を耳で聞いて採集し、文字をあてはめ、正書法を作り、文法を整理し、最後には聖書のハワイイ語訳を作ってしまう彼らの努力には敬意を払いたいと思う。(中略) だが、それは他方ではハワイイ語そのものを変えてしまう。文字なき言葉はそれに応じた性格を持っている。文字を得ることでそれが変わる。発音は固定され、曖昧な部分は削り取られ、語られる場の雰囲気を反映するイントネーションは消えうせる。なによりも文字を知るものに権威が生じる。ハワイイ人の言葉なのに、それを文字化できる宣教師の方が偉いということになる。文化というのはすべてそういうものなのだ。」(212頁)

「観客達の前で、そして一段と高い台の上に居並んだ審査員たちの前で踊ってはいても、彼らは人に見せるものではなく、もっと偉大な存在を想定して踊っているかのように見えた。見るべきは神々であり、我々人間はそれを脇から見せてもらっているにすぎない。床を踏みならす足に、時に優雅、時に強烈な手の動きに、彼らを統率する朗唱者の声や打楽器の力強い響きに、何よりも彼らの真剣な表情に、人間を超える者への姿勢を読み取ることができる。陶酔を誘うものがある。」(233頁)
→あるフラ・ダンスの大会を見ているときの、筆者の感想です。

「では、フラとは何か。フランクの説明によれば、フラとは手の動きや足の動き、それに表情などで詩的感情を表現するものだという。すべての始まりは詩である。詩が朗誦され、その言葉に合わせて振りが決まる。(中略) 詩が表現しているのはもっぱら自然への讃歌である。あるいは自然という形で存在する神々への讃歌。ハワイイの土地には、たとえ社会制度がどう変わろうとも、神々が生きている。彼らを楽しませるために人間は踊る。だから、踊りは厳密で、間違いは許されない。かつてタブー制度がきちんとしていた時代には、踊りを間違えたものが死をもって罰せられたことさえあったという。ここでは踊りは暇つぶしや遊びではなく、宗教的な意味を帯びた大事な行いだった。」(239頁)

「フラは神々に捧げるものでしょ。ハワイイ人にとってはもっともトータルな信仰表現。まずハワイイ語の知識は必須。自分の踊りのメレ・フラ、つまり詩の内容が理解できなくては正しくは踊れない。言葉は本当に大切ね。」(244頁)
→ハワイイ人の血をひく、フラの教師をする女性の言葉です。
「私たちハワイイ人の精神の根底には自然崇拝の気持ちがあるの。ある場所に行って、そこの雰囲気を感じ取って、それが詩になる。そういう詩を踊るわけだから、もとのその場の自然が伝わらなければならない。」(247頁)
→同じく女性教師の言葉です。自然崇拝は日本にもかつてはあったはずですよね。

「レイとはただの飾りではない。見せに行って買うものでもない。自然から霊力(マナ)を引き出すために自分の手で作るもの。」(254頁)
→ハワイイ人が首などにしている、おもに花飾りのことです。

「ペトログリフは場所の芸術である。その場から動かすことはできない。そういう意味では、場の選定はすでに制作の一部であって、風景を読み取る力のないものには、すぐれたペトログリフは作れない。」(304頁)
→ハワイイには約135箇所に、およそ二万五千点の図像が残っているそうです。

「二種類のサーファーがいると思う。第一は波に挑戦して、なんとか波をねじ伏せてやろうとする攻撃的なタイプ。もう一つは波と踊るというか、メイク・ラヴする人たち。波を抱きしめて、心を通わせて、波の動きに入ってゆく。どちらもおもしろいけれども、メイク・ラヴなんて言いかたができるスポーツは他にないかもしれない。」(331頁)
→レジェンド・サーファーと呼ばれる女性に話を訊いているところです。筆者のサーフィンが争いの形を取らないスポーツではないかという問いへの答えとして。

「ウィンド・サーフィンってのはハワイイのサーフィン精神とカリフォルニアの航空機産業の間に生まれた子なんだよ。」(362頁)

この紀行の後半では、ミッドウェイ諸島への旅の模様も収録されています。これは単行本から文庫本に編集される際に、追加されたものの一部だそうです。
これによってこの文庫本は[完全版]と称されることになったとのことです。
残念ながらハワイという場所に行ったことがないぼくには、ここまでしか書くことはできません。
あとは読んでくださった方皆さまが、それぞれのハワイを見つけてくださればいいなと感じます。
この本を8月14日という日に読み終え、15日という特別な日にそのレポートを書いていることに、ぼくは言葉では表せない因果を感じるのです。

ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)/池澤 夏樹

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著者;平野秀典
発行:サンマーク出版 / 2008年4月
ジャンル:ビジネス

平野氏の著作を読むのは、『感動力』(サンマーク出版)『ギフト~君に贈る豊かさの知恵』(大和書房)に続き三冊目です。
感動プロデューサー平野氏の総決算的な一冊に仕上がっています。

[目次]

プロローグ 感動の億万長者とは

第1話 生涯感動
1 感動長者は志事をする / 2 感動長者は毎日が自己新記録
3 感動長者はいい欲を燃やす / 4 感動長者は感動とは「動詞」であることを知っている
5 感動長者は突き抜ける喜びを知っている / 6 感動長者は100の視点を持つ
7 感動長者は恩を贈る / 8 感動長者は「続く」で終わる
9 感動長者は名優である

第2話 顧客感動
10 感動長者は「感動の方程式」の使い手である / 11 感動長者は予定外調和を創造する
12 感動長者はドラマで魅せる / 13 感動長者はたった一人に心を伝える
14 感動長者は顧客と共演する / 15 感動長者は戦争用語を使わない
16 感動長者は魔法のリズムで売る / 17 感動長者はハッピーエンドにアクセスする
18 感動長者は「感動」を与えない / 19 感動長者はシーンを語る
20 感動長者は人を主役にする

第3話 日常感動
21 感動長者は満喫力の達人である / 22 感動長者は琴線感覚を磨く
23 感動長者は余韻を残す / 24 感動長者は日常をドラマ化する
25 感動長者は声に出さないセリフを持っている / 26 感動長者は言葉を再発明する
27 感動長者は脱日常体験を持つ / 28 感動長者は知識を腑に落とす
29 感動長者は紙一重の差を知っている / 30 感動長者は本業は「人生」と言う

エピローグ



役者、演技者としての経験を持つ平野氏のテクニックや言葉の使い方はとても参考になります。
けれど、だからこそ、言葉が先に立っている気がしてなりません。
ハートが、心が半歩遅れているようなのです。
本文中にも技術ではなく心だと、何度も書かれていますし、素敵なエピソードも盛り込まれています。
でも、やはり、感動は心の奥からのムーヴメントなのですよね。
平野氏が感動プロデューサーであるが故に、感動を多投しすぎるのかもしれません。
挙げられた30のルールはどれも素晴らしく、そばに本を置いていつでもパラパラめくるには最適です。

感動を起こす仕組みは、誰しも生まれつき持って誕生するのです。
しかし人生を歩んでいく過程で、誰しも抱え込むものが多くなり、大切な何かをどこかに置き忘れてしまいます。
その中に感動の仕組みもまぎれてしまう人がいます。
ぼくも、恥ずかしいですが、その一人なのです。
感動とは、心の中でじわっと暖かくなるもの、またはキラリと光るもの。
残念ながら、大人のふりをしているぼく達には、感動の仕組みを取り戻すために、少しだけトレーニングが必要なようです。
そんな一冊の友達になりえるかもしれません。
ちょっと厳しい内容になりましたが、ぼくにとってビジネス書という分野に於いて、同じ著者の作品を3冊以上読むというのは、アメリカ経営のグルと呼ばれるトム・ピーターズ氏の訳書以来なのです。
そういった意味で、平野氏のこの作品がぼく自身に与える影響は、決して少なくないのだということを、最後に書き添えておきます。


この本を献本(プレゼント)してくださった、笑歩(シュウト)さまに感謝します。
ありがとうございます。

笑歩(シュウト)さまのブログ
http://ameblo.jp/ty1173gogo/

感動の億万長者30のルール/平野 秀典
¥1,680
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英題:ESOTERIC JOURNEY
副題:宇宙より遙かに深く / 【シャンバラ】極限の恐怖の果てに「生」の真理を見た
著者:テオドール・イリオン(ドイツの探検家)
訳者:林陽
発行:徳間書店 / 1994年初版、2007年11刷
ジャンル:世界再発見

世界を騒然とさせた3月の(もしくはそれ以前の)チベット騒動とは直接的に関連のない本ですが、第二次大戦前(あくまで著者による西洋的立場によりこの言葉を使用)のチベットを西洋人が探検した本の復刻版の訳書です。
大英博物館に50年間封印されていたという幻の書です。
この本は二部構成になっていますが、後半はオカルト的な内容とも言えます。すべてを信じるか否かは読者次第ですが、チベットという地域の謎に迫ってみるのも良い冒険になるでしょう。

[目次]

諸言

【第1部】チベット神秘宇宙への巡礼
序文
第1章 光明に導かれて
第2章 祝福の聖地へ
第3章 霊と迷信に生きる人々
第4章 誤った転生信仰
第5章 真の瞑想、偽の瞑想
第6章 軌跡を起こす聖人たち
第7書 不老不死の秘法

【第2部】チベットを覆う暗黒世界
序文
第8章 神、魂、死についての対話
第9章 悪魔の降霊術
第10章 チベットを動かす影の密教集団
第11章 秘伝者の地下都市
第12章 死者蘇生の秘術

訳者あとがき


いかがでしょう。 
それでは聖人の教えからひとつだけ共有したいと思います。
「頻繁に読まれながらも、ほとんど実生活のささいなことでは活かされずにいるある書物の中に、「他を裁いてはならない」と書かれている。われわれは、他人のとる行為は見ることができでも、その背後に隠れた一番大切なものー動機ーまでは見ることはできない。であれば、人を裁かず、むしろ自分を裁かなければならない。自分の動機が何であるかは自分が一番よく知っているからだ。これはとても大切かつ有効なことである。」(121頁)
→この書物とは、新約聖書を指しています。

チベットに魔の地下都市は存在したのでしょうか。
オカルト小説だと割り切って読むのも、好いかもしれませんね。
第6章だけ繰り返し読むだけでも、人としての生き方の原理に触れることができるでしょう。

チベット永遠の書―宇宙より遥かに深く 「シャンバラ」極限の恐怖の果てに「生」の真理を見た/テオドール イリオン
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